その他の製品シリーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 14:45 UTC 版)
「タンデムコンピューターズ」の記事における「その他の製品シリーズ」の解説
1980年から1983年にかけて、タンデムは HP 3000 の影響から脱却すべく、ハードウェアとソフトウェアの全体を再設計することを試みた。コード名 Rainbow と名付けられたハードウェアは、32ビットのレジスタファイルを採用し、VAXより優れたものになることを目指している。主なプログラミング言語としては、Adaのサブセット TPL を採用。そのころ、Adaのコンパイラは最適化されていないものがかろうじて存在するだけだった。また、既存のTALで書かれたコードをTPLに移行させるための手段も全くなかった。OSとデータベースとCOBOLは全く新たに設計された。顧客から見れば全く無関係の新製品であり、ソフトウェア的にも互換性がない。ソフトウェア側の再設計は当初の計画よりも時間がかかった。ソフトウェアが完成したころには、NonStop TXP が Rainbow の性能を上回っていたため、Rainbowプロジェクトは破棄されることになった。その後タンデムは互換性と容易な移行経路の準備を重視するようになる。 Rainbowプロジェクトの一環で、クライアントサーバモデルのアプリケーション開発フレームワーク "Crystal" が開発されており、これが後に Cooperative Systems Inc から "Ellipse" の名で製品化されている。 タンデムは急成長するパーソナルコンピュータ市場に参入するため、1985年 MS-DOSベースの Dynamite というPC(ワークステーション)をリリースした。しかし、設計が独特でIBMのPCとは互換性がなかったため、単なる端末としてしか使い道がなく、早々に市場から撤退することとなった。 NonStop シリーズのOSはスケーラビリティ、信頼性、スペアのリソースを効率的に利用する能力で優れていた。しかし、小型でそれなりの信頼性のシステムを要望する顧客も多く、そのような顧客は慣れたUnix系OSと業界標準のプログラムを使いたがった。他社はそれに対してハードウェアのみで冗長性を持たせる多重化システムを提供していた。中でもそのようなシステムで成功していたのがストラタステクノロジーであり、同社のシステムはIBMの System/88 としても販売されていた。 そのようなシステムでは、予備のプロセッサは通常運用時のスループット向上に寄与せず、単にアクティブなプロセッサと全く同じ処理を「ロックステップ」方式で実行している。両方のプロセッサの結果に差異が生じると、障害が発生したことがわかる。したがって、アクティブなプロセッサ1個に対して、物理的に同一なプロセッサを2個用意して論理プロセッサを構成する必要があり、さらに自動フェイルオーバーで復旧するには論理プロセッサを3つか4つの物理プロセッサで構成する必要がある。このような方式はコストが3倍から4倍かかるが、CPUとして量産されているマイクロプロセッサを使えるため、コスト的に見合うようになっていた。 1989年、タンデムはこの市場向けに Integrity シリーズを投入した。CPUにはMIPSプロセッサを採用し、OSにはUnix系の "NonStop UX" を採用した。1991年、同じデータスレッドを3個の MIPS R2000 で実行させて1つの論理プロセッサを構成する Integrity S2 をリリース。3つのプロセッサの多数決で故障部品を検出する。クロック周波数が高すぎて正確にロックステップを同期させることができないため、多数決は割り込みの際に毎回行う方式だった。また、2個のプロセッサを1組としてさらにスペアの1組を持たせる方式の機種もある。2つのプロセッサがロックステップ実行を行い、結果に相違が生じるとそのペアが故障したと判断してスペアのペアに切り替える。1995年の Integrity S4000 は ServerNet(後述)を採用し、周辺機器なども NonStop シリーズと共通化するようになっていった。Integrity シリーズはNTTのCTRONプロジェクトに採用された。 1995年から1997年にかけて、タンデムはマイクロソフトと共同で Windows NT を使ったクラスターでのSQLの高可用化プロジェクトを行っている。このプロジェクトは "Wolfpack" と呼ばれ、1997年に成果として Microsoft Cluster Server が登場した。マイクロソフトはこの共同開発で大いに恩恵を被ったが、タンデムには何の利益もなかった。これに対応したタンデム製サーバは 2台分のパーツを1筐体に収納し、ハートビート用のネットワークをバスで直結し、障害検知が素早いのが謳い文句であった。しかし、内容は家庭用PC程度のパーツを納めていたに過ぎず、蓋を開けると、Micro-ATXマザーボードが2枚入っており、家庭用PCと大差ないのがありありと分かる。従って、性能も信頼性も低く、特にメモリに起因する障害が頻発した。
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