コンテナリース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 01:12 UTC 版)
海運事業者が海上コンテナによる円滑な物流サイクルを行うために必要とされているコンテナ個数は、取り扱う貨物量や区域のほか、コンテナを実際に所有し提供する事業者の規模やコンテナ管理能力にもよるが、おおむね輸送貨物を搭載するために必要個数の約3倍程度の総個数のコンテナが必要とされている。 ウィキメディア・コモンズには、コンテナリースに関連するメディアがあります。 例えば、ウィキペディア汽船(説明のための架空海運業者。以下同じ)というコンテナ専門海運会社が、国際航路のA地区にある自社専用コンテナターミナルと、B地区の自社専用コンテナターミナル間を往復輸送する定期航路で、20 ft換算で2万個積載のコンテナ船一隻で『ウィキペディア汽船』マーク入りコンテナだけを専用輸送する場合には、ある意味で約6万個規模の『ウィキペディア汽船』コンテナを用意する必要がある。むろん、この『ウィキペディア汽船』が複数の航路を持っていれば用意するコンテナの必要数は、軽く見積もっても何十万個に膨れ上がる事も珍しくない。当然ながら、コンテナを調達する資金だけでも軽く何百億円を超える等の天文学的数字となる。前記の『ウィキペディア汽船』の事例を粗い計算の一例として、コンテナ船1定期航路あたり6万個を、中国産20 ftドライコンテナ1個の新品価格、約20万円(1$=100円で計算)で用意するとして金額を計算すると、1定期航路につき、20万円 × 6万個 で約120億円となる。 さらに、自社の所有物として入手したこれらのコンテナは、その「宿命」として日々、流通の過程で錆びたり破損したりするので、当然のことながら所有するコンテナを維持管理する管理費も発生し、この金額も利益を左右する大きな要因となってくる。また物流の致命的な欠点として、限定された固定容量貨物の定期サイクル輸送等のごく一部の例外を除けばほぼ物流量が一定する事はなく、コンテナの需要は季節・地域・時として想定外の有事によっても変化する。したがって必要とするコンテナ所有数を事前に確定させるのは至難の技となるので、この問題を解決したり、緩和するために必然的に生まれ発展してきたのが、コンテナリースである。 コンテナリースのメリットとして、以下の点が上げられる。 コンテナを購入するための莫大な一時的資金を必要とせず、場合によってはその資金を別の投資へ回せるなど、有効な資金管理が出来る。また、金融機関からの借り入れ資金で購入する場合は、そのコンテナを担保物件として、運用上に制約が掛かる場合もある。 ある意味、最低必要個数程度を自社で保有して、物量事情によるコンテナ稼動需要の増減に対しては、リースの活用で機敏に対応できる。また、物流全体の同時繁忙期では、不足しがちのリースコンテナ自体を、途切れないように優先的に供給を受けられる契約(#拘束条件付契約参照)も可能である。 不要時には無駄な遊休コンテナが発生するが、リース会社は大量の遊休コンテナが発生するような状況下でも、多彩なネットワークを駆使したり、リース料を減額するなどの策(#ワンウェイ・リース参照)で借り手を手当てしやすい。しかし、自社保有ではある意味無駄な『休車状態』の在庫となってしまう。 コンテナの所有者はリース会社なので、事務上でのコンテナ減価償却年数処理も不要で、リース料は経費で計上できる。また破損時の修理や、定期検査等のメンテナンス管理は特約条項が無い限り、リース会社の管理事項となる。 頑丈なコンテナであっても年数が経てば、多かれ少なかれコンテナの劣化は避けられないが、リースでは例えば、スマホを2 - 3年毎に機種変更するように、コンテナも数年ごとに新しいコンテナと入れ替える契約ができる。(#長期リース参照) 荷主によっては、製品や企業イメージ等を保つために輸送コンテナを新品にするよう要求されることもあり、または積載制限重量限度いっぱいの積荷の大量のコンテナを扱うヤードによっては、コンテナ自体の安全性担保等の事情により、製造後間もないコンテナを搬入するように求めることがある。こうした場合に対応するために、該当するコンテナをリースにより調達できる。 自社所有を少なくしても、最低限度のコンテナデポ等の保管地は必要であるが、リースを受ける契約事項によっては、リース会社が国内あるいは世界各地の広範囲に配置しているデポ自体を、あたかも自社のコンテナデポ代理店のように(#リース料率協定契約参照)流通管理計画に組み込めるため、空コンテナの回送輸送費等の節約にも直結する。 以下に、主なリース契約スタイルを記す。
※この「コンテナリース」の解説は、「海上コンテナ」の解説の一部です。
「コンテナリース」を含む「海上コンテナ」の記事については、「海上コンテナ」の概要を参照ください。
- コンテナリースのページへのリンク