マーク・ナンバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 00:58 UTC 版)
「軍用機の命名規則 (イギリス)」の記事における「マーク・ナンバー」の解説
大戦間期から、運用中の機体の派生型は「マーク・ナンバー」で表されることが一般的となった。これは型名の後に付けられるローマ数字で、ふつうは Mark あるは Mk. の後に付けられた(例: Fury Mk. I 「フューリー・マークワン」)。マーク・ナンバーは、エンジン型式の変更などの大規模な改変が施されると順番に増やされた。武装の変更などの小規模な改変を示すために、マーク・ナンバーの後にさらに大文字のアルファベットが付けられる事もあった(例: Bulldog Mk. IIA 「ブルドッグ・マークツー・エー」)。 第二次世界大戦時には、マーク・ナンバーの前にはその派生型の用途を示す接頭語(夜間戦闘機の NF, 爆撃機の B など)が付与された。1943年から1948年にかけてはローマ数字とアラビア数字が混在していた(en:Supermarine Spitfire variants参照)が、1948年には、アラビア数字へと統一された。この命名法は基本的に今日まで大きくは変わっていない。ただし新たな用途ができるたびに接頭語の種類は増えている。 典型的な例としては、ロッキード ハーキュリーズ(Hercules. アメリカ空軍などでは C-130 として知られるターボプロップ4発輸送機)が挙げられる。RAF(イギリス空軍)での最初の派生型はハーキュリーズ C1(Cargo, Mark 1. Cargo は輸送機の意)であったが、胴体を延長された次の輸送機型には C3 が付与された。3となったのは、天候調査用に作られたたった1機の派生型が既に W2 という名称を占めていたからである。 マーク・ナンバーは異なる三種類のスタイルで書かれる事がある。たとえば、 Hercules C Mark 3 - めったに使用されない Hercules C Mk 3 - 公式のスタイル Hercules C3 - よく見かける省略したスタイル さらに、フルストップ(ピリオド)が数字の前に置かれることが頻繁にある(例: C. Mk. 3 だとか C.3 など)。ただしこのフルストップ方式は現在運用中の機体については公式には使用しないことが近年決まった。 ローマ数字の時代と同様に、大幅な改変があると数字が変更される。たとえば、ハリアー GR7 がより強力なエンジンと電子装備によって改良された際には、ハリアー GR9 への改称がなされた。小規模な改修についてもやはり同様で、たとえば、VC-10 C1(輸送機)が空中給油機へ改修されると VC-10 C1K の名称となった。 用途を表す接頭語は以下のようである(過去のものも含む): 接頭語説明例A Airborne エアボーン。空挺部隊輸送 ハリファックス A7 AOP Airborne observation post 空中観測ポスト Auster AOP9 AEW Airborne early warning 空中早期警戒 セントリー AEW1 AH Army helicopter 陸軍ヘリコプター アパッチ AH1 AL Army liaison 陸軍連絡 アイランダー AL1 AS Anti-submarine 対潜水艦 ガネット AS1 ASR Air-sea rescue 航空海上救難 シーオッター ASR.II ASaC Airborne Surveillance and Control 空中監視統制 シーキング ASaC7 B Bomber 爆撃 バルカン B2 B(I) Bomber/interdictor 爆撃ないし阻止攻撃 キャンベラ B(I)8 B(K) Bomber/tanker 爆撃ないし空中給油 ヴァリアント B(K)1 B(PR) Bomber/photo reconnaissance 爆撃ないし写真偵察 ヴァリアント B(PR)1 C Transport 輸送 ハーキュリーズ C4 CC Transport and communications 輸送と通信 BAe 125 CC3 COD Courier - later Carrier - onboard delivery ガネット COD4 D Drone or pilotless aircraft ドローン(無人機) Shelduck D1 E Electronic warfare 電子戦 キャンベラ E15 ECM Electronic counter-measures 電子妨害 アヴェンジャー ECM6 F Fighter 戦闘 ユーロファイター タイフーン F2 FA Fighter/attack 戦闘ないし攻撃 シーハリアー FA2 FAW Fighter, all-weather 全天候戦闘 ジャベリン FAW9 FB Fighter-bomber 戦闘爆撃 シーフューリー FB11 FG Fighter/ground attack 戦闘ないし対地攻撃 ファントム FG1 FGA Fighter/ground attack 戦闘ないし対地攻撃(後にFGへ) ハンター FGA9 FGR Fighter/ground attack/reconnaissance 戦闘、対地攻撃、ないし偵察 ファントム FGR2 FR Fighter/reconnaissance 戦闘ないし偵察 ハンター FR10 FRS Fighter/reconnaissance/strike 戦闘、偵察ないし(核使用を含む)攻撃 シーハリアー FRS1 GA Ground attack 対地攻撃 ハンター GA11 GR General reconnaissance 全般偵察(後にMRへ) ランカスター GR3 GR Ground attack/reconnaissance 対地攻撃ないし偵察 ハリアー GR9 HAR Helicopter, air rescue 空中救難ヘリコプター シーキング HAR3 HAS Helicopter, anti-submarine 対潜ヘリコプター シーキング HAS2 HC Helicopter, cargo 輸送ヘリコプター チヌーク HC2 HCC Helicopter, transport and communications 輸送・通信ヘリコプター スクワロー HCC1 HF High-altitude fighter 高高度戦闘機(スピットファイア専用) スピットファイア HF.VII HM Helicopter, maritime 海上ヘリコプター マーリン HM1 HMA Helicopter, maritime attack 海上攻撃ヘリコプター リンクス HMA8 HR Helicopter, rescue 救難ヘリコプター ドラゴンフライ HR5 HT Helicopter, training 練習ヘリコプター グリフィン HT1 HU Helicopter, utility 汎用ヘリコプター シーキング HU4 K Tanker 空中給油 VC-10 K4 KC Tanker/transport 空中給油ないし輸送 トライスター KC1 L Low-altitude fighter 低高度戦闘機(シーファイア専用) シーファイア L.III LF Low-altitude fighter 低高度戦闘機(スピットファイア専用) スピットファイア LF16 Met Meteorological reconnaissance 気象偵察(後にWへ) ヘイスティングス Met.1 MR Maritime reconnaissance 海上偵察 ニムロッド MR2 MRA Maritime reconnaissance and attack 海上偵察ないし攻撃 ニムロッド MRA4 NF Night fighter 夜間戦闘 ベノム NF2 PR Photographic reconnaissance 写真偵察 キャンベラ PR9 R Reconnaissance 偵察 センチネル R1 S Strike (核使用を含む)攻撃(主に海軍航空隊の保有機) バッカニア S2 SR Strategic reconnaissance 戦略偵察 ヴィクター SR2 T Training 練習 ホーク T1 TF Torpedo fighter 雷撃戦闘 ボーファイター TF10 TR Torpedo/reconnaissance 雷撃ないし偵察 シーモスキート TR33 TT Target tug 標的曳航 キャンベラ TT18 TX Training glider 練習グライダー カデット TX3 U Drone or pilotless aircraft ドローンまたは無人機(後にDへ) ミーティア U3 W Weather research 天候調査 ハーキュリーズ W2
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