ピアノ・ソナタ 第16番 ハ長調とは? わかりやすく解説

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モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第16(15)番 ハ長調

英語表記/番号出版情報
モーツァルトピアノ・ソナタ16(15)ハ長調Sonate für Klavier Nr.15 C-Dur K.545作曲年1788年  出版年1805年  初版出版地/出版社Bureau d'arts et d'industrie 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第1楽章 Mov.1 Allegro4分30秒
2 第2楽章 Mov.2 Andante4分00
3 第3楽章 Mov.3 Rondo-Allegretto1分30秒

作品解説

2009年12月 執筆者: 岡田 安樹浩

モーツァルト自身がつけていた『自作目録』には、1788年6月26日日付があり、「初心者のための小クラヴィーア・ソナタ」と書かれているウィーン時代作曲されたクラヴィーア・ソナタには、作曲の経緯が明らかとなっているものがなく、このソナタも『自作目録』のタイトルから、おそらく弟子のために書かれたものか、レッスン用の曲を依頼され作曲したものと推測されるが、着手経緯不明のままである
このソナタが、今日でもピアノレッスン教材として広く親しまれていることは、作曲者によって記入された「初心者用」のタイトル付されていることも然ることながら、簡素な旋律コンパクトにまとめられ形式をもっていることからも、うなずける

第1楽章 ハ長調 4分の4拍子 ソナタ形式
アルベルティ・バスの上に、重音ともなわないシンプルな旋律による主要主題提示される音階パッセージによる推移(第5小節~)を経て同様にシンプルな楽想副次主題属調ト長調あらわれる(第14小節~)。分散和音による推移(第18小節~)の後に、短いコーダともなって前半閉じる。
後半(第29小節~)は、属調の同主短調であるト短調で、主要主題によって開始され、すぐに二短調転じる。そして、音階パッセージによってイ短調からヘ長調へ至る。
主調下属調であるヘ長調で主要主題再現され(第42小節~)、音階パッセージによる推移部が拡大される(第46小節~)。
この下属調による主要主題再現は、しばしば特異なものとして指摘されるが、本来2部形式発展したソナタ形式にとっては決して珍しいことではない。たしかにモーツァルトの他のクラヴィーア・ソナタには例がないが、古いタイプソナタには下属調での再現見られシューベルトソナタにも例が認められる
むしろ重要なことは、この下属調への転調不可避なものではなく意図的であると考えられることである。というのも主題再現直前調性イ短調取っており、平行長調であるハ長調主調)への転調は、自然に行うことができたはずだからである。
また、音階パッセージによる推移部の拡大によって、調性ヘ長調からハ長調転じるが、結局は提示部同様に属和音終止してしまうため、副次主題再現唐突な印象すら与える(自然な再現目指すならば、ハ長調主和音終止する必要がある)。とすれば、実は、この音階パッセージ拡大意図があり、それは「初心者のための」というタイトルから引き合い出せば左右の手による音階練習意図的に組み込んだのかもしれない
以降主調による副次主題再現(第59小節~)と、分散和音による推移経て前半同様のコーダをもって楽章閉じる。

第2楽章 ヘ長調 4分の3拍子
Andanteの緩叙楽章終始アルベルティ・バスの上旋律奏でられる。旋律中には音階分散和音といった音型と、レガートスタッカートという対照的なアーティキュレイション盛り込まれている。こうした表情豊かな旋律は、モーツァルト作品において珍しいものではないが、これらが、意図して用いられたと考えることもできよう
全体3つの部分からなり第1部第2部それぞれ反復記号によって繰り返されるが、第3部前半前半2部分の程度小節をもっており、大きなバール形式ととらえることもできよう
第1部では、8小節主題とその変奏第2部(第17小節~)は属調はじまり、主調第1部後半部分を繰り返し簡潔な2部形式構成している。
第3部(第33小節~)は同主短調ト短調開始され主題変奏される。変ロ長調ハ短調経て再びト短調回帰するが、すぐにト長調へと転じて主題再現する(第49小節~)。最後に下属調ハ長調経由して楽章閉じる。

第3楽章 ハ長調 4分の2拍子 ロンド形式
ロンド主題は、3度重音3度下降跳躍する上声部を、低声部が模倣する動機によって特徴づけられている。この「3度重音」は随所用いられており、この楽章における学習課題であると考えられる属調ト長調でのクープレ主題、平行短調イ短調転じた中間部それぞれにロンド主題における3度重音動機あらわれている。

上のように、このソナタ学習用という観点から分析すると、各楽章学習課題用意されており、それらを十分に消化することができるように楽曲構成されていることが分かる


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