シュン視点五巻までのあらすじ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 06:17 UTC 版)
「蜘蛛ですが、なにか?」の記事における「シュン視点五巻までのあらすじ」の解説
学園から呼び戻され王城に戻ったシュンだったが、勇者ユリウスの死によって動揺した王家では第一王子「レストン」をはじめとする兄弟間の確執が噴出していた。シュンは内心の怯えを振り払うように鍛錬に没頭しながら今回の戦争で防衛線を担った八つの砦が辿った概略を追っていく。聖女候補だったユーリが教会に戻り、使い魔の契約を結んだフェイがなぜか卵の状態になってしまうなど、身近な仲間から引き離されてのひと時を過ごすシュンであった。 ユリウスの死の顛末についてシュンが知るのは勇者の称号を得てから一ヶ月後、ユリウスの仲間たちの中で唯一生き残った「ハイリンス・クォート」の口を経てだった。いわくユリウスを殺めたのは存在のすべてが謎に包まれた「白い少女」であるという。改めて失った存在の大きさに慟哭するシュンであった。以後、ハイリンスはシュンの仲間として彼に一貫して同行することになる。 しかし、陰謀はシュンの気づけない水面下で進んでいた。シュンの新勇者就任の公式発表を間際に控えた時期にあって、父王「シリウス」が眼前で洗脳されたスーの手で暗殺された。同時に、学園での醜態によって凋落していたかに見えたユーゴ―が謎の少女「ソフィア」を連れ添って現れ、意趣返しを果たした旨をのたまいながらシュンのことを嘲笑う。逆恨みから負の感情を高めていたユーゴ―は支配者スキル「色欲」を手にしており、カティアをはじめとするシュンの身近な存在を洗脳によって手中に収めていたのだ。 立ちはだかったカティアは前世と現世の狭間での葛藤の果てに自害するが、シュンの手によって蘇生され我に返る。この場における最大の脅威であるソフィアが乗り気でなかったこともあり、フィリメスの介入や光竜への進化を果たして飛行能力を得たフェイの乱入によってシュンたちはその場から逃れることに成功するものの、クーデターの首魁という濡れ衣を着せられ一行はお尋ね者になってしまう。 詳しい事情を知るフィリメスがステータス異常によって眠っている中、カティアの両親をはじめとする人質の救出に動くシュンたちだったが、人質がいる王城に現れたのは兄ユリウスの師でもあった帝国の魔法使い「ロナント・オロゾイ」だった。ロナントの圧倒的な実力によって接敵前に撃ち落とされかねなかったシュンだが、かろうじて距離を詰め彼に撤退の判断を下させることに成功する。一方、ロナントは弟子であるユリウスの死を悼み、シュンに対して一定の評価を与えながらも、帝国を表向き支配するユーゴ―ではなく裏で暗躍するソフィアやその上に立つ「ご主人様」相手に警戒の色を濃くしていた。 肝心の王城ではさしたる妨害もなく、人質四名がシュンたちの到達に合わせて自害するという悪辣な仕掛けが施されているのみだった。カティアに用いたものと同じ、支配者スキル「慈悲」による死者蘇生によって彼らを救ったシュンたちだったが、それは人族社会では忌避される「禁忌」のレベルアップと引き換えでもあった。それは裏側で絵図を描いた何者かの思惑通りでもあったのだが、安堵するシュンたちにはそれを知る由もなかった。人質たちと合流し、情報を整理した一行はユーゴーを討つことを第一の目的とし、彼が侵攻の対象に定めた「エルフの里」で先回りして迎撃する方針を定める。 エルフの里を目指すにあたって唯一のルートである「エルロー大迷宮」を攻略に向かうシュンたち一行は、人型に変化できるようになったフェイのお披露目や頑固一徹な迷宮案内人「バスガス」との出会いなどありつつ、順調に迷宮内を踏破していった。しかし、事前に危険性を警告されていた迷宮の魔物「悪夢の残滓」の群れがシュンたちの前に現れ、シュンは不用意に彼女たちに話しかけてしまう。彼女たちは断片的ながら不吉なメッセージを投げかけてくるのみで害することはなかったものの、シュンの危うさがあらわとなる事件だった。 その後、シュンが迷宮内で前世の夢や意味深な夢を見ながらも一行は大過なく迷宮を脱出し、別大陸の大国「サリエーラ国」へとたどり着く。一方、エルフと敵対する管理者側についた転生者のひとり「ソフィア・ケレン(根岸彰子)」は同行者相手に余裕綽々の口を叩きながら帝国軍の行軍に同行していた。隠された転移陣を使って一足先にエルフの里に到着した一行を出迎えたのは政変の際にソフィアに殺されたはずの族長ポティマスだった。 エルフの里でシュンたちは前世のクラスメート十三人と再会し、旧交を温め合うことになる。しかし、クラス委員長だった「工藤沙智」をはじめとする彼女たちのフィリメスに対する態度は冷たいものだった。彼女たちは幼少期に誘拐や人身売買といった後ろ暗い手段でエルフの里に連れてこられ、待遇もほぼ軟禁状態だったためである。 この世界を裏側から支配する管理者にまつわる話を聞き、エルフはそれに対抗しているという構図を先に知ったシュンではあるが、元々ポティマスに対して抱えていた不信、エルフという種族そのものに対する不快感もあってフィリメスのことをどうしても信じ切ることができない。フィリメスに信を傾けすぎるなという助言をかけるカティアを傍らに、シュンはふたりの共通の親友である「笹島京也」がどこにいるかも薄々察しつつあるのだった。 ソフィアと並び立つもう一人の転生者が再会を心待ちにする中、魔王はそばに佇む「白」相手にポティマスの首を取るという悲願を語る。ポティマスもまた、傲岸不遜な言葉と共に彼女たちを叩き潰すことを宣言し、この時のシュンたちが知る由もない世の裏側の決戦が幕を開けようとしていた。
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