パノラマカメラとは? わかりやすく解説

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パノラマ‐カメラ【panorama camera】

読み方:ぱのらまかめら

パノラマ写真撮影するためのカメラ


パノラマカメラ

読み方ぱのらまかめら

規格化され画面タテヨコ比( アスペクト比 )、たとえば2:3や3:4に対して横長画面撮影するカメラアスペクト比9:16上の非常にヨコ長い画面になる。広い風景撮影して効果を出すためには有効なカメラである。一時AF一眼レフコンパクトカメラに「パノラマモード」が搭載されたが、これは35mm画面の上下を覆うことにより、横長画面作り出すもので、「疑似パノラマカメラ」と言える本格的なパノラマカメラはフジフイルムTX-2のように、同じ35mmフィルム使っても、フィルムアパーチャー(開口部)がヨコ長くなっていて、フルフィルム画面使ったパノラマ撮影が可能となっている。なお、写真歴史の中ではパノラマ写真というのは表現として使われてきていて、たとえばジャック=アンリ・ラルティーグ写真などが有名である。

パノラマカメラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/16 06:51 UTC 版)

パノラマカメラPanorama Camera )は、極端に広い横幅(画角)をひとコマに撮影するパノラマ写真を撮影するためのカメラである。プロジェクター、ビデオカメラやデジタル一眼レフ用途のアナモルフィックレンズを通常のカメラと組み合わせる方法には言及しない。

パノラマカメラには、大きく分けて二つの方式がある。一つはレンズの方向を固定して一度に撮影する方式で、撮影できる範囲は最大でも全天の半分程度である。つまり大きな死角が生じるという欠点がある。もう一つはレンズの方向を変えながら連続的もしくは複数回に分けて撮影する方式で、全天、もしくはそれに近い範囲を撮影できるが、撮影に時間がかかるため動く物体が変形したりつながらないという問題が生じる。

幾つか特有の制限がある。パノラマを謳ったカメラは殆どがレンジファインダーのためレンズに装着したフィルターの効果や絞り込んだ時のピント移動は確認不能。加えてレンズ回転方式は露光時間も調節幅が狭くレリーズと組み合わせた長時間露光が使えない。レンズ固定方式も標準レンズより広い画角では画面両端が露出不足になり易く、フジTX-1/2=ハッセルブラッドXPanでは専用のセンターNDフィルターが用意されていた。

レンズ回転方式

スイングレンズ方式

ワイドラックス

もっとも歴史のあるパノラマカメラ。円弧状のフィルム室にフィルムをセットし、縦方向のスリットを持つシャッターと、そのスリットに同期して円弧状に動くレンズで構成されるカメラ。つまり、一種のフォーカルプレーンシャッターである。この回転は一般的なフォーカルプレーンシャッターと同じくぜんまいばね、もしくは電動で行われる。その構造上実際のシャッターの動きはそれほど速くないが、通常のフォーカルプレーンシャッターと同じくスリット幅を変えることができるため、擬似的にシャッタースピードを速くできる。その画角と構造上フラッシュ撮影は困難。

1843年にオーストリアのJoseph Puchbergerという人物が画角150度のパノラマカメラの特許を取っている。

最初の製品とされるのは、1845年発売のメガスコープである。スイングレンズ方式で、曲面ガラスをダゲレオタイプで使用する。考案者はフランス在住だったドイツ人フレデリック・マルタンで、1844年には案ができていたという。後に甥のルドウィッヒ・シラーが写真湿板用に改良した[1]

元来は気象観測や軍事用途に使われたようだ。主な製品はパノンカメラ商工のワイドラックス、S・A・ズヴェーレフ記念クラスノゴールスク工場のホライゾン、WIDEPAN、NOBLEXなど。

構造は、下記のカメラ回転方式のカメラをレンズ部分だけが回転するように簡略化したもので、画角は最大でも150度程度である。

カメラ回転方式(フィルム式)

1857年10月6日にイギリスのM・ガレラ(M. Garella )が360度の画角を持つパノラマカメラの特許を取っているが、これは考案だけで実用化には至らなかった[2]

1862年9月5日にジョン・R・ジョンソンとジョン・A・ハリソンが特許を取得した。これに基づいて後に「パンタスコーピック・カメラ」が発売された[2]

1904年にアメリカのウィリアム・J・ジョンストンがアメリカ特許を取得、すぐにロチェスター・パノラミック・カメラ(Rochester Panoramic Camera )がサーカット(Cirkut )カメラを開発し、業務用パノラマカメラの定番となった。1905年にはロチェスター・パノラミック・カメラはセンチュリー・カメラに合併され、センチュリー・カメラは1907年にコダックに合併され、1905年からはフォルマー&シュウィング部門での生産となった。現在でもコダックはサーカットカメラ専用のフィルムを生産していて、現役のカメラとして使われている[3]

同様の機構を持ち、より小型で個人向けのカメラとしては、スイスSeitz社のRoundShotがある。これは135フィルムや120フィルムを使っている。

構造は、普通のカメラが水平に360度回転するものと言えるが、フィルムの前に縦のスリットがあり、レンズの焦点距離と回転角度に応じてフィルムが巻き取られる、という点が特殊である。フィルム面が円筒状になるため画像が歪むが、そのまま見られる。

画質は、5インチ幅のフィルムを使った場合、横幅が30インチにもなり、非常に良い。

画角は、円周魚眼レンズを使った場合天頂まで撮れるが、下方向に三脚が写り込むのは避けられない。また、フィルムの前にスリットがあることから、暗い環境では非常に長い撮影時間を要する。したがって、動く物体が変形したり、ぶれたり、消えるという問題がある。

これの変形としてカメラを中心からずらし、レンズを中心に向け、中心点には被写体として景色の代わりに小さなものを置く方法がある。たとえば人間の顔を被写体とすれば、写真は顔の皮を剥いて広げたようになる。つまり360度すべてを同時に見ることができる。ただし、被写体には凹凸があるので、焦点を合わせるのが困難になる。

カメラ回転方式(電子式)

上記のカメラ回転方式のパノラマカメラのフィルムをCCD等の撮像素子に置き換えたもので、アメリカPanoscan社のPanoscan等がある。

機械的な構造は、平面的な撮像素子を内蔵した通常のデジタルカメラより、直線的な撮像素子を内蔵したスキャナに近い。

その他の特徴は、フィルム式のカメラ回転方式に準ずる。画質はよいが、暗い環境で撮影できないのが難点である。

通常のセンサーを持ったカメラやスマートフォンなどの応用製品には高度な手ぶれ補正と撮影者による首振りや連続撮影で一枚のパノラマ写真を合成するものもある。撮影用ドローンやカメラ安定用ジンバルの制御によりパノラマ撮影を自動化しているものもある。

レンズ固定方式

ワイドビュー方式

コンパクトカメラのパノラマは上下をトリミングしたもの

単にひとコマのフレームが横に広いだけで構造上は普通のカメラであり、撮れる写真も直線が直線として写る普通の写真である。

歴史的には、1860年に発売された「サットン・パノラミックカメラ」が最初である[1]

120フィルムを採用するカメラとしては、富士フイルムのフジカパノラマG617プロフェッショナル/フジパノラマGX617プロフェッショナル、富山製作所のアートパノラマ240とアートパノラマ170である。フジパノラマGX617プロフェッショナルはレンズ交換が可能である。

マミヤ6MF、マミヤ7も別売りパノラマアダプターキット併用によりパノラマに対応しているが、120フィルムではなく135フィルムを使う。

1990年代の多くのコンパクトカメラに、フレームの上下をトリミングすることで横幅の広いフレームを実現する機能が搭載されていた。当初標準的なフレームサイズはなかったが、日本写真機工業会[4]のパノラマ委員会が標準寸法13.3×36.4mmを策定した。

ミラー(もしくはレンズ)方式

通常のレンズの先端に特殊なミラー、もしくは特殊なレンズ、もしくは特殊なミラーとレンズを組み合わせた部品を取り付けたカメラで、水平方向に360度、垂直方向に100度程度の画角が得られる。ミラー方式はEGG Solution社やKAIDAN社の360 One VR等がある。ワンショットで360度の視界を得られるため、簡単に全方位の撮影ができる。

構造は普通のカメラの先端に特殊なアダプターを付けたものである。撮れる写真は円形になり、人間が見るためにはソフトウェアを使って平坦な画像に変換する必要がある。また、一枚の写真データーを大きく引き伸ばすため画質は低下する。

脚注

  1. ^ a b 『クラシックカメラ専科No.11、コレクターズ情報満載』p.67。
  2. ^ a b 『クラシックカメラ専科No.11、コレクターズ情報満載』p.68。
  3. ^ 『クラシックカメラ専科No.11、コレクターズ情報満載』p.71。
  4. ^ すでに解散しカメラ映像機器工業会が後を引き継いだ。

参考文献

  • 『クラシックカメラ専科No.11、コレクターズ情報満載』朝日ソノラマ

関連項目

外部リンク


パノラマカメラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/06 06:05 UTC 版)

朝6生ワイド」の記事における「パノラマカメラ」の解説

番組彩るのは、道内各所設置されたパノラマカメラ。1990年番組開始時は、札幌と、この番組開始合わせて設置され函館旭川釧路の4か所だったが、現在はその数を増やし設置場所札幌テレビ放送記事参照)、四季折々映像送り届けている。 また、2006年6月札幌地区地上デジタル放送開始に伴い、ハイビジョンサイズで高画質の「スーパーパノカメ」が登場した移設も可能で毎朝札幌近郊から美し映像届けている。「スーパーパノカメ」を使用していない地点でも、2010年7月アナログ放送におけるレターボックス放送開始以降すべての地点4:3標準画質上下カットした16:9サイズ変更された(標準画質変わらず。これは本番組に限らずどさんこワイドニュース番組でも同様となっている)。なお、これらのカメラ映像一部は、STVウェブページライブカメラ外部リンク)でも見ることができる。 各地にパノラマカメラが設置されていることや、後の時間に『ズームイン!!SUPER』があること、また番組が高い視聴率獲得していることもあって、ここ数年早朝時間帯にも事件事故現場から生中継をする回数増えている。 特に災害時などではその効力遺憾なく発揮し2003年9月26日4:50発生した平成15年十勝沖地震では、地震発生時刻が番組放送開始直前ということもあって、番組開始とともに十勝沖地震情報放送し震源地に近い釧路のパノラマカメラが津波備え沖へ逃げ漁船集団映し出し震源地に近い地域のパノラマカメラをフル活用し、視聴者自宅居た報道スタッフから送られた、被害状況停電状況伝えFAXメール情報として伝えることで、地震不安に陥った視聴者を安心させた。 また人員体制揃っていたため、6:30から飛び乗りネット放送している『ズームイン!!SUPER以降日本テレビ系全国ネット番組一切放送せず、引き続き道内向けにローカル独自編成実施して十勝沖地震関連災害報道引続き放送するという、民放でもこれまで前例の無い番組編成であった。しかしその結果災害報道では視聴者から絶大信頼得ているNHK上回る視聴率獲得することとなった。この時、番組視聴率40パーセント占有率74パーセント超えNHKより支持をうけた。 なお、この時日テレビへ全国向け放送は、当番組の映像流れるもののほとんどはパノラマカメラのライブ映像のみ(STVスタジオ映像になった途端に日テレスタジオ映像慌てて切り替えていた)で音声入らず東京から断片的に伝えられる情報直接被災地役場等へ電話繋いで独自に情報聞き出していた。また、最新情報についてはSTVニュースセンターから裏送り入れていた。

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