三省堂 大辞林 |
にんじゅ 【人▽数】
「やあ、餓餽も―、しをらしい事ほざいたり/浄瑠璃・国性爺合戦」
(2)「にんずう(人数)(2)」に同じ。
「大念仏を申す事の候ふ間、僧俗を嫌はず―を集め候/謡曲・隅田川」
にんず 1 【人数】
にんずう 1 【人数】
ひとかず 0 【人数】
物語要素事典 |
人数
★1.不吉な人数。
『居酒屋』(ゾラ) ジェルヴェーズの誕生日の晩餐に、十四人が集まることとなる。ところがマダム・グージェが欠席して、席についたのは十三人だった。一人が「帰る」と言い、一人が「十三人の方が食べ物の分け前がふえていい」と言う。ジェルヴェーズは外に出て、通りかかった老職人ブリュを呼び入れる。
『七騎落』(能) 石橋山合戦に敗れた源頼朝が、船で安房へ落ちのびようとする。主従一行が八騎であるのを、頼朝は「祖父為義・父義朝敗走の折も八騎だったため、不吉だ」と言って、「一人下船せよ」と命ずる。そこで土肥実平の息子遠平が陸に残り、七騎となって船を出す。やがて沖に出た一行は和田義盛の船と出会う。義盛と頼朝は対面するが、義盛は遠平を助け、船底に隠していた。
★2.知らぬ間に人数が増えている。
『黄金伝説』46「聖グレゴリウス」 聖グレゴリウスが十二人の巡礼を食卓に招くが、数えると十三人になっていた。しかし秘書が数えなおすと十二人だった。その時巡礼の一人の顔が老人に変容し、「自分は主の御使いの一人だ」と名のり、「主はあなたを教皇に選んだ」と告げた。
『ざしき童子のはなし』(宮沢賢治) 十人の子供たちが両手をつないで円くなり、座敷の中を回って遊んでいると、いつのまにか十一人になっている。皆、はじめからいた顔ばかりで、誰が増えた一人なのかわからない。それでも確かに一人増えている。
『三宝絵詞』下-30 天台大師(=智顗)が亡くなった後、朝廷は忌日ごとに使者を寺に送り、千人の僧を供養した。その時、斎場で僧の数を数えると、千一人いる。しかし一人一人名前を呼んで記録すると、千人である。供養が始まると僧が一人多いようだったが、供養が終わるとやはり千人である。それで、天台大師が来て僧たちの中に混じっていたことがわかった。
『11人いる!』(萩尾望都) 宇宙大学の受験生十人が、最終選考のため宇宙船に集められる。ところが乗り組んでみると十一人いる。実は、誰だかわからない十一人目は大学のスタッフで、宇宙船にトラブルを起こし、非常事態に受験生たちがどう対処するかを見るのであった。
★3.知らぬ間に人数が減っている。
『鉄腕アトム』(手塚治虫)「キリストの目」 ある夜、七人の覆面の男が教会を訪れ、「実験をするから」と言って広い部屋を借りる。しかし出て行く時には、彼らは六人だった。彼らは殺人光線ロボットの開発実験をしており、教会へ来る時は人間六人とロボット一体であり、帰る時はロボットを分解して持ち去ったのだった。
『切符』(三島由紀夫) 洋服屋の松山仙一郎はお化け屋敷の招待券を十枚もらったので、カメラ店の本田、薬屋の村越、時計屋の谷とともに、総勢四人で出かける。お化け屋敷でなぜか異様な恐怖にかられた仙一郎は、出口で待っていた妻と話すうちに、時計屋の谷がしばらく前に自殺したことを思い出す。招待券の残りは六枚のはずが、何度数えなおしても七枚あった。
★5a.船に乗れる人数。
『平家女護嶋』(近松門左衛門)「鬼界が島」 鬼界が島に流された俊寛・康頼・成経の赦免状を携えて、使者瀬尾太郎らが船を寄せる。成経は島娘千鳥と夫婦になっており、彼女をも伴おうとする。しかし瀬尾は「船路関所の通行切手は三人のみだ。四人とは書いてない」と言って、千鳥の乗船を許さない。怒った俊寛が瀬尾を殺し、自らが島に残って、康頼・成経・千鳥の三人が乗船できるようにはからう。
★5b.宇宙船に乗れる人数。
『月世界の女』(ラング) 男二人(ヘリウスとヴィンデガー)・女(フリーデ)・少年の合計四人が、月世界から宇宙船で地球へ帰ろうとする。しかし酸素タンク損傷のため、三人分の酸素しかない。ヴィンデガーとフリーデは婚約していたので、ヘリウスは「自分が月に残ろう」と考える。ところが、宇宙船を見送ったヘリウスが振り返ると、意外にもそこにフリ-デがいた。フリーデは「自分は本当はヘリウスを愛していたのだ」と気づき、彼とともに月に残る決心をしたのだった。
★6.人間の数と花の数。
『人影花』(昔話) 盗賊にさらわれた妻を夫が捜し、三年たって盗賊の家を見つけて、妻と再会する。その家にはアスナローという花があって、男が来れば男花が、女が来れば女花が、人数分だけ咲く。夜、盗賊が帰って来ると、男花が二つ咲いたので、盗賊は「わしの他にもう一人男がいるな」と言う。妻は「私のお腹に男の子ができたのでしょう」と、ごまかす。山賊は喜び、酒を飲んで眠る。隠れていた夫が、刀で山賊を殺す(鹿児島県大島郡喜界島)。
★7.鳥の数と枝の数。
『雁風呂』(落語) 秋、常盤の国から日本へ渡る雁たちは、口に木の枝をくわえている。疲れると枝を海に落としてその上で休み、函館海岸の一木松まで来て、枝を捨てる。翌春、雁たちは再び枝をくわえて常盤の国へ帰るが、日本で死んだ雁の数だけ、浜辺に枝が残る。漁師たちは雁を憐れみ、残った枝で施行風呂をたく。それを「雁風呂」という。
『夕陽のガンマン』(レオーネ) 賞金稼ぎのガンマン・モンコが、盗賊団一味を皆殺しにする。彼は一人一人に懸けられた賞金額を計算しながら、死体を荷車に積んでゆく。すると、もらえるはずの金より五千ドル少ないので、誰かまだ一人生き残って隠れている、とモンコは気づく。生き残りの男が背後からモンコを撃とうとする一瞬前に、モンコは振り返って男を射殺する。
★9.死体の数が多い。
『飢餓海峡』(水上勉) 昭和二十二年九月二十日午後。青函連絡船層雲丸は函館港を出てまもなく、台風のために転覆した。乗船者八百五十四名のうち、生存者三百二十四名。したがって死者は五百三十名のはずが、収容された死体は二体多かったので、警察は捜査を開始した。それは、北海道内で強盗殺人を犯した三人組が小舟で青森へ逃げる途中、仲間割れで二人が海へ投げ出された、その死体だった→〔再会〕10。
★10.人数を減らしても、仕事はできる。
『しまつの極意』(落語) 商売をする男が、十人いた店員を五人に減らしたが、結構それで間に合う。さらに減らして店員二人にしても、大丈夫だった。思い切って店員をゼロにして、夫婦二人で走り回って働いたら、なんとかなった。妻を離縁して男一人でやっても、間に合った。「それなら、わしもいらんのだ」と言って、男はどこかへ行ってしまった。
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