グリム兄弟『ドイツ伝説集』の伝える「白鳥の騎士」とは? わかりやすく解説

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グリム兄弟『ドイツ伝説集』の伝える「白鳥の騎士」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 01:26 UTC 版)

ローエングリン (アーサー王伝説)」の記事における「グリム兄弟『ドイツ伝説集』の伝える「白鳥の騎士」」の解説

グリム兄弟は『ドイツ伝説集』 (1816/18)において白鳥の騎士まつわる伝説を数話伝えている。 541話「ライン河白鳥の舟」(Das Schwanschiff am Rhein)では、ヒロインの名はベアトリクス、彼女の領地クレーヴェ (Kleve)、白鳥の騎士の子孫は現存し白鳥象った風見鳥回転する白鳥の塔」がこれを記念するのであると。(このドイツ西部ライン川下流地域オランダとの国境に近い町には「白鳥城」が存在する。) 542話「ブラバントローエングリーン」(Lohengrin zu Brabant)では、ヒロインの名はエルス(Els)ないしエルザ(Elsa)。彼女の父ブラバントリンブルク公(Herzog von Brabant und Limburg)は死の床若き娘を家臣一人フリードリヒ・フォン・テルラムント(Friedrich von Terlamund)に託す。彼は竜退治をしたこともある勇者であったが、傲慢になり、姫がかつて彼に結婚約束した偽って女に求婚する。彼女がそれを拒否すると、彼は皇帝ハインリヒ・デア・フォーグラー(Heinrich der Vogler)に訴えその結果、姫は勇士代理立ててフリードリヒとの決闘相手主張不当性を証明しなければならなくなる。姫を助けようとする者が現れないなか、彼女は熱心に神に祈り助け求める。ちょうどその時聖杯城で鐘が鳴り緊急に助け求め人がいることを知らせる。聖杯パルチヴァール息子ローエングリン派遣するようにと告げる。ローエングリンが馬に乗ろうとすると、白鳥が舟を曳いて近づいてくる。 その間、エルザムはアントウェルペン重臣家臣招集していた。その集会の日にシェルデ川(die Schelde)を上って、舟を曳く白鳥現れるローエングリンは姫から事情聞き、彼女のために戦うことになる。エルザムはその後親族呼び寄せる母方の一族からはイングランド王駆けつける一行ザールブリュッケン集合し、さらにマインツにまで行く。フランクフルト滞在していた皇帝ハインリヒマインツに向かう。マインツ決闘挙行されローエングリン勝利しフリードリヒ処刑されるローエングリン自分出自問わぬように言いつつエルザムと結婚するローエングリンは国を良く治めたばかりか皇帝のためにもフン族異教徒との戦いで優れた働きをする。ところがある時、クレーヴェ公と一騎討をした際に相手突いて落馬させると、公は腕を折ってしまう。すると公妃ローエングリン素性知れぬ者、と嫌味を言う。その言葉に傷ついたエルザムはついに、夫にしてはいけない質問をしてしまう。ローエングリン白鳥の曳く舟に乗って聖杯城に向かう。エルザムは気絶し残され子供たち皇帝引き取る。 543話「ロートリンゲンでのロヘラングリーンの最期」(Loherangrins Ende in Lothringen)においては主人公ブラバント去ったあとに、リツァボリー国(Lyzaborie/Luxemburg)にやって来て、その国の美しい女性ベライエ(Belaye)の夫になる。彼女は夫を愛してやまず、夫が側にいない病気になってしまうほどだった。ある時、彼女は侍女に、夫をさらにしっかと自分縛り付けるには、彼が猟から帰ってきて疲れて寝ているときに、その体の一部切り取って食べなければならないそそのかされる。ベライエはその勧め退け侍女追い払ったが、侍女はベライエの一族嘘をつく一族はベライエの苦しみを減らすためにその夫の肉を切ろう相談をし、実行する。彼は左腕致命傷負い悲報聞いたベライエも死ぬ。二人遺骸は同じ納められ墓地の上には修道院建てられる。この国はロヘラングリーンに因んでロタリンゲン(Lotharingen)と呼ばれるうになる。 544話「白鳥の騎士」(Der Schwanritter)では、ヒロイン父親ブラバント公ゴットフリート(Herzog Gottfried von Brabant)と名を明かされているが、ヒロインには名が付されていない。この話では、ヒロインの母にも言及されブラバント公自国相続人妻と娘とする文書残していた。しかし、公の死後兄弟ザクセン公(Herzog von Sachsen)がブラバント国を奪取する公妃は王に訴えることにする。ドイツ王カールネーデルラント(Niederland)に赴き、ナイメーヘン(Neumagen)に滞在するというので、公妃は娘を連れてそこに向かう。ザクセン公来ている。王が窓から外を眺めると、白鳥ライン川上って舟を曳いてくる。舟の中には騎士眠っている。皆は驚き岸辺に向かう。王は騎士歓迎し裁きの場の諸侯の席に騎士座らせる公妃ザクセン公不当訴えると、公は反論し公妃は彼と戦って決着をつけてくれる人物を出さなければならなくなる。件の騎士ザクセン公戦い打ち負かす騎士公妃の娘と結婚する彼の素性尋ねないという条件をつけて。 二人二人の子宝にも恵まれたが、妻は夫がどういう素性なのかを知らないこと悩まされタブー犯してしまう。夫婦の子たちからはヘルデルン(Geldern)家、クレーヴェ(Kleve)家、リーネック(Rienek)伯爵家など多く貴族生まれ、すべてがその紋章白鳥描いている。 (この544話「白鳥の騎士」は、編者Utherの注によると、15世紀の1643行の詩を原拠とし、その詩はコンラート・フォン・ヴュルツブルクの作品基づいている。コンラートの「白鳥の騎士」には、詳しい注のついた邦訳がある。「参考文献参照) 545話「善人ゲルハルト・シュヴァーン」(Der gute Gerhard Schwan)の主人公白鳥の舟で来た騎士であるが、口をきくことができないカール王に迎えられ名前を訊かれると、名前と旅の目的書かれ文書を示す。王に良く仕え、皆に気に入られ言葉急速に身につける。王は娘を彼の妻にし、アルデンヌ(Ardennenland)を治め公爵任ずる。 この短い話には、主人公聖杯城との関わり窮地の姫の救出条件付き結婚、そして妻子との別離についての言及全くない。 以上の話は、素性知れぬ、よその地から来た若者が、窮地の姫を助けて彼女と結婚するものの、妻が夫の素性を訊かぬという約束破ったがために彼は妻子捨てて行ってしまうという筋を骨格とする。それは世界中類話が見いだされるタイプであるが、「ローエングリン伝説」の特徴となっているのは、主人公白鳥の曳く舟でやってきて、同じ舟で帰っていくことである。この説話を、A型説話とする。

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