ペチョーリンの性格的特徴とは? わかりやすく解説

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ペチョーリンの性格的特徴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 03:06 UTC 版)

現代の英雄」の記事における「ペチョーリンの性格的特徴」の解説

有能な職業軍人であるペチョーリンは、無為徒食許される地主貴族型の余計者オネーギンオブローモフなど)とは一線を画しているかに見える。にもかかわらず、ペチョーリンが常にロシア文学余計者の代表に挙げられる理由は、彼の意識支配する退屈と倦怠にある。『ベラ』でのマクシム・マクシームィチへの告白見られるように、金で買える満足、上流社交界美女たちとの恋、読書学問挑んだものにはすべて飽き来て、「チェチェン人弾丸の下には退屈はあり得まい」と始まったカフカース生活も、1か月もすると弾丸にも緊張にも慣れ期待大きかった分、一層退屈は耐え難いものとなる。異郷美少女ベラでさえ、最初は「慈悲深い運命の女神つかわされ天使であったものが、4か月もすると「山出しの娘の恋は、名門御婦人の恋より、ほんの少しましなだけです。片方無知純朴さにも、もう片方嬌態同じくらい、飽き飽きさせられます」と、倦怠支配されている。そして、自分を退屈から救い出してくれるものは、いまや遠い異国への旅しあるまい、と告白を結ぶ。『公爵令嬢メリー』の最後でも、ペチョーリンは、自分陸にいると退屈することを宿命づけられ、迎えの船を待っている船乗りのようなものだ、と書いて筆を置いている。ベラ臨終3日間は、ペチョーリンはずっと付き添っていたが、M.M.はいみじくもベラ捨てられる前に死んで良かったですよ」と「私」語っている。 これと並んで周囲の人間へのエゴイスティックで冷たい態度も、ペチョーリンの主要な特徴である。これも「民衆知らないために現実から遊離し活動地盤持たない根無し草のような存在」という余計者特徴重なる。『マクシム・マクシームィチ』での M.M.への態度、そして『公爵令嬢メリー』でのグルシニツキーへの態度端的に表れているが、『ベラ』で M.M.に退屈と倦怠告白する場面でも、「自分誰かの不幸の原因になっている時には自分もそれに劣らず不幸なのです」という自己正当化論理見られ冷酷冷笑的なエゴイストという描写は、全篇随所散りばめられている。 ペチョーリンの女性へ態度は更に破滅的である。『公爵令嬢メリー』では『ベラ』の遙か上を行き最初から「誘惑する気も無ければ結婚する気も無い」(『公爵令嬢メリー6月3日メリーに、グルシニツキーやヴェーラとの力学、そして彼女は自分になびくという確信5月23日)だけで接近し、関わった人間はみな不幸になる。この悲劇繰り返しには伏線存在する。ペチョーリンが赤ん坊の頃、母親占い老婆に「この子悪妻原因で死ぬ」と予言されており(6月14日)、それゆえ「女のほかにはこの世何一つ愛したものが無く、女のためなら何もかも犠牲にする覚悟でいる」(6月11日)にもかかわらず、「結婚を少しでも意識すると、燃えるような恋もたちまち冷めてしまう」(6月14日)。 尚、ベラ拉致たばかりのペチョーリンが、M.M.に「彼らの習慣によれば、私は彼女の亭主なのですよ」と答え場面を、「善悪区別麻痺した傲岸不遜エゴイズム」と解釈することは、半分当たっている。イスラーム遊牧民山地民には、カーリム(イスラーム結納マフル)の相場が高すぎる時には誘拐結婚風習見られたが、「こうした誘拐当然に関係する集団による血の復讐発展したり、それに応酬する血塗れ騒動ともなったので、いくら遊牧民のあいだとはいえ見ず知らず集団のあいだで、それほど頻繁に誘拐結婚が行われたとは考えにくい。実際には、カーリムを払えない人びとがあらかじめ合意の上行ったであろう。それは、彼女の両親前もって集めた親族一同面前騎馬若者女性をさらう儀礼から由来するであろう」。勿論、ペチョーリンが「彼らの習慣」(原文 по-ихнему)をそこまで深く学んでいた形跡は無い。

※この「ペチョーリンの性格的特徴」の解説は、「現代の英雄」の解説の一部です。
「ペチョーリンの性格的特徴」を含む「現代の英雄」の記事については、「現代の英雄」の概要を参照ください。

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