ラクダ科とは? わかりやすく解説

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ラクダ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/17 08:50 UTC 版)

ラクダ科
生息年代: 始新世中期-現在, 45–0 Ma
Є
O
S
D
C
P
T
J
K
Pg
N
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
亜目 : 核脚亜目 Tylopoda
: ラクダ科 Camelidae

ラクダ科(ラクダか)は、哺乳類偶蹄目(ウシ目)の生物分類単位世界各地で家畜として利用されるラクダラマアルパカなどが含まれる。

哺乳類の赤血球は無核で丸く、鳥類爬虫類の赤血球はがあり楕円形なのが普通であるが、哺乳類の中でもラクダ科の動物だけは無核だが楕円形をした赤血球を持っている。また、他の哺乳類とは異なり、重鎖だけで構成されるサイズの小さな抗体(ナノ抗体)を持つことが知られている[1][2]

ラクダ科の生物の進化

ラクダ科の生物の現在の分布は、過去の分布とは全く異なっている。北米原産との説が強く、また一時は北極圏にもラクダの仲間が生息していた可能性がある[3]

ラクダ科の生物は約4500万年前、始新世後期、偶蹄目の進化のごく初期に現在の北アメリカ大陸に現れた。ラクダ科に近縁の、最も古いラクダ亜目の生物にはウサギほどの大きさのプロティロプスがおり、四肢に4本のを持っていた。漸新世までには側指が失われ、ヤギほどの大きさのポエブロテリウムなどが現れた[4][5]

ラクダ科の生物の起源と移動

その後ラクダ科の生物は北アメリカ大陸で分化を続けた。2〜300万年前ごろにはラクダ科の生物が初めてアジアに現れ、パナマ地峡の形成とともに南アメリカ大陸にも移動した。北アメリカ大陸のラクダの仲間は、氷河期の終結する時期に最初のヒトが移住したのと同時に姿を消した。絶滅の理由は狩り尽くされたためとも環境の変化に適応できなかったためとも考えられる。ユーラシアではラクダ属の生物が分化を続け、南アメリカでは互いに近縁の4種、ラマアルパカグアナコビクーニャが生き残った。

化石種の生物は、現存するラクダ科の生物よりもはるかに多様な形態を持っていた。北アメリカのティタノティロプスは肩までの体高が3.5mもあり、最高でも2mほどの現在のラクダよりもはるかに大きかった。ステノミルスはガゼルのように華奢な生物で、を持っていた。アエピカメルスやオキシダクティルスは木の葉を食べるのに適したキリンのような背の高い生物だった[4]

ヒトコブラクダとフタコブラクダの間には「ブフト」と呼ばれる自然交配による種間雑種ができる。ヒトコブラクダ(雄)とラマ(雌)の間には人工授精によって属間雑種ができ、キャマ(カマ)と呼ばれる。

ラクダ亜目の分類

「†」は絶滅した系統を示す。

現存するラクダ科の系統樹

[6]

ラクダ科の祖先 北アメリカ

1200-2500万年前

ラマ類 1040万年前 640万年前 140万年前 ラマ 南アメリカ
グアナコ
ヴィクーニャ
アルパカ
ラクダ類 800万年前 フタコブラクダ アジア
ヒトコブラクダ アジア、アフリカ

ギャラリー

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Hamers-Casterman, C. et al., " Naturally occurring antibodies devoid of light chains", Nature 363, 446−448 (1993) doi:10.1038/363446a0
  2. ^ W.W.ギブズ, 「開発進むナノ抗体医薬」, 日経サイエンス 2006年1月号
  3. ^ “北極圏で350万年前のラクダ化石発見、カナダ”. AFPBB News. (2013年3月5日). https://www.afpbb.com/articles/-/2932430?pid=10390675 2013年3月5日閲覧。 
  4. ^ a b Savage, RJG, & Long, MR (1986). Mammal Evolution: an illustrated guide. New York: Facts on File. pp. 216-221. ISBN 0-8160-1194-X 
  5. ^ Palmer, D., ed (1999). The Marshall Illustrated Encyclopedia of Dinosaurs and Prehistoric Animals. London: Marshall Editions. pp. 274-277. ISBN 1-84028-152-9 
  6. ^ Cui, P.; Ji, R.; Ding, F.; Qi, D.; Gao, H.; Meng, H.; Yu, J.; Hu, S. et al. (2007). “A complete mitochondrial genome sequence of the wild two-humped camel (Camelus bactrianus ferus): An evolutionary history of Camelidae”. BMC Genomics 8 (1): 241. doi:10.1186/1471-2164-8-241. PMC 1939714. PMID 17640355. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1939714/. 

外部リンク


ラクダ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 02:51 UTC 版)

重鎖抗体」の記事における「ラクダ科」の解説

重鎖抗体IgGのような)を持つ哺乳類は、ヒトコブラクダラクダラマアルパカなどのラクダ科動物のみである。これは二次的な発達である。これらの抗体重鎖は、定常ドメイン1つ(CH1)を失い可変ドメインVH)が修飾受けており、いずれも軽鎖との結合必要な構造要素である。あるサブグループでは、画像のように、欠落したCH1が拡張ヒンジ領域置き換えられているようである。全体的な構造異なるにもかかわらず、ラクダ科の重鎖抗体は、拡張されたCDR3ループやCDR1のコンフォメーションなど、IgNARいくつかの特性共有している。このような類似性は、純粋な関係ではなく機能的な要求収斂進化よるものだと考えられている。 ラクダ科動物抗体の約50%は、通常の哺乳類重鎖/軽鎖型である。どのような種類動物重鎖抗体のみを持ち、2本の重鎖と2本の軽鎖を持つ一般的な種類を完全に欠いているかどうか不明である。 ラクダ科動物重鎖抗体は、通常の抗体同じよう特異的であることがわかっており、場合によってはより頑健である。また、従来抗体と同じファージパニング法(英語版)を使用して簡単に分離できるため、生体外ex vivo)で高濃度培養することができる。サイズ小さくドメイン単一であるため、細菌細胞形質転換して大量生産することが容易であり、研究目的最適な抗体となる。

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ラクダ科

出典:『Wiktionary』 (2021/08/03 13:53 UTC 版)

名詞

ラクダ ラクダ+ ラクダか)

  1. 分類学》 哺乳綱(wp)鯨偶蹄目(wp)ラクダ亜目(wp)下位分類される哺乳類の1タクソン、一分類群(wp))。

翻訳


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