ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調月光とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 趣味 > ピティナ・ピアノ曲名 > ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調月光の意味・解説 

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調「月光」

英語表記/番号出版情報
ベートーヴェンピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調月光Sonate für Klavier Nr.14 cis-Moll "Sonata quasi una fantasia"(Mondscheinsonate) Op.27-2作曲年1801年  出版年1802年  初版出版地/出版社: Cappi 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1楽章 1.Satz Adagio sostenuto6分30秒
2 第2楽章 2.Satz Allegretto and Trio2分30秒
3 第3楽章 3.Satz Presto agitato7分30秒

作品解説

執筆者: 小崎 紘一

ベートーヴェンピアノソナタ中でも、そのポピュラー旋律によって広く親しまれている、1802年作品ベートーヴェン書き記したのは「幻想曲風ソナタ」という部分であり、「月光」の呼び名詩人ルードヴィヒ・レルシュターブにより寄せられコメント(「ルツェルン湖月光の波に揺らぐ小舟のよう」)から採られている。レルシュターブはシューベルトリート作詞していることなどで知られている。
 第一楽章厳かさ・精神性はそのロマンティシズム相まって夜曲としてのイメージ想起させるかもしれないが、それだけでは説明つかない諦観とでもいうべきトーン覆われている。それが第三楽章激し昂ぶりをもって展開されるとき、この感情噴出私的なものに起因している可能性示唆される。嵐、稲妻そういった人間抗えない猛威の中で地を踏みしめるベートーヴェンの姿が見える。
 作曲家作品生み出す経緯はさまざまである献呈憧憬望郷反体制、そして勿論人間関係。ベートーヴェンにとっても例外ではなく、この作品捧げたジュリエッタ・グイッチャルディへの想いがこの作品性格づけている。知人の手紙では「愛らしい魅惑的な娘」と打ち明けることもあった彼女の存在は、彼の人生にとって非常に明る契機となっていた。ただ、前述の手紙の中では身分違い理由にこの恋が成就しないであろうことも告白している。また、数ある書簡集中でもベートーヴェンがグイッチャルディに宛てた手紙見当たらないベートーヴェンが自らの心情を音に独白させたかのようなこのソナタは、月の光のような円やか印象よりも、人生決然として向き合う作曲家ベートーヴェン、そのあまり見ることのない背中眺め思いがする。
 当時ベートーヴェンは、ピアノソナタ始め弦楽四重奏曲など、従来ジャンル咀嚼研究しながら新たな作曲上の問題取り組もうとする、ある意味過渡期潜っている。この作品に関して幻想曲というタイトル通り即興的な要素持ち込まれたり、初め意識的にペダル(当時は肘梃子)の使用第一楽章)を細かく明記したりと、さまざまなアイデア聴くことができる。この時期諸作数々同年ハイリゲンシュタットにて遺書作成した後に踏み入れることになる傑作として芽吹くことになる。




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調月光」の関連用語

ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調月光のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調月光のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
社団法人全日本ピアノ指導者協会社団法人全日本ピアノ指導者協会
Copyright 1996-2025 PianoTeachers' National Association of Japan

©2025 GRAS Group, Inc.RSS