ランサーエボリューションIV
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:16 UTC 版)
「三菱・ランサーエボリューション」の記事における「ランサーエボリューションIV」の解説
1996年8月発売。型式名“E-CN9A”。通称“エボIV”。キャッチコピーは“ランサーの走り、ここに極まる。”。 ベースモデルのランサーが前年にフルモデルチェンジしたため、ボディを新型に刷新した。同時に、第一世代に対しエンジン搭載方向を左右反転させ、トランスミッション内部に設けられていたインターミディエイトギヤ(カウンターシャフトと同じ役割)の廃止により駆動ロスを軽減し、レスポンスに大幅な向上が見られた。また、リアにマルチリンク式サスペンションの採用により路面追従性の向上が見られた。 本モデル最大の特徴はGSRに搭載された、左右の後輪への駆動力を変化させ、旋回性を向上させるアクティブ・ヨー・コントロール (AYC)である。AYCの採用により、エボIIIに比べて大幅に旋回性能を向上させた。しかし、エボIVに搭載されたAYCは比較的完成度が低く、異音が発生するトラブルが多発した。対策として、AYCの作動油の交換や、AYCの調整を行うことで一時的に異音をなくすことができたが、根本的な解決にはならなかった。そのため、HKS関西などによる社外品のLSDへ変更する事例がよく見られた。競技用途では、フロントにヘリカルLSDリアに1.5WAY機械式LSDが装着されたRSが用いられた(GSRはフロントデフがオープンであった)。 エンジンは鍛造ピストン、ツインスクロールターボの採用、PCCSおよびタービンのノズル面積アップ、ブースト圧のアップ、高速型カムプロフィールの採用により出力を当時の自主規制値いっぱいの280 PSまで向上させた。しかし、本モデルのピストンは過給圧の上昇時にタナ落ちなどのトラブルが発生しやすかった。エボVでは再び鋳造ピストンが採用された。 エクステリアは、エボIIIでリアウイングを大型化した結果、前後の揚力バランスが取れなくなったため、バランスを見直して小型に設計されている。これによりフロントゼロリフト、空気抵抗係数(Cd値)0.30を実現した。 歴代のエボ同様に限定生産というかたちを取ったが、センセーショナルな形が人気を呼び歴代モデルの中では最も生産台数が多い。歴代モデルの中でも派手ながらもまとまったデザインであることや、5ナンバーで開発された最終チャンピオンマシンであることが好まれている。また、エボIVの開発後期から中谷明彦が開発に加わることになる。 RSにはスーパークロストランスミッション(Hi及びLo)がオプションで設定された。 用意されたボデーカラーは、スコーティアホワイト、スティールシルバー、パルマーレッド、ピレネーブラック、アイセルブルー。 WRC Gr.Aに1997年第1戦ラリー・モンテカルロから1998年第4戦ラリー・ド・ポルトガルまでの18戦に参戦し、1997年第4戦ラリー・ド・ポルトガル、第5戦ラリー・カタルーニャ、第7戦ラリー・アルゼンチン、第10戦ラリー・フィンランド、1998年第2戦スウェーディッシュ・ラリー、第3戦サファリラリーで優勝、1997年シーズンのドライバーズチャンピオンをトミ・マキネンが、グループNでも王座を獲得した。 台湾の歌手や俳優を務める柯受良が、1997年6月1日に中国山西省臨汾市にて、黄河の壺口瀑布 (幅55 m)をエボIV RSで飛び越える。 グレード体系グレードエンジン型式エンジン排気量最大出力最大トルク変速機車重生産台数RS 4G63(ターボ) 直列4気筒DOHC16バルブICターボ 1,997 cc 280 ps / 6,500 rpm 36.0 kg・m / 3,000 rpm 5速MT 1,260 kg 00941台 GSR 1,350 kg 12,193台 GSR(リア) RS(ドアミラーは改造されている) ベース車の5代目ランサーとGSR(96年Gr.Aテストカー仕様レプリカ)の比較
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