中学校編〈対 熊田虎吉〉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 10:05 UTC 版)
「CHIBI」の記事における「中学校編〈対 熊田虎吉〉」の解説
毎日むごたらしいいじめを受けていた仲本は、同級生・岩井の「だったらお前もボクシングをやってみないか」の一言に誘われて森川ボクシングジムの門を叩く。ジムでは生まれて初めてサンドバッグを叩いてみる。まったく経験がないため目茶苦茶なフォームでたたきまくるが、唯一岩井だけは仲本の隠された才能を見抜きつつがあった。そのひた向きさを認められ仲本は同ジムの入会が決定した。翌日、岩井は仲本が本格的にボクシングを始めることをクラスの全員に公言してしまう。それによって、その日のジムはいじめられっこ仲本のトレーニングの様子をからかう目的で見学に来る同級生らで埋め尽くされた。その揶揄三昧に仲本はくじけて挫折しようとするも、岩井の鼓舞激励によって息を吹き返しひたすらサンドバッグを叩き続ける。額から出血しても懸命な表情でサンドバッグに立ち向かう仲本のひたむきな姿にギャラリーの同級生らは唖然。からかい半分で来た自分たちに自己嫌悪が募ったのか、倦みあぐねて帰っていってしまった。仲本は彼らのからかいに勝利した。そして、こぶしから血を噴き出してもサンドバッグを叩き続けるその根性をほかの練習生からも認めてもらえた。 しかし喜びもつかの間、熱心に練習に励んでいるさなか、療養から戻ってきたプロライセンサー・浜野からのとばっちりを受けたのだが、何とか努力を認められる。一方、熊田は徐々に荒れていった。校内では暴力を振るい、ゲームセンターでからんできた高校生らを一気に叩き潰した。ある日、両親の不仲からくる熊田の不満は頂点に達し、仲本に対する本格的な焼入れを決行する。出前中の仲本を急襲し、出前の品をぶちまけ公園に連れて行き仲間と3人でリンチ。しかし、いつになく凄惨なリンチに子分2人は辟易してしまう。熊田の様子はおかしく、半ば目には涙を浮かべながら仲本に明らかな殺意を持っていた。仲本は鉄棒に思いっきり叩きつけられ血まみれ。出前に出たっきり帰ってこなかったため心配した岩井らに発見され即救急車で搬送、13針縫う重傷を負ったが一命を取り留めた。しかし、仲本は熊田を傷害罪で告訴することもなく、「これは自分と熊田君の些細なトラブルから起きたこと」と説明し熊田を庇護した。翌日、義憤に駆られた岩井は熊田を校舎裏に呼び出した。岩井は仲本の敵を打つべく熊田との決闘を決意していた。対する熊田も「お前とはいずれ決着をつけなければならないと思っていた」と述べ、まさに様相は一触即発の様相を呈していた。しかし、その様子を教師らに見つかってしまい、決闘は流れた。 その後、仲本と熊田の学園祭での一騎討ちが毎日ひた向きに練習に励んでいた仲本を近所で見ていた熊田の1年生時の担任男性教諭の責任によって実現された。そして試合当日。全校生徒ほぼ全員が観戦する中で、レフェリーには浜田、セコンドには岩井と森川を迎え雌雄を決した一戦を迎えた。しかし、試合が始まるや否や熊田の懐に飛び込んだ仲本が喰らったのは熊田のキックであった。場内は騒然とした。熊田は仲本とまともにボクシングの試合などやる気がなかった。熊田の目的は開かれたリングという場で仲本を公開処刑することであった。熊田は立て続けに仲本に馬乗りになり顔面パンチの雨あられを加えた。ボクシング対ケンカの異種格闘技戦の様相を呈してしまった。第2ラウンド、熊田はまともにボクシングルールで戦うのかと思いきや、見方は甘かった。しかし仲本は熊田の蹴りなどの猛攻をかいくぐってパンチを叩きこむ。しかし、一瞬のすきをついて首を捕まれてしまう。熊田は思い切り仲本の首を絞めあげ本気で殺そうとしてしまう。熊田の暴走にゴングは乱打、熊田の反則負けは決定するもそれでも横暴を極めた熊田に見かねた岩井ら仲本陣営や試合執行部はリングに乱入し熊田を取り押さえ、岩井は熊田の顔面にストレート一発お見舞いした。熊田は完全にいじけ「止めてやる」の一言でリングを降りようとする。せっかくの公開試合は熊田の破天荒を極めた横暴による反則負けで幕が降りようとしていた。しかしお人好しの仲本は熊田に「逃げちゃ駄目だよ」と近いうちの再戦を要求すると、「これ以上付きまとわれるのはごめんだ」との熊田の意志によりボクシングルールでの即時再戦が決定した。当初は熊田の傍若無人ぶりにブーイングの嵐だった観衆も、「まともに戦うのなら」という条件付きで熊田応援に回り、場内は熊田コールと仲本コールに二分された。熊田は徐々に心が動かされた。試合は仲本のカエル跳びアッパーと熊田の1発のメガトンパンチが勝敗のカギとなった。しかし、長い間ブランクのあった熊田はボクシングの感覚を忘れてしまってなかなかパンチが命中しない。一方の仲本は繰り返しかえる跳びアッパーを試みるものだから熊田に見透かされ反撃に遭ってしまう。そして終盤、両者の動きが止まったところで熊田の振り下ろしメガトンパンチと仲本のかえる跳びアッパーの相討ちとなった。両者ノックアウト。テンカウントぎりぎりで立ち上がったのは仲本であった。熊田は立ち上がれない。仲本の勝利が決定し、仲本はリングで仁王立ちしたまま雄たけびを上げたかというとそのまままたばったりと倒れ意識を失ってしまった。1週間の入院後、久々に学校を訪ねてみると仲本はすっかり人気者になっていた。しかし喜ぶのもつかの間、自分が入院している間に怠っていた草花のことを思い出し、あわてて校舎裏の花壇に駆け込んだ。そこにいたのは、相変わらずきれいに咲き乱れている草花とじょうろを持ってたたずんでいた熊田の後ろ姿であった。
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