デビューから天皇賞まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 03:06 UTC 版)
「プリテイキャスト」の記事における「デビューから天皇賞まで」の解説
1977年11月6日に東京の新馬戦でデビューしたが、スタート直後に左右の馬に挟まれて立ち後れ、6着と敗れた。さらにこの出来事によって他馬を怖がるようになり、折り返しの新馬戦は2着に入ったものの、未勝利戦は11着に敗れ、以降は2戦目の2着以外は、全て1着馬から2秒前後の差をつけられての惨敗となった。後に石栗は「能力はあったので、あのアクシデントがなく順調にいっていれば、桜花賞も狙えた」と語っている。 4歳となった1978年も東京、中山のダート戦で3連敗するなど、ここまで6戦に騎乗した横山富雄も頭を抱えるほどの気難しさが問題であった。5月は新潟に遠征し、オークス前日の20日に行われた芝2000mの未勝利戦にて徳吉一己騎乗でブリンカー初着用で挑み、待望の初勝利を挙げた。夏は鞍上を横山に戻して函館に遠征。昇級戦の湯川特別(300万下)は4着に終わったが、立待岬特別(300万下)、五稜郭特別(700万下)を連勝し、札幌に移動して臨んだ道新杯(1100万下)は2着。重賞初挑戦のクイーンSは増沢末夫が騎乗したが、13頭立ての8着に惨敗。続く京都のオープンは鹿戸明に乗り替わり、秋の天皇賞馬・ホクトボーイの4着と健闘、これを受けてエリザベス女王杯では3番人気に支持された。レースでは絶好調で臨んだがスタートで出遅れ、最後の直線で追い込むもリードスワローに差されて4着に終わった。年末はクリスマスハンデキャップ(1100万下)を柴田政人騎乗で快勝し、オープンクラスに昇格。本格化を期待させる内容でシーズンを終えた。 5歳となった1979年春は関係者を落胆させる結果となった。東京新聞杯17着、目黒記念(春)13着、中山牝馬S14着と年頭から2桁着順の惨敗を続け、新潟遠征の2戦(谷川岳S、新潟大賞典)はいずれも最下位入線の13着という有り様であった。当初の予定を前倒しして同年夏での引退も視野に入れられたが、条件戦に降級して臨んだ札幌開催では久々に横山が手綱を取り、道新杯(1200万下)を2着、HBC杯(800万下)は1番人気に応えて勝利し、大雪ハンデキャップ(1200万下)を2着と好成績を残した。この結果を受けて吉田牧場代表の吉田重雄は「タイプキャストに似て晩成なのか」と思い直し、繁殖牝馬入りを遅らせ、現役続行を決意した。その後の函館遠征では大沼S(1200万下)、みなみ北海道S(1200万下)と2戦連続10着と逆戻りしてしまい、秋は中山に戻って10月の紅葉ハンデキャップ(1200万下)6着、11月の東京・ユートピアS(1200万下)5着と持ち直す。最終戦のステイヤーズSは「牝馬の嶋田」の異名を持つ嶋田功と初めてコンビを組んだが、こちらも5着と浮き沈みの激しかったシーズンを終えた。 当時は古牝馬にとって目標となる大レースはなく、数少ない牝馬限定重賞を除いては、名を捨てて実を取って牡馬との実力差が少ない短距離路線を走るか、勝算が低いのを覚悟の上で強豪牡馬が相手となる天皇賞路線に身を投じるしかなかったが、これまでの成績から短距離適性がないプリテイキャストは必然的に天皇賞路線を進むこととなった。無論勝算などあったものではなかったが、母・タイプキャストは7歳になってから全米最優秀牝馬となったことから、その血を引くプリテイキャストもあわよくば、という思いから繁殖入りを遅らせ、翌年も現役を続行することとなった。 1980年は迎春賞(1200万下)、初富士賞(1200万下)を共に5着で、前年秋から数えて4戦連続5着となった。3戦連続のダート戦となった金蹄賞で6勝目を挙げると、再びオープンクラスに昇格して挑んだダイヤモンドSでは13頭中8番人気だったが、向正面で先頭に立つとそのままゴールまで逃げ切り、2着に7馬身差をつけて重賞初制覇を挙げた。その勢いのままに八大競走初出走となる天皇賞(春)に出走するが、道中息切れして失速し、ニチドウタローの15着と大敗した。夏は例年通りゲンのいい北海道に遠征し、札幌日経賞、札幌記念では共に1番人気に推されて2着に入り調子を取り戻したかと思わせたが、函館記念では不良馬場に逃げ足を殺されて6着に沈んだ。秋の初戦は毎日王冠だったが、主戦騎手の横山がメジロファントムに騎乗するため、この競走から柴田政人が手綱を執った。このレースではカネミノブの3着に逃げ粘って関係者を喜ばせたが、続く目黒記念(秋)では最下位の11着に失速して、関係者を落胆させた。 それでも陣営は、予定通りプリテイキャストを11月23日の第82回天皇賞(秋)に出走させることにした。
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