デ・ホーホの透視画法とは? わかりやすく解説

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デ・ホーホの透視画法(遠近法)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 00:00 UTC 版)

ピーテル・デ・ホーホ」の記事における「デ・ホーホの透視画法(遠近法)」の解説

サットン確実な証拠はないがデ・ホーホがレンガ職人棟梁であった父親から透視画法関連する実践的な技術について影響受けたかもしれない控えめ推測する修復家のユルゲン・ウェイドム(Jorgen Wadum)はデ・ホーホやフェルメールの絵にはピンの穴があり、画面上に任意の一点定めて消失点とし、消失点通って水平になるよう左右に設定した遠隔点にもピン打って細いチョークまぶしたひもを張って、それをはじいてキャンバスに薄い線を引いたのではと考えている。ウェイドムはデ・ホーホの絵には少なくとも10くらいの絵には確実につけられる指摘するそのようなピンの穴はロンドンナショナル・ギャラリーにある『デルフト中庭』、アウロラ美術基金の『a woman with a baby in her lap and small child(ひざに赤ん坊抱えた女性小さな子供)』、ウォレス・コレクションにある『戸口で母にかごを渡す少年』、ヴァルラフ・リヒャルツ美術館にある『オウム男女』、アムステルダム国立美術館にある『女性手紙を持つ若い男』にもみられる国立美術館作品アウロラ美術基金作品の絵は目を細めれば観察することができるが、大部分ピンの穴はレントゲン写真使わないと見つけることができない遠隔点をつかうことによって複雑な計算とか計ったりとかしない直交する点を求めて絵の中に床のタイルを描くことができたり、絵の中の奥行き調整することができたと思われる。ひもをはじいて引いた薄い線は絵が完成するまで画面バランスを保つのに役立った。デ・ホーホはチョークまぶした線をいくつか選んで定規石墨絵の具用いてなぞった思われるたくさんのチョークの線のうち絵を作っていく過程消された線があり、選択的に残されわずかな線を赤外線写真で見つけることができる。 ルーヴル美術館の『二人の男と一緒に酒を飲む女』、アウロラ美術基金の『膝に赤ん坊抱える女と小さな子供』、アムステルダム国立美術館の『配膳室にいる女と子供』はデ・ホーホが透視画法について実験的に描いた絵で、相対的に広い見かけ角度から急激に空間の奥に入っていくのはデ・ホーホの遠隔点の間隔が狭いために、しばしば45°より広い視野から急激に狭くなるのである。そのため、画面手前の床のタイルにゆがみがあるようにみえる。しかしデ・ホーホはこの問題をまもなく解決し1658年描いた二つの「デルフト中庭」を描いた作品視野角度32゜から34゜に変えたナショナル・ギャラリーにある『Merry Company』やデ・ヤング美術館にある『こどもに乳をあたえる女、子供』の絵の背景では視野角度をさらに小さくしてわずか24前後絞った。デ・ホーホの後期の絵には以前のような広い視野角度用いる絵はまれで彼が遠隔点を外側に動かすことでより自然な構図絵になることを理解していたことを示している。ユルゲン・ウェイドムはフェルメールの絵にも似た傾向があることを指摘している。しかしフェルメールよりもデ・ホーホのほうが10年以上も早く透視画法遠近法)を自分のものとして消化したことがうかがわれるフェルメール水平な線を低くするのに時間かかったのに対し、デ・ホーホは自分イメージのなかで水平な線の位置構図中心点的確に設定していた。 『配膳室にいる女と子供』(アムステルダム国立美術館, 1658頃) 『こどもに乳をあたえる女、子供』(Woman Nursing an Infant, with a Child and a Dog, デ・ヤング美術館, 1658-60年頃) ウェイドムは、フェルメールの描くタイルはしばし菱形になったが、デ・ホーホは対角線方向とらえて正方形タイル描いていたことを指摘する。デ・ホーホはさらに遠近法について実験的な試み行っている。一つの絵のなかに二つ消失点水平な平行線設定している例として、ルーヴル美術館の『飲酒する女と二人の男』には一つ目消失点立っている男の右手にあり、二つ目消失点は奥の二つめのさらに向こうにある金庫にある。ロンドンナショナル・ギャラリーにある1658年中庭風景には手前ブロックの面と奥の通路の面がわずかに異なった面であることを表現するために、わずかに異なった位置にある互いに平行で水平な線と消失点用いている。ケルンヴァルラフ・リヒャルツ美術館にある『オウム男女』では、デ・ホーホは巧みに二つ目戸口二つ水平な線の一つ交差させて透視画法遠近法)を維持できるよう工夫している。線を用いた透視画法遠近法)に厳密に適合させようとするフェルメール対し、デ・ホーホははるかに多く空間的表現視線動きなじんで錯覚起こさせるような工夫をしている。デ・ホーホはエマヌエル・デ・ウィッテ親しかったが、ウィッテ教会堂内部をより印象的にみせ空間について錯覚起こさせる、より汎用性のある方法用いた人物である。このような錯覚については遠近法専門書にも記載があり、17世紀にはそのような面からも遠近法研究から影響をうけた色の明暗色調巧妙に変化させたり物の大きさ配置組み合わせて全体作っていくhoudingという概念盛行していた。

※この「デ・ホーホの透視画法(遠近法)」の解説は、「ピーテル・デ・ホーホ」の解説の一部です。
「デ・ホーホの透視画法(遠近法)」を含む「ピーテル・デ・ホーホ」の記事については、「ピーテル・デ・ホーホ」の概要を参照ください。

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