ワンウェイ・リース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 15:41 UTC 版)
リースで調達したコンテナでの貨物輸送上において大きな障害となる事例として、貨物輸送が一方向のみで片道しかコンテナを利用しない例がある。そこで片道のみコンテナを借り受けるリース形態を、ワンウェイ・リースと呼ぶ。 例えば輸出国であるA国から、輸入国となるB国あてに利用する事例で、着地のB国では特にこれと言った輸出ができる貨物が無い場合、当然ながら輸入で使われたコンテナが、空コンテナ状態でどんどんB国内のデポに溜まり続けるという、いわゆる不均等な現象が起こる。また特殊コンテナの代表格であるタンクコンテナなどは、ある意味での使い捨て的に利用される率が高い。このため当然のことながらリース会社としては、デポ管理上も、また流通管理上いずれにしても出来るだけ避けたい事案となる。このような場合には、リース料以外に追加で割増金を徴収し、使用者になるべく往復で借りてもらうように促したり、リース会社が身銭を切って需要地区へ回送したりもする。そうしたリース会社にとっては頭の痛い事案の中で、逆に溜まり続けるデポから借り出してくれる「ありがたい使用者」には、リース契約期間中での数日分の料金を無料(実質的な値引き)にしたり、数がまとまる大口契約では「おまけのコンテナ」を付けたりと、出来るだけ過剰在庫とならないように努めている。このような事例として、分野は違うが小型トラックなども扱うレンタカー店で、飛び込み客が箱形の2 t車を希望するも、在籍する箱形車が全て出払っていたが、たまたま残っていたあまり借り手の無い高額設定の2 t冷凍車を、『冷凍機を切ればただの箱車なので、料金値引きますよ。』と勧めて、特殊車両の稼働率を上げる事情と同じ理屈である。 しかし、それでも空コンテナ在庫が溢れる場合には、最終の手段として貿易摩擦等での想定外事例でも見受けられるように、不良在庫となってしまった空コンテナを売却処分することもある。その一例として、日本国内のある中古コンテナ業者の営業用うたい文句には、『新品コンテナは、生産国(中国)から一度だけ貨物を入れて輸送されたワンウェイ輸送コンテナ』などの記述がある。つまり、この中古業者はリース業者が売却する、状態の良い「不要在庫」となったコンテナを仕入れて販売しているが、「不要在庫」がいつ発生するかは中古業者側で把握できず、入荷するかはどうかは全く目処が立たないという、ジレンマも抱えている。 コンテナ貨物輸送に大きな不均衡がある状態においてはある意味、リースコンテナとしての在庫管理が難しいものの、貨物がある限り片道使用の需要は途切れることはないので、絶対的に必要とされているリース形態のために、中古業者までもが複雑にかかわって、ワンウェイ・リースという特殊な形態で発展してきている。
※この「ワンウェイ・リース」の解説は、「海上コンテナ」の解説の一部です。
「ワンウェイ・リース」を含む「海上コンテナ」の記事については、「海上コンテナ」の概要を参照ください。
- ワンウェイ・リースのページへのリンク