シューベルト:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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シューベルト:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ長調 | Sonate für Klavier Nr.17 D-Dur D 850 Op.53 | 作曲年: 1825年 出版年: 1826年 初版出版地/出版社: Artaria |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro vivace | 8分00秒 | |
2 | 第2楽章 Mov.2 Con moto | 13分30秒 | |
3 | 第3楽章 Mov.3 Scherzo: Allegro vivace | 8分30秒 | |
4 | 第4楽章 Mov.4 Rondo: Allegro moderato | 8分00秒 |
作品解説
1825年の4,5月に2つのピアノ・ソナタ第15、16番を作曲した後、シューベルトは上オーストリアの旅に出た。第17番はその旅先で書かれたものである。この作品も前作に引き続き、シューベルトの生前に出版されることができた。献呈は友人でもあるピアニストのカール・マリア・フォン・ボックレット(1801-81)になされている。
40分近くもかかるほど拡大されたソナタであるにもかかわらず、全体を通して精気に満ち充実した作品であるのは、同年にウィーン楽友協会の補欠理事に選出されるなど、音楽家として認められたことによる作曲家の自信の表れだろうか。
なお、この旅行中には、消失したと考えられていた《ガスタイン》交響曲も作曲されている(現在ではそれは《ザ・グレイト》のことであると考えられている)。
第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ、ニ長調、4/4拍子。ソナタ形式。和音を中心とした響きの豊かな第1主題と、リズムを生かしたスケルツァンドな第2主題から成る。展開部には多彩な転調がみられる。
第2楽章:コン・モート、イ長調、3/4拍子。拍節感の曖昧さがおもしろい。3拍子のはずだが、どこか6/8拍子に感じられてしまう。途中に現れる歌のような主題がシューベルトらしく、魅力的である。
第3楽章:スケルツォ。アレグロ・ヴィヴァーチェ、ニ長調、3/4拍子。前楽章にひきつづき、リズム遊びを楽しませてくれる。ヘミオラが多用されるが、トリオ部で3拍子の感覚を取り戻せる。
第4楽章:ロンド。アレグロ・モデラート、ニ長調、4/4拍子。軽い雰囲気のフィナーレ。途中、力強さを見せるものの、全体的にかわいらしく、最後は眠りに落ちるかのように終わる。
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第17(16)番 変ロ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第17(16)番 変ロ長調 | Sonate für Klavier Nr.16 B-Dur K.570 | 作曲年: 1789年 出版年: 1796年 初版出版地/出版社: Artaria |
作品解説
モーツァルト自身が作成した『自作目録』には、1789年2月の日付と、「クラヴィーア用のソナタ」とある。ただし、作曲者死後の1796年にアルタリア社から出版された初版譜は、「ヴァイオリン付きのソナタ」となっている。この編曲がモーツァルト自身の手によるものなのかは不明であるが、他人の手によるものであるという説が有力である。
第1楽章 変ロ長調 4分の3拍子 ソナタ形式
主要主題は、冒頭にユニゾンで開始される2分音符+4分音符リズムの分散和音音型をもっている。旋律的にも律動的にも発展的要素があまり感じられないこの動機が、実は楽章全体の核となっている。29小節にわたる長い推移部の中に、下属調の推移主題があらわれる(第23小節~)。属調の副次主題は、主要主題の冒頭楽想によって導かれ、同音反復と順次下行音型から成る(第41小節~)。この主題も、旋律的な性格は弱く、この楽章における唯一のカンタービレ楽想は推移主題ということになる。
後半部分(第80小節~)は、この推移主題によって開始される。変ニ長調、変ロ短調、ヘ短調、ハ短調、を経過的に経由し、ト短調へと至る。属和音に終止すると、今度はト長調で副次主題があらわれる。しかし、ト長調の主和音はすぐにハ短調の属和音へと読みかえられ、上声と下声を転回してハ短調、ヘ短調へと転じ、変ロ短調を経由して主調の変ロ長調へと回帰する。
主要主題の再現(第133小節~)、副次主題の主調再現(第171小節~)を経て、提示部と同様のコーダ(第199小節~)をもって楽章を閉じる。
第2楽章 変ホ長調 4分の4拍子
Adagioの緩叙楽章。分散和音の下行・上行を描く旋律線は、第1楽章の主要主題との親近性を意識させる。ハ短調のエピソードをはさんで主題が回帰し、今度は変イ長調のエピソードがあらわれる。変ト音の出現によって変ホ短調を思わせながら、属和音を経由し、主題が回帰する。なお、この2度目の主題の回帰直前において、新モーツァルト全集はアインガングの挿入を提案している。
第3楽章 変ロ長調 2分の2拍子
第1楽章とは対照的に、躍動感に満ちた上昇指向の旋律線が特徴的な主題によって開始される。続いて、シンコペーション・リズムを特徴とした主題があらわれる(第23小節~)。この主題は、同音反復のバス声部をともなっており、この動機が次のセクションにおいて中心的な役割を果たすことになる。
2小節の短いブリッジを経て、同音反復と半音階下行を特徴とした中間部となる(第45小節~)。半音階的な変化音をともなった16分音符のパッセージが、切れ間なく冒頭主題の再現に接続し(第63小節)、シンコペーション・リズムの主題を再現した後(第71小節~)、同音反復によるバスが余韻を残す短いコーダ(第85小節~)をもって楽曲を閉じる。
ピアノソナタ第17番
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