ニコノスシリーズボディー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/11 06:52 UTC 版)
「ニコンの全天候カメラ製品一覧」の記事における「ニコノスシリーズボディー」の解説
陸上でも使用可能なレンズが用意されており、水中に限らず全天候カメラとしての側面があった。しかしピント合わせは目測によるため、よほどの熟練者でも広角レンズ以外は使いにくい。 ニコノス(1963年8月発売) - フランスの潜水用品メーカーであるラ・スピロテクニーク(La Spirotechnique )の製造販売していた水陸両用カメラカリプソを原型としほぼそのまま日本光学工業が自社製レンズを使う水中システムカメラとして製造したもの。強靱な金属外殻にプラスチックを真空含浸しマクロホールをふさぎ、Oリングを併用して6気圧防水を実現した。レンズマウント部を含めた楕円形の外殻に(レンズを外した状態の)カメラ本体を上から押し込むような構造で、再度レンズを外さないとフィルムの交換ができず、レンズを装着したまま無理に本体を押し上げようとするとボディ左右両端の爪を折ってしまう危険があるので注意が必要である。シャッターもフォーカルプレーン式だが独自の構造のもので、巻き上げレバーもシャッターレリーズと両用だった。レンズは水陸両用のものと、水中専用のものが用意された。これは空気中と水中では収差の出かたが違い、水陸両用のレンズでは画面周辺部の画質に問題があったためである。メインのレンズはニコンS時代の35mmF2.5をリファインした水陸両用レンズ。ボディ内蔵のファインダーはこのレンズの陸上専用のもので、水中撮影時や、陸上でも他のレンズを使用する場合は、外付けのファインダーを使用する。呼称は当初単にニコノスであったがニコノスII発売に伴いニコノスIと呼ばれるようになった。カリプソとの違いはファインダーがアルバダ式になったこと、貼り革が変更されたこと、塗装が結晶塗装から艶あり黒色塗装に変わったことである。製造番号は900000または900001からだが製造数ははっきりしない。貼り革は当初「海底に落とした時に発見しやすいように」と白だったが、少数のみですぐ黒に変更されている。 ニコノスII(1968年8月発売) - 巻き戻しノブが一般的な巻き戻しクランクに変更され、フィルム圧板が蝶番式に可動となりフィルム装填が容易になった等ニコノスIに若干の改造を加えたモデル。海外向けにはカリプソ/ニッコールIIと表記された個体がある。製造番号は950004から。 ニコノスIII(1975年6月発売) - ニコノスIIまではフィルムの巻き上げを中判カメラのように巻き上げ角度を少しずつ調整する方式で行っていたが、通常の135フィルム使用カメラのようにフィルムのパーフォレーションとスプロケットギアで行う方式に改め、これによりフィルムのコマ間隔が均等になった。シンクロソケットが変更されニコノスII以前用のフラッシュは使用できない。ファインダーも従来のアルバダ式から採光式のブライトフレームに改められた。また水陸両用の80mmF4用のフレームも設けられ、これはピント合わせ不要の山岳での使用者の要望に従ったためと見られるが、ニコノスIV-A以降のモデルには引き継がれなかった。これらの改良により若干横幅が広くなり軍艦部のデザインが変わったが、カリプソの設計が残っている最後のニコノスである。2002年までニコノスIV-Aとともに補修用のOリングがニコンの価格表に載っていた。製造番号は3100000から。 ニコノスIV-A(1980年7月発売) - ユーザーから要望が多かったTTLの絞り優先AEを実現したモデル。測光素子はSPD。ファインダーもアイポイントが40mmと長い大型のものになり、35mmF2.5ならば水中でも使用可能になった。ボディ構造は通常の裏蓋開閉式になり、レンズを外さなくてもフィルム交換が可能になった。シャッターや巻き上げレバーも通常のフォーカルプレーンシャッターカメラと同じになった。シャッタースピードは1/30秒から1/1000秒の範囲で自動決定される絞り優先Aの他機械式マニュアルで1/90秒とBが可能。デザインが一新され、先述のような操作性向上と相俟って一般ユーザーへの普及にも繋がった。機構面はニコンEMがベースであるとされる。電源はSR44×2。製造番号は4100001から。 ニコノスV(1984年4月発売) - ニコノスIV-AはAE専用機であったが、それにマニュアルを加えたもの。またスピードライトのTTL調光が可能となった。ボディー色はオレンジとグリーンの2種類が用意された。電源はSR44×2またはLR44×2またはCR-1/3N×1。2001年10月まで販売されていた。
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