暗号 暗号の概要

暗号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/17 04:45 UTC 版)

概要

秘匿通信を行う上で最も単純な方法は「木を隠すなら森」という諺のごとく、通信文そのものの所在を隠してしまうことである。歴史上実際に行われたものとしては、通信文を丸めて飲み込んだり、ベルトの内側に書き普通の被服のように身につけたり、新聞の文字に印(文字横に穴を開ける等)をつけて文章を作る、頭を剃りあげて頭皮に通信文を刺青し、再び頭髪が生えそろうことで隠す、などもあったようである。「暗号らしい手法」としては「ステガノグラフィー」といい、「それとはわからないような形で」記録する、というものである。画像などに情報を埋め込む「電子透かし」にも同じ技術を利用するが、電子透かしではその画像の著作権情報などといった関係のある情報を埋め込むのが目的であるのに対し、ステガノグラフィーは全く無関係な情報を秘密のうちに紛れ込ませる、という点が異なる。またいわゆる縦読みなども一見して普通の文章の中に見えるためステガノグラフィーの一種と言えなくもない。

広義では以上のような方法も暗号に含まれるし暗号学が探求する対象であるが、狭義では、その見た目が「なんだかわからない」という、難読であると明確なものを指して特に暗号に分類する(なお、暗号化された通信文(暗号文)については理論上、他からの「それが暗号である」という情報が無ければ、ただのデタラメと全く区別が不可能であるのが理想である[1])。

狭義の暗号は、古典的には主要な分類に、以下の2つがある。

  • 「コード」

通信文内の、単語フレーズといったある程度意味のある塊の単位で、あらかじめ取り決めてある記号と交換する。

  • 「サイファー」

通信文に対し、意味とは関係なく、文字毎の(最小の)単位で、あらかじめ取り決めてある置換や転置を掛ける。

「コード」は一般に、軍の運用に必要なものなど、ある程度の(あるいは膨大な[2])語彙について秘密の記号群を決めておくものであるが、「討ち入り」「開戦」などといった特定の重要な件のみについて、「○◇△といえば、~のこと」等と事前に取り決めておくことで秘匿することも行われた。個人間で行うものから組合ギルド等の特定のグループ内で行うものがある。事前の取り決めではなく、特定の人達だけが知る事項などを元に、意味は同じままで、言い方を変えることで秘匿することもある。秘匿したい特定の単語だけ置き換えることも、コードブックと呼ばれる辞書を作成して全ての単語を置き換えることもあり、歴史的な例としては、前者は「スコットランド女王メアリーの暗号」、後者は「ルイ14世の大暗号」や「ナポレオンの小暗号」などが知られている。

「サイファー」は、機械化以前は一般に作業手数が大きいといった欠点があったが、機械化以後はサイファーが主流の暗号である。機械化に次いで、暗号のコンピュータ化(あるいは、コンピュータの暗号化)の時代となったが、それらの暗号も、だいたいサイファーに分類するのが妥当であろう。

また以上のようなセキュア通信のための狭義の暗号に限らず、相手の身元を確認する認証や改竄の検出、貨幣の偽造防止技術、電子署名認証ハッシュ関数電子マネーその他、情報セキュリティの多くの局面で、暗号はキーテクノロジとなっている。

なお、暗号化の逆の操作を表す語は「復号(英語: decryption)」であり、本来符号化に対するそれ(英語: decode)同様「~化」とはしないが、「復号化」という誤用はかなり広く定着している。

暗号学


  1. ^ 前述のステガノグラフィーのような、一見すると別の意味がちゃんとあるような情報の中に秘密の情報を忍び込ませる、という方法は、情報理論からの結論として、情報全体に比してごくわずかな情報を埋込むことしかできない。
  2. ^ 過去の例として、太平洋戦争のような戦争ともなれば膨大になった。
  3. ^ 偽の戦車に官能的冒険、ノルマンディー上陸にまつわる知られざる話”. AFP (2019年6月5日). 2019年6月6日閲覧。
  4. ^ 明治期に、「方言札」などに象徴される苛烈な方言弾圧がもし旧薩摩藩領に行われていたら、不可能であっただろう。


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