シューベルト:ピアノ・ソナタ 第15番 ハ長調「レリーク」
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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シューベルト:ピアノ・ソナタ 第15番 ハ長調「レリーク」 | Sonate für Klavier Nr.15 C-Dur 'Reliquie' D 840 | 作曲年: 1825年 出版年: 1861年 初版出版地/出版社: Whistling |
作品解説
未完のソナタ。《レリーク》(遺作の意)という呼び名は、1861年の初版譜にそう記されたことによる。第3,4楽章が不完全だが、最初の2楽章だけでも十分すぎる長さと存在感をもっているため、しばしば演奏の機会を与えられている。クジェネークによる補完版(1921)もある。楽章構成や細かなアーティキュレーションにおいて次作のソナタ第16番と類似している部分がみられるため、その試作と解釈されることもあるが、決して単なる踏み台といったレベルの作品ではないだろう。特に、第1楽章の転調による色彩的な幅は、他ジャンルの後期作品における特徴のひとつにもなっている。
第1楽章:モデラート、ハ長調、4/4拍子。ソナタ形式。
いくら転調好きのシューベルトといえど、こんなにも大胆な和声付けは、これ以前のソナタに例をみないものである。ハ長調という調設定と、冒頭のユニゾンによる調的に曖昧な旋律が、あらゆる調を自由に彷徨う音楽をほのめかしている。そして、和声とともに、シンコペーションのリズムや前打音・アクセント記号による強調音が、音楽を強力に引き締めている。
第2楽章:アンダンテ、ハ短調、6/8拍子。
異なる性格をもった3つの主題から成る抒情的な楽章。
第3楽章:メヌエット。アレグレット、変イ長調、3/4拍子。
トリオ部は完成しているが、メヌエット部が、あとわずかのところで断筆している。
第4楽章:ロンド。アレグロ、ハ長調、2/4拍子。
272小節より先が空白である。非常に軽快で楽しいエピソードが詰まっている楽章なので、ことさら未完成であることが惜しまれる。
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