暗号
『日本書紀』巻3〔第1代〕神武天皇元年(B.C.660)正月 道臣命は、神武天皇の密命を受け、敵方にわからせず味方にだけ通じるように定めた倒語(さかしまごと)をもって、わざわいを払いのぞいた。倒語が用いられたのは、これが初めである。
『トラ・トラ・トラ!』(フライシャー) 昭和16年(1941)12月2日。山本五十六(いそろく)連合艦隊司令長官から、「ニイタカヤマノボレ 一二〇八(ヒトフタマルハチ)」の暗号が、ハワイへ向かう航空艦隊に発信された。「12月8日(ハワイでは12月7日。日曜日にあたる)に開戦」との通知だった。爆撃機の編隊は、アメリカ側に気づかれることなく真珠湾上空に到り、指揮官は、「トラ・トラ・トラ!(われ奇襲に成功せり)」と打電した〔*山本五十六は、宣戦布告と同時にアメリカに大打撃を与えて、戦意を喪失させるつもりだった。しかし手違いにより、日本からの最後通牒をアメリカが受け取る55分前に、真珠湾攻撃が始まってしまった。日曜日の朝の奇襲に、アメリカは憤激した〕。
★2.数字による暗号。
『クロスワード・パズル』(三島由紀夫) ある年の1月末、男女のカップルがホテルに泊まり、女が「301」の部屋の鍵を持ち帰ってしまった。美男のボーイである「僕」が鍵の返却を要求すると、女からは、別のホテルの「217」の鍵が送られて来て、「2」と「17」の間に口紅で線が引いてあった。「僕」はそれが2月17日を意味すると気づき、その日、女と逢った。「僕」は3月1日にも逢瀬を期待したが、それは叶わなかった。
『813(続)』(ルブラン) 「813」と書かれた紙片があり、それは機密文書の隠し場所を示していた。8+1+3=12なので、廊下に並ぶ12番目の部屋を意味する、とルパンは推理した。12はまた、時計を連想させ、文字盤の8・1・3の所を押してから12点鐘を打たせると、文字盤上の装飾が落ちて、小箱が現れた。
『二銭銅貨』(江戸川乱歩) 二銭銅貨が2つに割れて中に紙片があり、「南」「無」「阿」「弥」「陀」「仏」の6文字をいろいろに組み合わせた、意味不明の文字列が書かれていた。それは、点字が6つの点の組み合わせから成ることを応用した暗号で、ある電気工場から盗まれた大金の隠し場所が記されていた〔*しかしそれは犯罪とは無関係のいたずらだった〕→〔金〕8。
★4.「e」の字が多用されることを手がかりに、暗号を解読する。
『黄金虫』(ポオ) サリヴァン島に住むルグランが浜辺で見つけた羊皮紙には、仔山羊の絵と、意味不明の多くの数字・記号が書いてあった。仔山羊は英語で「キッド」ゆえ海賊キッドのことであり、全体は英語の暗号だろうとルグランは推理し、英語でもっとも多く使われる文字は「e」であることを手がかりに、暗号を読み解いて財宝を発見する。
『踊る人形』(ドイル) キュビットの妻エルシーの所へ、踊る人形の絵を連ねた通信が届く。それは、エルシーの婚約者だった男が復縁を迫る暗号文で、男はキュビットを殺し、エルシーは自殺を図る。英語でいちばん多く使われる文字が「e」であることを手がかりに、ホームズが暗号を解読し、踊る人形の絵を描いて男を誘い寄せ、逮捕する。
★5.暗号解読器。
『ロシアより愛をこめて』(ヤング) 国際犯罪組織スペクターが、ソ連の暗号解読器入手と、イギリス情報部のジェイムズ・ボンド殺害とを計画し、ボンドをイスタンブールへおびき寄せる。ソ連領事館の女性職員タチアナの手引きで、ボンドは暗号解読器を盗み出し、2人はオリエント急行に乗ってロンドンへ向かう。スペクターに雇われた殺し屋グラントが、2人を追う→〔心中〕7c。
★6.暗号による日記。
『ドラえもん』(藤子・F・不二雄)「大予言・地球の滅びる日」 「暗き天にマ女は怒る。この日○終わり悲しきかな」と記された、不思議な日記が見つかる。のび太たちは「○は地球を意味するから、これは世界滅亡の予言だ」と恐れる。しかしそれはドラえもんの暗号日記で、「暗き天(=点)」は0点、「マ女」はママ、「○」はドラやきのことだった。
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