にん‐じゅ【人▽数】
にん‐ず【人数】
にん‐ずう【人数】
ひと‐かず【人数】
人数
『居酒屋』(ゾラ)7 ジェルヴェーズの誕生日の晩餐に、男女合わせて14人が集まることとなる。ところがマダム・グージェが欠席して、席についたのは13人だった。ジェルヴェーズは不吉なものを感じる。1人が「私は帰る」と言い出し、1人が「14人より13人の方が、食べ物の分け前がふえていい」と言う。ジェルヴェーズは「都合をつけるわ」と言って歩道へ出る。彼女は、通りかかった老職人ブリュを呼び入れる。
『ユリシーズ』(ジョイス)第2部6「ハーデス」 レオポルド・ブルームは、友人ディグナムの葬儀に参列する。ディグナムの棺が墓地に埋葬される時、ブルームは後ろの方に立ち、会葬者の数を数えて、自分が13人目になることに気づく。しかしもう1度見ると、雨外套を着た男がいて、彼が13人目なのだった。ブルームは考える。「13・・・死の番号・・・あの男はどこから来たのだろう・・・礼拝堂にはいなかった・・・13がどうとかいうのは馬鹿げた迷信だ」。
『七騎落』(能) 石橋山合戦に敗れた源頼朝が、船で安房へ落ちのびようとする。主従一行が8騎であるのを、頼朝は「祖父為義・父義朝敗走の折も8騎だったため、不吉だ」と言って、「1人下船せよ」と命ずる。そこで土肥実平の息子遠平が陸に残り、7騎となって船を出す。やがて沖に出た一行は和田義盛の船と出会う。義盛と頼朝は対面するが、義盛は遠平を助け、船底に隠していた。
*写真をとる時、3人は不吉である→〔写真〕5cの『現代民話考』(松谷みよ子)12「写真の怪 文明開化」第2章の1。
★2.人数が一人多い。
『黄金伝説』46「聖グレゴリウス」 聖グレゴリウスが12人の巡礼を食卓に招くが、数えると13人になっていた。しかし秘書が数えなおすと12人だった。その時巡礼の1人の顔が老人に変容し、「自分は主の御使いの1人だ」と名のり、「主はあなたを教皇に選んだ」と告げた。
『三宝絵詞』下-30 天台大師(=智顗)が亡くなった後、朝廷は忌日ごとに使者を寺に送り、1000人の僧を供養した。その時、斎場で僧の数を数えると、1001人いる。しかし1人1人名前を呼んで記録すると、1000人である。供養が始まると僧が1人多いようだったが、供養が終わるとやはり1000人である。それで、天台大師が来て僧たちの中に混じっていたことがわかった。
『11人いる!』(萩尾望都) 宇宙大学の受験生10人が、最終選考のため宇宙船に集められる。ところが乗り組んでみると11人いる。実は、誰だかわからない11人目は大学のスタッフで、宇宙船にトラブルを起こし、非常事態に受験生たちがどう対処するかを見るのであった。
*10人のはずが11人になっている→〔福の神〕4aの『ざしき童子(ぼっこ)のはなし』(宮沢賢治)。
『奇談異聞辞典』(柴田宵曲)「九人橋」 金沢城下の味噌倉町に、九人橋という小橋がある。昼でも夜でも、この橋を10人並んで渡る時には、水に9人の影だけ映り、1人の影は見えない。さまざまに渡り直してみると、映らないのは右端の人だったり、左端の人だったり、中にいる人だったり、そのたびごとに違う。1人ずつ別々に渡る時には、何の変事もない(『北国奇談巡杖記』巻1)。
『鉄腕アトム』(手塚治虫)「キリストの目」 ある夜、7人の覆面の男が教会を訪れ、「実験をするから」と言って広い部屋を借りる。しかし出て行く時には、彼らは6人だった。彼らは殺人光線ロボットの開発実験をしており、教会へ来る時は人間6人とロボット1体であり、帰る時はロボットを分解して持ち去ったのだった。
『切符』(三島由紀夫) 洋服屋の松山仙一郎はお化け屋敷の招待券を10枚もらったので、カメラ店の本田、薬屋の村越、時計屋の谷とともに、総勢4人で出かける。お化け屋敷でなぜか異様な恐怖にかられた仙一郎は、出口で待っていた妻と話すうちに、時計屋の谷がしばらく前に自殺したことを思い出す。招待券の残りは6枚のはずが、何度数えなおしても7枚あった。
★5a.船に乗れる人数。
『平家女護嶋』(近松門左衛門)「鬼界が島」 鬼界が島に流された俊寛・康頼・成経の赦免状を携えて、使者瀬尾太郎らが船を寄せる。成経は島娘千鳥と夫婦になっており、彼女をも伴おうとする。しかし瀬尾は「船路関所の通行切手は3人のみだ。4人とは書いてない」と言って、千鳥の乗船を許さない。怒った俊寛が瀬尾を殺し、自らが島に残って、康頼・成経・千鳥の3人が乗船できるようにはからう。
『月世界の女』(ラング) 男2人(ヘリウスとヴィンデガー)・女(フリーデ)・少年の合計4人が、月世界から宇宙船で地球へ帰ろうとする。酸素タンク損傷のため、3人分の酸素しかない。ヴィンデガーとフリーデは婚約していたので、ヘリウスは「自分が月に残ろう」と考える。ところが、宇宙船を見送ったヘリウスが振り返ると、意外にもそこにフリーデがいた。フリーデは「自分は本当はヘリウスを愛していたのだ」と気づき、彼とともに月に残る決心をしたのだった。
『冷たい方程式』(ゴドウィン) 惑星ウォードンの探検隊が、緑色カラ蚊の媒介する熱病に侵された。1人乗りの宇宙船EDS(=緊急発進艇)が血清を積んで、ウォードンへ向かう。ところが、EDSの倉庫内に密航者がいた。それは1人の少女で、ウォードンにいる兄に会いに行こうとしたのだ。見つかったら罰金を払えば済む、と少女は考えていた。しかしEDSの燃料は、飛行士1人分だけである。飛行士は少女を、真空の宇宙空間へ追いやらざるを得なかった。
★6a.人間の数と花の数。
『人影花』(昔話) 盗賊にさらわれた妻を夫が捜し、3年たって盗賊の家を見つけて、妻と再会する。その家には「アスナロー」という花があって、男が来れば男花が、女が来れば女花が、人数分だけ咲く。夜、盗賊が帰って来ると、男花が2つ咲いたので、盗賊は「わしの他にもう1人男がいるな」と言う。妻は「私のお腹に男の子ができたのでしょう」と、ごまかす。山賊は喜び、酒を飲んで眠る。隠れていた夫が、刀で山賊を殺す(鹿児島県大島郡喜界島)。
*腹の中の子を、数のうちに入れる→〔箱〕4aの『三国遺事』巻1「紀異」第1「金ユ信」。
*殺した人間の数と、花の数が一致する→〔花〕2cの『牡丹』(三島由紀夫)。
★6b.人間の数と魂の数。
『生命とは何か』(シュレーディンガー)「エピローグ」 「肉体の数と同じ数だけの霊魂(=意識)がある」と、ヨーロッパ人は考えている。しかしこの仮説は疑わしい。自我意識は、同時に2つ以上感じられることはなく、つねに単一のものとして経験される。肉体が複数存在しても、意識は1つである。ただ1つのものだけが存在し、多数あるように見えるものは、この1つのものの現す異なる姿に他ならない。
『雁風呂』(落語) 秋、常盤の国から日本へ渡る雁たちは、口に木の枝をくわえている。疲れると枝を海に落としてその上で休み、函館海岸の一木松まで来て、枝を捨てる。翌春、雁たちは再び枝をくわえて常盤の国へ帰るが、日本で死んだ雁の数だけ、浜辺に枝が残る。漁師たちは雁を憐れみ、残った枝で施行風呂をたく。それを「雁風呂」という。
『夕陽のガンマン』(レオーネ) 賞金稼ぎのガンマン・モンコが、盗賊団一味を皆殺しにする。彼は1人1人に懸けられた賞金額を計算しながら、死体を荷車に積んでゆく。すると、もらえるはずの金より5千ドル少ないので、誰かまだ1人生き残って隠れている、とモンコは気づく。生き残りの男が背後からモンコを撃とうとする一瞬前に、モンコは振り返って男を射殺する。
『飢餓海峡』(水上勉) 昭和22年(1947)9月20日午後。青函連絡船層雲丸は函館港を出てまもなく、台風のために転覆した。乗船者854名のうち、生存者324名。したがって死者は530名のはずが、収容された死体は2体多かったので、警察は捜査を開始した。それは、北海道内で強盗殺人を犯した3人組が小舟で青森へ逃げる途中、仲間割れで2人が海へ投げ出された、その死体だった→〔過去〕6。
『しまつの極意』(落語) 商売をする男が、10人いた店員を5人に減らしたが、結構それで間に合う。さらに減らして店員2人にしても、大丈夫だった。思い切って店員をゼロにして、夫婦2人で走り回って働いたら、なんとかなった。妻を離縁して男1人でやっても、間に合った。「それなら、わしもいらんのだ」と言って、男はどこかへ行ってしまった。
『羅生門』(黒澤明) 雨の中。羅生門の下で、木こりと僧と下人が不可解な殺人事件(*→〔語り手〕1)について語り合っていた時、誰かがそっと赤ん坊を棄てていった。下人はすぐに赤ん坊の衣類を剥(は)ぎ、奪い取ってしまったので、木こりは憤る。木こりは僧に、「わしの所には子供が6人いる。しかし、6人育てるも7人育てるも、同じ苦労だ」と言い、赤ん坊を抱いて帰って行く。
★12.正しい人の数。
『創世記』第18章 主(しゅ)は、ソドムの町を滅ぼそうと決意する。アブラハムが主に、「あなたは、正しい者を悪い者と一緒に滅ぼされるのですか? もし正しい者が50人いたら、その50人のために、町をお赦しにはならないのですか?」と問う。主は「ソドムに正しい者が50人いるならば、町全部を赦そう」と答える。アブラハムは「では、正しい者が45人なら? 40人なら? 30人なら? 20人なら? 10人なら?」と、人数を減らしつつ繰り返し問いかけ、ついに主は、「正しい者が10人いたら滅ぼさない」と言う。
『古事記』上巻 イザナキは、妻イザナミを黄泉国に閉じこめ、離別を宣告して、葦原中国(あしはらのなかつくに=現世)に帰った。イザナミは怒り、「汝の国の人草(ひとくさ=人間)を、1日に千人絞り殺してやる」と言う。イザナキは、「それなら1日に千5百人誕生させよう」と言い返す。これが、1日に千人の人間が死に、千5百人の人間が生まれるようになった起源である。
『最後の地球人』(星新一『ボッコちゃん』) 地球の人口はとめどなく増え続け、百億人になり、2百億人になった。もうこれが人類存続の限界かと思われた時、増加は止まり、減少に転じた。1組の夫婦から、1人しか子供が生まれなくなったのだ。人口は世代ごとに半減し、ついに男女1人ずつになる。彼らは裸で暮らし、人類最後の子供をもうけて、死んでいった。子供は薄暗い保育器の中で成長し、「光あれ」と言うと保育器はこわれ、広い空間があらわれた。これから何をすべきか、子供にはわかっていた。
「 人数」の例文・使い方・用例・文例
- 少人数の子どもたち
- 先生が最終的な人数の確認をして,それから我々は出発した
- 彼女は少人数のクラスで近代演劇の講義をした
- 人数が多ければ安全
- 少人数のクラスで英語を学ぶ
- 彼には50人という多人数のスタッフがいる
- 子供たちの人数が多い
- また人数に制限が御座います
- 1クラスの人数が少ない
- 当センターが登録人数を見極め、皆さんの参加に備えられるように、3月7日までに登録してください。
- 登録人数に制限はない。
- 充分な人数の学生が登録しなかったらそのクラスはキャンセルされる。
- 有効求人数は前月比1.2ポイント増だった。
- 新規求人数は頭打ちとなっている。
- かなりの人数の子供
- たくさんの人数の子供たち
- 人数が確定したら、また連絡します。
- 人数が確定したら、連絡します。
- この部屋の収容人数は何人ですか?
- 重要なのは、人数より質です。
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