【片妻 ・ 片側L二方面全開タイプ】
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 18:58 UTC 版)
「国鉄UC5形コンテナ」の記事における「【片妻 ・ 片側L二方面全開タイプ】」の解説
コンテナ本体での片方(片端)の妻壁全面と、コンテナ本体での片方(片側)の全面を占めている折りたたみ形ドア(一般道の路線バスの前側にある、乗降口ドアみたいな感じの大型版)が、片側一方向面の中央部より左右に夫々、二枚一組の二つ折れ式として分かれて全面が観音開きに開閉する。つまりドア一枚辺りの高さはコンテナ本体と余り変わらないが、横幅はコンテナ全長を約四等分したほどの省スペース形となり、L字二方向で全面開閉する。 ※同じ構造をした20ft形海上コンテナでの、片側四枚観音開きドアの実演動画。 文字通りL字二方向で観音開きに全面開閉する為に、このコンテナ一個でバラ積み貨物 - 長尺物迄と幅広く対応するので、汎用性や特に平板状のパレット他、近年の汚染土除去後の保管容器で有名になった、大袋状のフレコンバック等を使用した異形荷物の輸送効率や荷役作業効率性は非常に高く、製作個数も前項の【片妻一方面観音全開タイプ】と同様に、首位を争う様に好んで幅広く採用された。 しかし、最大横幅の出し入れ口が確保されるために、小物等を満載状態でドアを開けた時の荷崩れによる落下受傷や、前記のドア開閉実演動画の後半部にも映っていた突風で左妻側に折りたたんだドアが戻りかける光景や、強風に煽られたりして跳ね返ったりするドアに打ち付けられたり、身体をコンテナとドアの間に挟まれる等の、ドア開閉時の作業労災事故率がこのUC5形コンテナ中では最も高い。また片面側は例えドアを閉めていても、片面側上部の横梁約6㍍弱部分は、元々比較的口径の小さい角形鋼材1本で上部の屋根端側の重量を支えている為に、常に相当の負荷が掛かっており、更にはコンテナの致命的宿命とも言える、不特定多数の運用下で、あらゆる方向からのダメージを受ける為にこの様な片側面が全開するタイプは比較的、実働耐用年数が短くなる傾向がある。 最悪なケースでは、JR貨物直営又は、管理委託を受けている直系私鉄のコンテナヤードでは、取り扱いの管理ルールが徹底している為に先ずありえないが、これら以外の施設で取り扱う場合( 例えば、通運のトラックターミナルや、大量に出荷する荷主の仮置き場等 )この20ftタイプのコンテナの上に、他の10ft又は12ft級コンテナを雪だるまの様に段積みして仮置きしてしまうケースがあり、この最悪のケースに見舞われたコンテナは、何の補強もない一本柱状態の上梁部分への極端な集中加重により致命傷となる。 その他、ドア開閉構造は両サイドの片端柱に、上 ・ 中 ・ 下 の三箇所または四箇所に分散して蝶番で固定されており、長期間の開放状態で使用したり、放置すると二つ折り扉自体の自重により、ドアが若干垂れ下がり、経年現象ゆえに次第に開閉のスムーズさを欠いたり、最悪の場合はコンテナ本体とドアとの密着部分に若干の隙間ができて、これが原因となった漏水事故が発生して積荷が傷むと言った構造的な問題がある。特に三箇所タイプが構造的にも弱いので、前記の不具合が比較的発生しやすい。 細かい所では、側面全体に付属している六本のロック棒が、コンテナ同士の擦れや荷役機器の接触で頻繁に変形したり最悪は折れ曲がる他、各ドア四面外周を覆っているゴムパッキンもやはり劣化するので、片妻一方のみ開閉二枚ドアタイプの三倍となる、片妻面 ・ 片側面で合せて六枚ものドアの保守などと、確かに荷役の作業効率などは非常に高いものの、全体の管理面では、サイド側のドア歪みによる積荷への漏水事故の多発 ・ 側面上部の撓みや破損 ・ 側面ドア面での凹みや、側面のドアロック棒修理・経年劣化や破損等での大量のゴムパッキン類の修理交換・ 更には、前項の様に構造的な脆弱性ゆえのコンテナの耐用年数が比較的に短い等、デメリットな面も多いタイプである。その為に、製作個数での首位を争うように大量に製作されたものの、逆に現役を早々と引退する固体が続出し、UC5形式としての終焉末期の現在では、既にこのタイプは一部の倉庫等に転用されて市中に残存する固体以外は、全滅していると思われる。 なおこのタイプは、強度面の関係により製作会社に関係なく、全てスチール製のみで製造されている。 片妻 ・ 片側L二方面全開タイプ 【 ギャラリー集 】
※この「【片妻 ・ 片側L二方面全開タイプ】」の解説は、「国鉄UC5形コンテナ」の解説の一部です。
「【片妻 ・ 片側L二方面全開タイプ】」を含む「国鉄UC5形コンテナ」の記事については、「国鉄UC5形コンテナ」の概要を参照ください。
- 【片妻 ・ 片側L二方面全開タイプ】のページへのリンク