スクロヴェーニ礼拝堂装飾絵画とは? わかりやすく解説

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スクロヴェーニ礼拝堂装飾絵画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/20 23:50 UTC 版)

ジョット・ディ・ボンドーネ」の記事における「スクロヴェーニ礼拝堂装飾絵画」の解説

ジョット1305年ごろに後世に最も大きな影響与えたパドヴァスクロヴェーニ礼拝堂内部装飾絵画手掛けた。この礼拝堂は、エンリコ・デッリ・スクロヴェーニが近くにあった自身教区教会とは別に一族礼拝所墓所として建てたのだった。この礼拝堂建築は隣のエレミターニ教会聖職者たちに驚きをもって受け取られた。スクロヴェーニ礼拝堂エンリコ家族のために修復した古い邸宅の隣に建てられ外観ピンクレンガ覆われシンプルなのだった。この古い邸宅現存しておらず、礼拝堂古代ローマ競技場アレーナ (arena))の遺跡敷地内立っているため、現在では「アレーナ礼拝堂」と呼ばれることが多い。 礼拝堂テーマ救済聖母マリア重要視されており、受胎告知聖母慈悲捧げられている。中世イタリア典型的な屋内装飾としてもよく知られ西側の壁には最後の審判が、東側内陣には大天使ガブリエル聖母マリアとの受胎告知描かれている。受胎告知は『聖処女マリア生涯』と『キリスト生涯』を描いた一連の絵画一部となっている。マリア生涯ジェノヴァ大司教ヤコブス・デ・ウォラギネ書いた殉教者列伝『黄金伝説』を、キリスト生涯当時ボナヴェントゥラ書いたといわれていた追随者たち (en:Pseudo-Bonaventura) の著作をもとにして描かれている。しかし一連のフレスコ画はこれらもとになった書物を単に絵画として表しただけではなく学者たちはこれらの絵画から聖書対すジョット独自の解釈多数見出している。 一連のフレスコ画37場面から構成されており、側面の壁に上中三段分かれて描かれている。最上段には聖母マリア両親ヨアキムアンナ描かれ聖母マリアの生涯表現した最初絵画になっている。下の二段にはキリスト生涯描かれ『最後の審判』正面反対側の壁全面描かれている。チマブーエ作風ビザンティン様式ゴシック様式併せ持った明確な中世様式であるのに対しジョット作風彫刻家アルノルフォ・ディ・カンビオ作品のような立体的古典的なのだったチマブーエドゥッチョ作風とは異なりジョットが描く人物像類型化されたものでも過度に細長く誇張されたものでもなく、それまでビザンティン様式影響見られない緻密な観察基づいた三次元的な表情ポーズ描かれ衣服それまでのように規則的に波打ってはおらず自然な形と重さ表現されている。このような新し絵画表現は、当時ローマで活動していたピエトロ・カヴァリーニによって既に始められていたが、ジョットはこれらの表現をさらに昇華させたため、具象画の新しいスタイル生み出したという名声ジョットのものとなった彫刻のような三次元陰影描かれた人物像は自然に配置され使用されている遠近法あいまって舞台セットのような印象与えている。ジョットによる慎重な人物像配置は、これらの絵を観る者に、あたかも自分絵画描かれている場所実在しているかのような効果を及ぼす。この劇的な臨場感新しく絵画もたらされ特質で、サン・フランチェスコ大聖堂のフレスコ画においてもその萌芽を見ることができる。 一連の絵画のなかで有名な場面描かれているものに『東方三博士の礼拝』があり、彗星のようなベツレヘムの星夜空横切っている様子描かれている。この彗星ジョット実際に見た1301年ハレー彗星をもとに描いたといわれており、1986年ハレー彗星観測用に打ち上げられ探査機ジョットはこの絵画にちなん命名された。他に有名なものは『キリストへの哀悼』で、この神聖なテーマ描いた絵画では、作品観るものに哀切感情惹起させるために、ジョットはあえて従来ビザンティン図像学採用している。

※この「スクロヴェーニ礼拝堂装飾絵画」の解説は、「ジョット・ディ・ボンドーネ」の解説の一部です。
「スクロヴェーニ礼拝堂装飾絵画」を含む「ジョット・ディ・ボンドーネ」の記事については、「ジョット・ディ・ボンドーネ」の概要を参照ください。

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