欺瞞
欺瞞(ぎまん)とは、人をあざむく・だます・嘘をつく、という意味の言葉。名詞としては「人をだますこと」そのものを指す抽象名詞のように扱われる。また「欺瞞する」という形で動詞としても使える。動詞の用法は「あざむく」や「だます」などの語と言い換えられる。
「欺瞞」の概要
「欺」も「瞞」も、ともに「人をだます」という字義の漢字。類義語を2つ並べて構成された(「巨大」「悠久」などと同種の)漢語表現である。欺瞞の「欺」の字は「上手に嘘をつき言葉巧みに人をあざむく」というニュアンスを中心とする。「詐欺」の欺。訓読みでは「あざむ-く」と読む。欺瞞の「瞞」の字は、「事実を伏せ巧妙に隠してだます」というニュアンスがある。訓読みは特にないが、表外読みとして「だま-す」と読ませる場合がある。
「欺」は中学校で習う常用漢字であり、「瞞」は常用外漢字(表外漢字)である。書籍や新聞などでは「欺瞞」の語にルビ(ふりがな)を付けたり、「欺瞞(ぎまん)」あるいは「欺まん」と表記したりする場合がある。
欺瞞は英語でどういうか
「欺瞞」を英語で表現する場合、訳語の候補としては動詞「decept」と名詞「deception」がまず挙げられる。decept は「あざむく」という意味で用いられる。deception は「だますこと」「あざむくこと」あるいは「ごまかし」といった意味で用いられる英単語である。 deception は動詞の decept に接尾辞を付けて名詞化した語彙である。中国語にも欺瞞という言葉はある。ただし「瞞」の字形が現代日本語とは違っており、現代中国語では「欺瞒」という表記が用いられている。現代日本語では「欺瞞」は名詞として用いられることが多いが、中国語の「欺瞒」は、もっぱら文章の中で動詞として用いられている。
欺瞞の語を含む表現
欺瞞の語は「欺瞞者」「欺瞞心」のように複合語を形成する場合も多い。たとえば「欺瞞者」は「欺瞞をする人」という意味の語である。「欺瞞心」は、「人をあざむこうとする心」、つまり、人をあざむこうとする人間の心の状態に焦点が当てられていている。「欺瞞行為」といえば、「ある行為が人をだますために行われている」ということである。一見すると正当な行為に見えるものの、その実は人をあざむくために行われている、といって行為を非難する文脈で用いられる。
「欺瞞工作」といえば、「人をあざむくために用意された陰謀」を意味する。
「自己欺瞞」は、「自分でも気がつかないうちに、自らの本心を(自分に隠し)、自分をだましている」といった状況を指して用いられることが多い。基本的には「欺瞞」は他人を騙す・欺く行為を指す言葉であるが、自己欺瞞には「自分で自分を欺瞞する」という特殊な要素が見いだされる。
欺瞞という言葉は「欺瞞的」という形で使用されることも多い。「欺瞞的」は「相手は嘘をついているわけではないが、もはや嘘をついているのと同然だ」という意味合いで用いられる。たとえば、表面的には筋が通った物言いだが、それは実際には人を欺いていることにほかならない、だましているのと変わらない、というような趣旨が「欺瞞的」と表現される。
いずれにしても「欺瞞」およびその関連表現は、基本的に非難めいた脈絡で用いられる語彙である。
欺瞞の類義語
「欺瞞」に意味の似る言葉(類語)は、まずは「騙す」「欺く」が挙げられる。「瞞着(まんちゃく)」も「だます」「あざむく」および「ごまかす」といった意味合いで用いられる語であり、ほぼ欺瞞の同義語といえる。「詐欺」も「騙す・欺く」行為を指すという点で「欺瞞」と共通している。「詐欺」は、金品を奪ったり相手を陥れて損害を与えたりする目的のために騙す、という要素を中心とする語である。詐欺行為を生業または常習とする者を詐欺師(さぎし)という。
「ペテン」なども欺瞞と同様「だます」という意味を持つ語として挙げられる。ペテンは「人をだますこと」という意味の名詞である。ただし、欺瞞はもっぱら騙す行為のみを指すが、ペテンは騙す行為そのものの他に「だますための手段」を指す場合がある。ペテンの常習者は「ペテン師」と呼ばれる。
「虚偽」という言葉も欺瞞と同じような意味合いで用いられる場合がある。欺瞞も虚偽も、「本人が真実ではないと知っていながら嘘をついている」という点において共通するが、欺瞞は「嘘を巧みについて人をあざむく」という点に、虚偽は「真実ではないことを真実のように見せる」という点に重点が置かれており、必ずしも使い所は完全には一致しない。
「欺罔(きもう)」も欺瞞と同様「人をだましたりあざむいたりする(行為)」を意味する語である。文語的な語彙であり、「欺瞞」とは使用場面が違って、今日の日常会話で耳にする機会は稀だが、法律用語として使用される機会がある。
欺瞞
欺瞞(ぎまん)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 00:37 UTC 版)
「カッコカワイイ宣言!」の記事における「欺瞞(ぎまん)」の解説
※この「欺瞞(ぎまん)」の解説は、「カッコカワイイ宣言!」の解説の一部です。
「欺瞞(ぎまん)」を含む「カッコカワイイ宣言!」の記事については、「カッコカワイイ宣言!」の概要を参照ください。
欺瞞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 14:10 UTC 版)
ディセプション・リピーター 近代的なディセプション・リピーター(deception repeater, 欺瞞反復装置)は、敵の捜索用や火器管制用のレーダー波の放射を受けると、その信号をデジタル無線周波数メモリ (DRFM) のような装置で記憶してごく短時間後に同一周波数で強度を高め、送信する。この戻ってきたレーダー反射波を受信したレーダー装置は、最初に弱く次に強く受信することで、本来の正しい目標から反射波である弱い信号ではなく欺瞞信号である強い信号を求める目標の位置と誤検出してしまう。 AN/ALQ-131(ドイツ語版)のような機外搭載型の欺瞞波電子妨害装置は、主に対空ミサイルに対して用いられ、レーダー警報受信機 (RWR) やミサイル警報装置 (MAWS) がミサイルの接近を探知することで、または敵航空機や地上・海上のレーダー波照射を探知することで動作を開始する。機内搭載型の欺瞞波電子妨害装置は、主に敵航空機や地上・海上のレーダー波による探知を妨害するために使用される。 ディセプション・リピーターは、受信したレーダー波を単純に同じ繰り返し周期とほぼ同じパルス幅で、少し強めの電波を打ち返す。こういったリピーター型の電子妨害装置は、濃密な電波環境でも機能するだけでなく同時に複数のレーダーに対しても機能するほか、パルス圧縮レーダーに対しても機能する。
※この「欺瞞」の解説は、「ジャミング」の解説の一部です。
「欺瞞」を含む「ジャミング」の記事については、「ジャミング」の概要を参照ください。
欺瞞
「 欺瞞」の例文・使い方・用例・文例
- 欺瞞のページへのリンク