東京新聞 配布地域・発行部数

東京新聞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 03:23 UTC 版)

配布地域・発行部数

関東各都県(東京都・神奈川県埼玉県千葉県茨城県栃木県群馬県)と静岡県遠州を除く)を主要配布対象地域とする。

ただしセット版(夕刊あり)は南関東の4都県のみで、東京都の小笠原諸島では他の主要紙と同じく配達されず、また茨城県・栃木県・群馬県(埼玉県・千葉県は一部地域)および静岡県では朝配達の統合版のみを発行する。

なお静岡県では、伊豆地方の全域と駿河地方のうち県東部の全域においては東京新聞のみを宅配・即売とも扱っている。富士川以西と大井川以東の間(駿河地方のうち富士川以西)の都市部では中日新聞との併売エリアであり、宅配のみの扱いとなっており即売はほとんど行われていない。大井川以西の遠州地方では中日新聞のみの宅配・即売となっている。

東京新聞を主の取り扱いとする専売店は少ないため、専売店がない地区では朝日新聞販売店や毎日新聞販売店・日本経済新聞販売店など他紙販売店に販売・配達を委託している。

一部地域では委託先の東京新聞取り扱い販売店と東京中日スポーツ取り扱い販売店が違う場合がある。

東京新聞の配達エリア外では他の地方紙同様・郵送購読制度を利用するのが普通だが、中日新聞の販売店では宅配に限って一日遅れで月極購読できることもある。

発行部数の推移

2010年55万部、2011年54万部、2012年53万部、2013年53万部、2014年52万部、2015年51万部、2016年49万部、2017年48万部、2018年46万部、2019年43万部、2020年41万部、2021年40万部、2022年39万部[1]

紙面

論調

旧東京新聞社が発行していた時代は、経営の主導権を旧都新聞出身者が握っていたが、紙面での論調は旧國民新聞のそれを取り入れ、保守強硬路線を採った。当時は、産経新聞正論路線を本格化させる前で、読売新聞も現在ほど右寄りではなかった。

昭和30年代以降東京新聞の右寄り論調は都内の読者層には合わず、経営不振に陥った[1]。1963年11月、中部日本新聞社(現中日新聞社)と業務提携以降は、社説や論調は原則的に中日新聞と同一となり、戦後の中日新聞社の総路線である中道左派進歩主義革新)的な思潮に変化していった[1]。現在では親会社の中日新聞社以上に左翼的な論調である。

ただし、名古屋本部が愛知県政、名古屋市政など中京圏特有の課題を掲載する場合は、東京本社で独自に差し替える場合もある。なお社説は中日新聞同様、本文の内容を要約したリード文が付随する(1970年3月より[3])。

サンデー版

毎週日曜日には「サンデー版」が付録として添付される。サンデー版は8頁建てで、1面と最終面を大きく使って、学校授業でも使えるような「大図解」を展開。中身は週間テレビ表や読み物、クロスワードなどが収録されている。大図解などは一部のブロック紙や地方紙各社にも配給されている。

エイプリルフール

毎年4月1日エイプリルフールにちなみ、日頃調査報道を行っている「こちら特報部」にて「本当のようなの記事」を掲載する[注 7]。この日に掲載される該当面のコラムについてもその日の担当者に嘘のコラムを書いて貰うように依頼したり、2008年からは企業による協力で広告スペースについても嘘の内容[注 8]を掲載している[4][5]。ただし、2009年はこれまでと趣旨を変え、「嘘のような本当の記事」を掲載した。

中日新聞との共有記事

中日新聞社では、外報部と政治部は東京本社にのみ設置されており、国際欄および夕刊に掲載されている「世界の街角から」は東京本社で制作、中日・東京の両紙共に同一内容を掲載している。

生活家庭面については、主に名古屋本部で製作されたものを掲載しており、中京圏関連の話題が多いが、独自の記事として旧東京新聞社時代から続く読者投書欄「あけくれ」が掲載されている。その他にも、中日新聞に長年連載されていた岡井隆の「けさのことば」(21世紀に入ってから東京新聞でも掲載)は東京新聞では朝刊3面に掲載されていた。

中日新聞社発行各紙や北海道新聞西日本新聞などブロック紙3社連合に加盟している新聞に掲載される小説4コマ漫画(朝刊は、2007年3月8日まで佃公彦作の「ほのぼの君」、同年7月1日か2011年12月31日まではさくらももこ作の「ちびまる子ちゃん」、2012年2月1日から2017年3月31日までは森栗丸作の「おーい 栗之助」、2017年4月1日からは青沼貴子の「ねえ、ぴよちゃん」を連載)は、中日新聞東京本社から配信される。それに加え、五木寛之作の小説親鸞 激動篇」・「親鸞 完結篇」は3社連合以外の地方紙(中国新聞大阪日日新聞福島民報秋田魁新報岩手日報新潟日報や中日新聞と競合関係にある静岡新聞岐阜新聞)などにも配信をしたため話題になっている。

2015年1月1日付朝刊から中日新聞・北陸中日新聞との共同企画として、戦後70年企画「平和の俳句」(読者投稿による平和にまつわる俳句。選者は金子兜太いとうせいこう)を1面で掲載している。

宣伝

購読申し込みフリーダイヤル電話番号をもじった「お風呂できゅきゅきゅ、東京新聞」のCMコピーのうち、以前はこのCMコピーをイメージした親子が風呂に入っているCMや、アニメーションのCMが放送されていたが、2007年6月からは北村総一朗紺野まひるをイメージキャラクターにした、「問う、きょう。」「これからのパートナー。」をCMコピーにした新しいCMシリーズが放送されていた、2008年3月からは、北村に代わり、東京出身のなぎら健壱と前回のCMキャラクターであった、紺野まひるをイメージキャラクターにした、「東京ほっと」シリーズに変わった。また、TOKYO MXテレ玉では、東京新聞舞踊コンクール入賞者によるダンス画像に、「東京の鼓動を伝える」をキャッチフレーズにした、東京MXテレビ開局時に制作されたCMを流すことがある。2011年3月10日より吉瀬美智子が主演のCMに変更をした。吉瀬と松尾貴史の競演CMも流れる場合もあった。その後、女優の米倉涼子の出演バージョンを経て、2016年3月からは、お笑いコンビ・ピース又吉直樹と元宝塚歌劇団で女優の遼河はるひが出演したCMを経て、2017年度は女優の杉咲花とお笑いコンビ・ドランクドラゴン塚地武雅が共演するCMが放送されていた。2020年2月現在はタレントジャーナリストモーリー・ロバートソンが出演しているバージョンが放送されていた。2020年からは吉田戦車漫画伝染るんです。』に登場するキャラクター「かわうそ君」を起用、24年2月末まで使用された。

テレビCMはTBSテレビフジテレビテレビ朝日テレビ東京TOKYO MXtvkチバテレビテレ玉で、ラジオではTBSラジオニッポン放送で流しており、チバテレビなど、各地域で最後が少し異なるバージョンのものが放送されている[注 9]

不祥事・批判

下記の1967年10月以降の東京新聞社が中日新聞社の傘下[1]になって以降の不祥事や批判である。

  • 1974年に津川雅彦朝丘雪路夫妻の長女で後に女優となる真由子が誘拐された際、津川の自業自得であるかのような論調の記事を掲載した。
  • 2017年9月1日、官房長官記者会見で東京新聞の記者が不適切な発言を行ったとして、首相官邸報道室が書面で抗議を行った。記者会見での記者の質問に官邸報道室が注意喚起をすることはあったが、文書での抗議は異例で、東京新聞の首相官邸キャップは内閣記者会の常駐各社に書面を配布した[6][7]。9月14日、官房長官記者会見で東京新聞記者が「注意文書のことが産経新聞になぜかリークとして記事が出て個人への誹謗中傷が進んでいる」と発言。産経新聞は「事実無根で看過できない」として発言撤回を求める抗議文を東京新聞編集局長宛てに送付し、東京新聞はこのリーク発言に対し「事実ではありませんでした。抗議を真摯に受け止め、発言を撤回いたします」と19日付の文書で産経新聞に対して謝罪した[8]
  • 2020年4月30日付朝刊一面で「抗体検査5.9%陽性 市中感染の可能性 都内の希望者200人調査」の見出しで、久住英二医師が理事長を務めるクリニックで実施した新型コロナウイルスの抗体検査の結果を報じたが[9]、読者や専門家から「検査対象に偏りがあり、誤解を与える」との批判を受け、5月12日付朝刊に「検査対象が広く一般の人たちを代表しているとは言えず、誤解を与える危険性があるとの批判を重く受け止める」旨の訂正記事を掲載した[10]。京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、検査対象の偏りに加え、研究で使用された抗体検査キットの実効性について、日本感染症学会等から疑義が呈されており、掲載したことの道義的責任は重いと指摘した[11]
  • 東京新聞の40代の記者が2020年9月4日、厚生労働省の職員を取材した際、机をたたいて怒鳴ったり職員の資料を奪ったりする等の暴力的な行為を行った。中日新聞社は2020年11月1日付でこの記者を停職2週間とする懲戒処分を決めた[12][13]
  • 2022年8月、東京大学の学生が新型コロナ感染による授業欠席で救済措置を受けられずに「単位不認定」となったことについて、7月17日付の朝刊で「東大、コロナ巡り理不尽な対応」「最難関大のおごり」と報じた。会見3日前の8月1日付の特別報道部(特報部)による記事でも、約1500字の記事中に東大側意見は88字のみで、学生側の言い分やそれに沿った言論者による東大批判に割いていた。東京大学側は、記事は東京大学によるコロナ感染への一般的な対応と、特定の学生が特定科目の単位習得失敗で留年となったことという「まったく相互に無関係の事象」を「あたかも二つがリンクしているかのように読者に対して印象づける」もので、「ジャーナリズムとしてあるべき取材の適正性、事態の全体を視野に入れた上での記事の公平性・公正性に大幅に悖る」として、抗議文を出した[14][15]
  • 2023年3月7日付web版首都圏ニュースのコラム「突撃イバラキ」において、同紙水戸支局の記者が茨城県内の一部地域での食文化とされているカラスハシブトガラスハシボソガラス)料理の食事会に参加したレポートを掲載し、その中で供された「醤油漬けにされたカラスの胸肉の刺身」について「究極のジビエ」として紹介した。記事内では茨城県生活衛生課の「食中毒のリスクはかなりある。禁止されているわけではないが、控えてほしい」との見解やカラス料理研究家の著書を引用して「生食は絶対にやめましょう」とした一方、「貴重な食文化がゲテモノ扱いされたまま先細ってしまうのはあまりにも惜しい」とも述べた[16]
この記事が配信された直後から、医師や科学ジャーナリストなどから「ジビエの生食は死亡するリスクがあり、真似をする人が出かねない」などといった批判や否定的な意見がSNSなどで相次いで投稿され、厚生労働省のTwitterアカウントでも同月8日に「シカ、イノシシ等の野獣やカモ、カラス等の野鳥は病原体を保有している可能性があり、その肉や内臓を生食することは非常に危険です。ジビエは中心部までしっかり加熱して食べましょう。」とジビエの生食を避けるよう啓発する投稿を行うなど、同記事に対する批判が相次いだ。東京新聞はJ-CASTニュースの取材に対して「記事で掲載した通りです」とのみコメントしている[17][18]
  • 2023年6月8日、鈴木宗男参議院議員は、参議院法務委員会での入管難民法改正案採決を巡り、東京新聞の記者である望月衣塑子が傍聴席から不規則発言を行い「院の秩序を乱した」と非難した。報告を受けた参議院議院運営委員会は同日の理事会で、法務委員会理事会で今後の対応を協議していくこととした[19]

注釈

  1. ^ ただし、内務省主導の合同交渉はもつれ、翌1943年8月に漸く新会社(社団法人東京新聞社)が設立された。
  2. ^ 1958年代表取締役社長の与良ヱ(よら あいち)は産経新聞社の副社長に僅か1年間ながら請われて就任している。また、これによりフジサンケイグループとの関係もこの頃から始まっている。
  3. ^ 読売新聞が、他の全国紙と違って中部地区(東海3県)への進出が遅れていたのはこの協定の存在も要因である。その後、1975年に読売新聞は系列紙「中部読売新聞」(現・読売新聞中部支社)の創刊によって中部地区へ進出している。
  4. ^ 「今日新聞」より紙歴を数えている。
  5. ^ 富山県は輸送の関係でそれまでは東京管轄だったが、今回の受託印刷開始で大阪管轄に変更された(約22年ぶりに大阪管轄に戻った)。
  6. ^ 中日新聞・北陸中日新聞などは引き続き社会面にて掲載。
  7. ^ 2011年は前月に東日本大震災が発生したことを考慮し、掲載自体を取り止めた。
  8. ^ 一例として、「はとバスが高さ810mのタワーを建設」や「(飲料メーカーの)ネスレ黒ビールを発売」など。
  9. ^ TBSは中日系のCBCテレビ、フジテレビはCBCと同じ中日系の東海テレビのそれぞれキー局である。また、テレビ東京系列テレビ愛知は、日本経済新聞社と中日新聞社の合弁企業である。ちなみにCBC・東海テレビ・テレビ愛知の3局では、中日新聞のCMは2009年現在は放送されていない。
  10. ^ 「静岡版」は、中日新聞東海本社が編集したものを東京本社で紙面制作しており、中日新聞東海本社版における静岡県内記事のダイジェスト的な紙面構成になっている。
  11. ^ 衛星劇場と共に趣味のチャンネルとして掲載されていた。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j 東京新聞』 - コトバンク
  2. ^ 東京新聞お申込のご案内”. 東京新聞 TOKYO Web. 2013年4月11日閲覧。
  3. ^ 2013年1月3日付中日新聞9面「『社説』はこうしてできる」
  4. ^ DIRECT2013”. 東京新聞. p. 3. 2013年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月1日閲覧。
  5. ^ 春田靖浩 (2018年6月). “企画反響レポート ACTION Vol.121”. 東京本社広告一部. 東京新聞. 2023年4月1日閲覧。
  6. ^ 東京新聞・望月衣塑子記者の「リーク」発言に産経新聞が抗議 「事実無根だ」 ネット上の誹謗中傷は「言論弾圧を助長している」のか?”. 産経ニュース. 産経デジタル (2017年9月14日). 2022年4月30日閲覧。
  7. ^ “異例、東京新聞抗議 解禁前情報基に記者会見で質問”. 毎日新聞. (2017年9月21日). オリジナルの2019年3月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190304074553/https://mainichi.jp/articles/20170921/ddm/004/010/019000c 2017年9月23日閲覧。 
  8. ^ 望月衣塑子記者「官邸リーク」発言に東京新聞編集局「抗議を真摯に受け止め発言撤回します」 文書で回答”. 産経ニュース. 産経デジタル (2017年9月20日). 2022年4月30日閲覧。
  9. ^ <新型コロナ>抗体検査5.9%陽性 市中感染の可能性 都内の希望者200人調査”. 東京新聞 TOKYO Web. 2020年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月12日閲覧。
  10. ^ “「誤解を与える」批判について 「抗体検査5.9%陽性」の本紙記事”. 東京新聞. (2020年5月12日) 
  11. ^ Chiba, Yuto. “東京新聞「抗体検査5.9%陽性」の報道が誤解を与える危険性認める。専門家「道義的責任は重い」”. BuzzFeed. 2024年2月5日閲覧。
  12. ^ 東京新聞が厚労省に謝罪 記者が取材で暴力的行為”. 東京新聞. 2020年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月4日閲覧。
  13. ^ 東京新聞記者を停職処分 取材で暴力的行為―中日新聞社”. 時事通信社 (2020年10月31日). 2020年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月1日閲覧。
  14. ^ 総合文化研究科・教養学部 学生のみなさま 学生保護者のみなさま 教職員のみなさま”. 東京大学 (2022年8月5日). 2022年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月19日閲覧。
  15. ^ 東大vs.東京新聞、コロナ感染学生の「単位不認定」報道めぐり異例のバトル”. SAKISIRU. 2022年8月7日閲覧。
  16. ^ <突撃イバラキ>カラス肉の生食文化 究極のジビエに挑戦 - 東京新聞 2023年3月7日
  17. ^ カラス肉の刺身を「究極のジビエ」と紹介 東京新聞コラムが物議...厚労省も注意喚起「非常に危険」 - J-CAST ニュース 2023年3月9日
  18. ^ カラス肉の生食体験記に厚労省がカウンターパンチ 東京新聞は「記事で掲載した通りです」と問題視せず - BUZZFEED 2023年3月9日
  19. ^ 東京新聞・望月記者が「秩序を乱した」 維新・鈴木宗男氏が批判”. 産経ニュース. 産経デジタル (2023年6月8日). 2023年6月8日閲覧。
  20. ^ 2018年9月、静岡県内の宅配購読者に折込配布された「ご案内」による。


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