ないてんほうとは? わかりやすく解説

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内点法

読み方:ないてんほう
【英】:interior point method

概要

線形計画問題対すカーマーカー法によって触発され,発展した制約付き最適化問題反復解法総称. 実行可能領域内部通って最適解近づくのでこう呼ばれる.特に大規模問題に有効とされ, 凸計画問題, 半正定値計画問題等へも拡張されている. 主問題または双対問題どちらか一方実行可能領域点列生成する内点法を主内点法, 主問題および双対問題双方実行可能領域点列生成する内点法を主双対内点法と呼ぶ.

詳説

 内点法(interior point method) は最適化問題制約領域境界上ではなく内部に, 最適解収束する点列生成する逐次反復解法である. 特に線形計画問題に対しては, 最適値に十分に近い近似解得られれば, 変数次元連立方程式1回解く手間最適解得られることから, 内点法で最適解を得るまでに必要な計算の手間(算術演算回数)を算出することが可能であり, 多く理論的な成果報告されている. また実用面では, 特に大規模な問題に対して単体法よりも計算効率優れていることが確認されており, この解法取り入れた商用コード多く存在する. 線形計画問題以外への応用積極的に行なわれており, 凸2次計画問題, 相補性問題, あるいは半正定値計画問題, 2次錐計画問題等の凸計画問題に対して有効な解法であることが示されている.

 1979年提案され楕円体法は, 線形計画問題対す初めての多項式時間解法であるが, 実用的な解法としては単体法に及ばなかった. これに対して1984年ATTベル研究所カーマーカー(N. Karmarkar) によって提案され初めての内点法(interior point)であるカーマーカー法(Karmarkar's algorithm) [1] は, 多項式時間解法である上に, カーマーカー自身計算機実験では 単体法遥かに上回る結果であると報告された. この論文および報告を機として, 多く最適化分野研究者がこの解法興味をもち, この結果多様なバリエーション生み出された.

 カーマーカー法は, 特殊な線形計画問題


\begin{array}{llllll}
\mbox{max.} & c^{\top}x & \mbox{s. t.} & Ax=0,
& e^{\top}x = 1, & x \geq 0, 
\end{array}


(A\,m \times n\,行列, c \in \mathbf{R}^n, e \in \mathbf{R}^n要素がすべて1\,ベクトル)を対象とし, 対数障壁関数用いたポテンシャル関数(potential function) の値で最適解からの誤差を測り, 射影変換 (projective transformation) を用いて探索方向決定するという特徴をもつ. 対数障壁関数用いるという点で非線形計画法の一解法とも考えられるが, 着想, 解析共に従来常識とは異な斬新な解法であった. より一般的記述簡潔なアルゴリズムとして提案され解法が, アフィン変換法(affine scaling method) である. その後1988年に, ロシア数学者ディキン(I. Dikin) が20年上前1967年に同じ解法提案していたことが明かになり, 話題となった. アフィン変換法実用的であり, 大域的収束性示されているが, 解法多項式時間性については未だ不明である.

 他方, 従来SUMT法, ホモトピー法, ニュートン法といった枠組用いて内点法を構築する試み行なわれた. 中でも大きな役割果たしたのは, ゾンネべンド(Gy. Sonnevend)が提唱した中心パス(path of centers) であり, この概念利用してレネガー(J. Renegar)はニュートン法用いた初めての 多項式時間解法提案した. さらに, 主問題双対問題双方1つ問題みなした場合解析的 中心に関す研究行なわれ, 主双対内点法(primal-dual interior point method) の提案へと結び付いた. 主双対内点法改良した予測子修正子内点法(predictor-corrector interior point method) は, 現在もっとも普及している内点法の1つである. これらの解法については [5] 等を参照されたい.

 内点法における大きな課題1つは, 条件のよい許容領域内部初期点をいかに用意するかという問題である. この課題解決策として 非許容初期点内点法 (infeasible interior point method) や, 理論的にはさらに優れた 同次自己双対内点法 (homogeneous self-dual interior point method) が提案されており, 実装の際にはどちらか用いられることが多い.

 以上の解法の中で, アフィン変換法以外の解法多項式時間解法であることが示されている. ネステロフとネミロフスキーは, 自己整合障壁関数概念導入した上で, 内点法という解法クラスの中で, 多項式時間解法である解法からなる, 1つ大きなクラス示した [2]. この研究は, 1990年代から活発に行なわれている, 半正定値計画問題2次錐計画問題等に内点法を適用する研究重要な基礎となっている.

読書案内

 近年内点法が記述され教科書多く出版されている. [12] は内点法を総合的に扱った和書である. 線形計画法のみならず, 半正定値計画問題, 非線形計画問題対する内点法についも述べている. その他の洋書多く主双対内点法非許容初期点内点法基本とした内容であるが, カーマーカー法については [3], [9], アフィン変換法については [4], [6], 同次自己双対内点法については, [6], [10] 等にそれぞれ詳しく述べられている. [8], [9], [10] はそれぞれ線形計画法教科書であり, 図表多く入門的な内容であるが, [8] は単体法, [9] は内点法を包括する理論, [10] は実装それぞれ重きを置いている点が特徴である. また, 内点法に関する論文多くは, インターネット通じて入手可能である [11].



参考文献

[1] K. Karmarkar, "A New Polynomial-Time Algorithm for Linear Programming," Combinatorica, 4 (1984), 373-395.

[2] Y. Nesterov and A. S. Nemirovskii, Interior Point Polynomial Algorithms in Convex Programming, SIAM, 1994.

[3] S.-C. Fang and S. Puthenpra, Linear Optimization and Extentions Prentice Hall, 1993.

[4] R. Saigal, Linear Programming: A Modern Integrated Analysis Kluwer Academic Publishers, 1995.

[5] J. Wright, Primal-Dual Interior-Point Methods, SIAM, 1996.

[6] T. Terlaky, eds., Interior Point Methods of Mathematical Programming, Kluwer Academic Publishers, 1996.

[7] Y. Ye, Interior Point Algorithms: Theory and Analysis, Jhon Wiley & Sons, 1997

[8] D. Bertsimas and J. N. Tsisiklis, Introduction to Linear Optimization, Athena Scientific, 1997.

[9] C. Roos, T. Terlaky and J.-Ph. Vial Theory and Algorithns for Linear Optimization, John Wiley & Sons, 1997.

[10] R. J. Vanderbei, Linear Programming: Foundations and Extensions, Kluwer Academic Publishers, 1998.

[11] http://www-unix.mcs.anl.gov/otc/InteriorPoint

[12] 小島政和, 土谷隆, 水野眞治, 矢部博, 『内点法』, 朝倉書店, 2001.





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