イトマン事件
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イトマン事件(イトマンじけん)とは、大阪市にあった日本の総合商社・伊藤萬株式会社をめぐって発生した商法上の特別背任事件である。バブル景気の時代を象徴する事件の一つとされる。日本においては、太平洋戦争後最大の経済事件として知られており、紹介されるときにはほとんど枕詞のように「戦後最大の経済事件」というフレーズがつく[1][2]。大塚将司のように、1982年 (昭和57年) に起こったロベルト・カルヴィ (アンブロシアーノ銀行頭取) 暗殺事件に始まるイタリアの金融スキャンダルと対比する人もいる[3]。
注
- ^ 特に、南青山の地上げは、磯田を通じて河村と伊藤が接点を持つきっかけとなったことと、イトマン事件発覚の糸口となる1990年 (平成2年) 5月24日付および同年9月16日付日本経済新聞朝刊での報道につながった点で重要である。名古屋市を拠点とする不動産業「慶屋グループ」と委託契約を結んで、伊藤萬が南青山の地上げを始めるのが1986年 (昭和61年) 7月のことだった[13]。更に、伊藤萬は同グループと、三重県志摩郡浜島町 (後、志摩市) のリゾート開発でも提携し、伊藤萬の子会社伊藤萬不動産開発を通じて融資をしていたが、方針の違いから伊藤萬と慶屋の間でトラブルになり、伊藤萬が融資の打ち切りを通告するのが1988年 (昭和63年) 5月下旬のことである[14]。このあと、双方で約20件にのぼる訴訟合戦となり、慶屋は倒産、南青山の地上げも不完全なものに終わり、再開発できないまま、負債だけが膨らんでいった[15]。伊藤萬の過剰な不動産融資が将来、住友銀行に悪影響を及ぼすかもしれないことに危機感を持ったのが同銀行の業務渉外部部付部長だった國重惇史で、懇意だった日経新聞社の記者・大塚将司にその実情を説明、なんとか記事にして報道できないかと依頼してきたのが、1988年 (昭和63年) 10月19日のことである[16]。このときには、当時の日本の経済状況を鑑みて、報道する価値がないと判断され記事化されなかったが、その後も両者の接触は続き、最終的に1990年 (平成2年) の報道につながった[17]。
- ^ 合併により伊藤萬の株式は上場廃止となったが、吸収した住金物産がその後大阪証券取引所に上場、2006年12月26日には東京証券取引所1部にも上場を果たした。
出典
- ^ 森功『バブルの王様 森下安道 日本を操った地下金脈』小学館、2022年12月5日、277頁。ISBN 978-4-09-380124-9。
- ^ 大塚将司『回想イトマン事件 闇に挑んだ工作 30年目の真実』岩波書店、2020年12月22日、2頁。ISBN 978-4-00-061439-9。
- ^ 日本経済新聞社 編『ドキュメント イトマン住銀事件』日本経済新聞社、1991年6月。ISBN 4-532-16018-9。
- ^ 『追跡20年! 闇の帝王〈許永中〉』一ノ宮美成+グループ・K21編著、宝島社〈宝島社文庫〉、2001年8月8日、135, 138頁。ISBN 4-7966-2237-3。
- ^ 六角弘『怪文書』光文社〈光文社新書〉、2001年10月25日、61頁。ISBN 4-334-03109-9。
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- ^ 大塚『黒い霧』p.92.
- ^ 大塚『黒い霧』p.95.
- ^ 一ノ宮・グループ・K21『許永中』p.152
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