慣用音 慣用音の概要

慣用音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/29 03:58 UTC 版)

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百姓読み

間違いが定着したものが多いのは、声符であるから勝手に類推して読んだ音、いわゆる「百姓読み」である。たとえば「輸(シュ)」「滌(デキ)」「涸(カク)」「攪(コウ)」「耗(コウ)」などは旁の音に引かれて「輸入(ユニュウ)」「洗滌(センジョウ)」「涸渇(コカツ)」「攪拌(カクハン)」「消耗(ショウモウ)」と読まれる。このような音を慣用音と表記している。

分類できない字音

明らかに中国から来た字音で広く流通しているにもかかわらず、呉音・漢音・唐音に分類できないものがある。例えば、は呉音では「ダ」、漢音では「タ」、唐音では「サ」である。「チャ」という字音は院政時代の字書『色葉字類抄』などから見られ、漢音と唐音の間の時期に流入したと考えられる。また、「椪柑」(ポンカン)の「椪」は呉音・漢音・唐音いずれも不明で、「ポン」は台湾語音に由来するのではないかと見られる[1]。このような字音も慣用音に入れられている。

字音の混同

漢字には多数の字義をもち、字義に応じて複数の字音を使い分けるものがある。例えば、「易」は「たやすい」の意味では「イ」、「変える」の意味では「エキ(漢音)・ヤク(呉音)」となる。このような多音字において、字義に対する字音を取り違えて使われるものがある。例えば、「罷」は「つかれる」の意味では「ヒ」、「やめる」の意味では「ハイ」であるが、罷免などは「ヒメン」と読み、「ハイ」ではなく「ヒ」が使われている。このとき「やめる」の意味に対する「ヒ」という字音は慣用音とされる。

入声「フ」の変化音

また漢字の入声(語末の破裂音)[k][p][t]のうち、[p]は後続語の語頭子音が破裂音や摩擦音である場合を除いて、母音挿入され「フ」とされた(「フ」の子音はもともと[p]であったと推測されている)。例えば「蝶(テフ)」。しかし、その後、「フ」の子音は[ɸ]に変わり、さらに後には語中・語尾のハ行はワ行へと変化した(ハ行転呼)。この変化を受けて一般的に入声「フ」は「ウ」に変化した。例えば「蝶(チョウ)」。しかし、もともとは[p]であったため、古語で後続音が破裂音・摩擦音の連語の場合に破裂音を促音として残しているものもある。例えば「甲子(カッシ)」「合戦(カッセン)」「入声(ニッショウ)」「集解(シッカイ)」「法度(ハット)」など。しかし、現在では多くが後続音が破裂音・摩擦音であっても促音化せず「ウ」とするのが普通である。「甲子園(コウシエン)」「合成(ゴウセイ)」「入賞(ニュウショウ)」「集会(シュウカイ)」「法廷(ホウテイ)」など。これに対して促音を維持しつつそれ以外の「フ」を「ツ」に変えるものも現れた。例えば「立(リフ)」「執(シフ)」「圧(アフ)」「接(セフ)」などは後続音に関わらず「リツ」「シツ」「アツ」「セツ」とする。例えば「圧力(アツリョク)」「立面(リツメン)」「確執(カクシツ)」「直接(チョクセツ)」など。(実際のところ、「建立(コンリュウ)」「妄執(モウシュウ)」など、「立」「執」には「リュウ」「シュウ」の字音も共用されている)漢和辞典の見出しにも「アツ」「リツ」「シツ」と書かれ、[p]の系統からはずれてあたかも[t]の体系に属するように見えるため、漢和辞典ではこれを慣用音と表記している。

字訓の字音化

「奥」は漢音「オウ(アウ)/イク(ヰク)」、「早」は漢音「ソウ(サウ)」で、「奥意」「奥地」の「オク」、「早急」「早速」の「サッ」という読み方は、それぞれ字訓「おく」、「さ‐」(「早乙女」「早苗」)に由来する。「オク」、「サッ」は「奥」、「早」の慣用音と認められている。




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