『ガメラ対バルゴン』の特撮とは? わかりやすく解説

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『ガメラ対バルゴン』の特撮

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 02:14 UTC 版)

大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」の記事における「『ガメラ対バルゴン』の特撮」の解説

前作『大怪獣ガメラ』では、東京撮影所の中で「継子扱いだった」という湯浅憲明撮影スタッフは、『大怪獣ガメラ』大ヒットで「大威張りだった」という。続く本作では、湯浅特撮監督に、前作引き続き築地米三郎考えていたが、築地撮入前にテレビ番組『コメットさん』TBS)の準備のために国際放映引き抜かれてしまった。これには湯浅は「ショックだった」と振り返っている。大型予算組まれたため、デビュー3年目湯浅は「大作監督にはまだ早い」とする本社意向築地に代わって特撮専任となり、本編監督にはベテラン田中重雄据えられた。 こういった経緯で、本作では湯浅特撮班に回され、元々大映撮影所では特撮班があまり重視されてこなかったこともあって、前作以上に撮影所からは軽い扱いを受けることが多く現場で本編監督重視されたという。本編重視特撮部分あまりにカットされ湯浅が「特撮担当だって監督なんだ、こっちのカット変えないでくれ」と撮影所所長元へ直接抗議向かったこともあったという。大映スタッフ基本的に縁故採用であり、「これに起因する近親憎悪だった」と湯浅語っている。 しかしベテラン中心本編スタッフ対し特撮現場が若いスタッフ中心となったため、湯浅特撮班は逆に結集して仕事燃えることができたそうで、これに伴い特撮パートもかなり長いもになっている前作から特殊美術担当しているエキスプロでは、社長八木正夫以下スタッフ総出特撮セット入りミニチュア制作の他に、操演担当している。 A級予算組まれ作品だが、湯浅によると、東宝ほどの予算編成望めないため、特撮出来るだけ現場で処理したそうで、バルゴン噴射する冷凍液には光学合成ではなく消火器使った大映には現像所無かったため、予算圧迫する光学合成東洋現像所一任する形となるので、虹色光線自分現像所行って焼きこんだという。東洋現像所導入したばかりのオプチカル・プリンター実験兼ねグロス受注で虹光線合成行ってくれた。バルゴン通り過ぎ旅館の中を逃げ人影は、16mmフィルム逃げ人々撮影し建物内映写したのである前作『大怪獣ガメラ』とのつながりを示すものとして、ガメラ封じた「Zプランロケット」のカプセル宇宙シーンが新撮され冒頭登場するが、前作ミニチュアとは大きさ形状が全く異なっている。バルゴンポートタワーを舌で押し倒すシーンは、工作部スタッフポートタワー頑丈に作り過ぎてなかなか壊れずミニチュア倒れ切る前にフィルム尽きてしまった。撮り直しはきかず、余韻のないものになってしまったと湯浅惜しんでいる。 大型予算を受け、大阪城のミニチュアセットはフルスケール作られたが、美術監督井上章縮尺正確にしすぎて、セット入りきらなくなってしまったという。バルゴン冷凍液によって凍りつく大阪城描写コマ撮りの手法を使って徹夜撮影されたが、現像上がってみると、湯浅いわく「パラパラ漫画」のようになっていた。このため1コマずつ現像で尺を伸ばしオーバーラップで画を重ねて編集している。ガメラ表面の氷が徐々に溶けて流れカットは、セット斜めにして氷を溶かし、流水表現した冒頭ガメラ破壊する黒部ダム特撮セットは、石膏製のフルスケール模型作られた。この向こう側12トン超の貯水量の木製水槽置かれ観音開き一斉放水しダム決壊シーン10倍速高速度撮影した万全用意の末にいざ撮影始められたところが、30人大道具係が開いた水槽の扉のタイミングがずれてしまい、濁流二段階で流れ出てしまった。10倍速撮影のため、1秒のずれは10秒に拡大されてしまい、かえって迫力のある決壊描写となった。このとき、ダム下流では火災描写効果を出すため赤い照明当てられていたが、濁流で火が消えた後に照明を消すのをスタッフ忘れてしまった。結局撮り直すことはできず、このシーンは赤い照明のまま使われた。 小野寺飲み込まれるシーンのために、実物大バルゴンの頭が作られた。日本怪獣映画としては初めての、人間怪獣食べられるさまを描写した作品である。 湯浅の「東宝ゴジラとは違う画を創ろう」との意向で、怪獣同士戦いにも、切った突いたりといった絡みが採り入れられ円谷英二方針流血避けた東宝怪獣映画差別化され、本作以降ガメラシリーズでは怪獣流血描写頻繁に見られるようになったバルゴンの角やトゲそういった意向デザインされている。カラー画面考慮して必要以上残虐風味避けるためガメラバルゴン血の色は緑や紫にされた。「四つ足怪獣同士戦い」という本作構図も、従来東宝作品見られなかったものだった。これもプロデューサー斉藤米二郎湯浅らの「ゴジラ二本足なら、こっちは四本足で」という前作から続くゴジラシリーズへの対抗意識現れだった。

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