コンピュータにおけるハイフン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 19:34 UTC 版)
「ハイフン」の記事における「コンピュータにおけるハイフン」の解説
代表的な文字コードであるASCIIでは、ハイフンは45(十六進法で2D)に割り当てられている。この文字は実際にはハイフンマイナスと呼ばれ、これはマイナス記号、およびダッシュの用途にも使われる。Unicodeでも、ASCIIとの互換性を維持して、U+002D ( - ) としてハイフンマイナスが割り当てられている。ただし、それとは別に、U+2010 ( ‐ ) にハイフン、およびU+2212 ( − ) にマイナスが独立して割り当てられている。さらに、エムダッシュU+2014 ( — )、エヌダッシュU+2013 ( – )、ホリゾンタルバー (HORIZONTAL BAR) U+2015 ( ― ) など各種直線状の記号も別途コードが割り当てられている。例えば、日本経済新聞電子版はハイフンとしてホリゾンタルバーを用いている。全角ダッシュのマッピング問題も参照。ハイフンマイナスは様々な用途に使用される汎用の文字である。このため、正確なタイポグラフィが要求される場面では、ハイフン、マイナス、その他の記号を正しく使い分ける必要がある。たとえば、4+3−2=5(マイナス)と4+3-2=5(ハイフンマイナス)を比較すると、ほとんどのフォントにおいて文字の幅や太さ、(垂直方向の)位置が異なっていることが確認できる。 しかし、たいていのキーボードではUnicodeのハイフンを入力するのは困難なため、ハイフンマイナスは非常によく用いられる(ASCIIのみのテキストの場合など)。適切な文字が使用できなかったり、入力が困難だったり、筆者が区別を知らなかったりなど、様々な理由からマイナスやダッシュを使うべき箇所でハイフンマイナスが使用される例がしばしば見られる。また、ASCIIテキストにおいてハイフンマイナスを2つ並べてエムダッシュの代用とする者もいる。 テキストの配置を考える場合、単語を分断してそこに改行を挿入したほうが(単語全体を次の行に配置するより)好ましい場合がある。コンピュータプログラムで適切なハイフネーションの位置を決定することが困難であることから、ソフトハイフンの概念が考案された。これは、単語中でハイフネーション可能な箇所をあらかじめ手動で指定しておくことで、その後のテキストの配置が変化した場合でも不適切な位置での改行を防ぐ効果がある。逆に、必ず表示・印刷されるハイフンはハードハイフンと呼ばれる。ソフトハイフンが有用なのは、テキストを表示する領域の幅が非常に狭い場合に、長い単語が強制的に改行を引き起こし、前後に大きな空白を生んでしまうという状況である。その長い単語中のハイフネーション可能な位置にソフトハイフンを挿入することで、行末の不自然な空白が少なくなるようなより好ましいテキストの配置が行なわれるようになる。このようなソフトハイフンの挿入を人の手で行なうのは困難であるので、Hyphenator(JavaScriptライブラリ)やオンラインフォームhypho-oなど自動で行うツールが存在する。近い将来、制定されるであろうCascading Style Sheets (CSS) バージョン3では、言語固有のハイフネーション辞書を用意する手法が提供される見込みである。 実際のテキストの配置の際、コンピュータシステムは、単語中のソフトハイフンの位置で改行する場合はその行末にハイフンを表示し、行の切れ目に位置しないソフトハイフンは表示しないという処理を行う。ISO/IEC 8859のほとんどのパートでは、0xADにソフトハイフンが割り当てられている。Unicodeも、最初の256文字がISO/IEC 8859-1をそのまま取り入れていることから同じくU+00ADにソフトハイフン (SHY - SOFT HYPHEN=discretionary hyphen) が割り当てられている。また、HTML 3.2では、ソフトハイフンを表す文字実体参照として''が導入された。 ほとんどのテキスト処理システムは、単語の区切りを考慮し、適切な位置で改行を行なってテキストを配置するようにできている。しかし、常に望ましい結果が得られるわけではない。特に曖昧さの生じる場合(recreation: レクレーションとre-creation: 再生成)や英文の中に他言語の単語が混在した場合に顕著である。そのため、Unicodeでは、non-breaking hyphenをU+2011 ( ‑ , coded for by ‑) に設けている。これは、通常のハイフンと同様の見た目であるが、ここで改行してはならないことをテキスト処理システムに示す効果がある。 また、ASCIIのハイフンマイナスは、キャラクタユーザインタフェースにおいて、プログラムのパラメータの指定の用途としてよく使われる。この場合、何か特定の指示を表す1ないし数文字を後ろに伴って使われる(例: -help)。この用法では、ダッシュと呼ばれることが多い。Unix系をはじめ多くのシステムでこの用法が見られる。なお、MS-DOS(及びWindows)では、OSに標準添付のツール等ではスラッシュのほうが一般的であるが、ユーザ製のプログラム、特にUnix系から持ってきたものなどではハイフンも多い。パラメータとしてハイフン単独が指定されていた場合、標準入力からの入力、または標準出力への出力を意味する場合がある。一部のプログラムでは、「ロングオプション」としてハイフンマイナスを2つ並べて、その後ろに指定を表す詳細な言葉を並べる記法が用いられることがある(例: -d --detail)。これはGNUプロジェクトのソフトウェア一般に見受けられる。さらに、ハイフンマイナス2つのみというオプション -- によって、オプション類の終了を示し、その後にある引数はファイル名等として解釈する、という流儀もある。これはハイフンで始まるファイル名などを認識させるためにある。
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