薩摩焼とは? わかりやすく解説

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さつま‐やき【×薩摩焼】

読み方:さつまやき

鹿児島県薩摩大隅地方産する陶磁器総称文禄の役後、島津義弘朝鮮から伴ってきた陶工によって始められた。俗に白薩摩黒薩摩よばれる白釉(はくゆう)地のものと黒釉地のものとがあり、作風多様であったが、江戸末期以降色絵主力


薩摩焼

【工芸品名】
薩摩焼
【よみがな】
さつまやき
【工芸品の分類】
陶磁器
【主な製品】
食器茶器花器酒器装飾品
【歴史】
薩摩焼は、文禄・慶長の役の頃、当時藩主島津氏朝鮮から連れ帰った李朝陶工たちによってはじめられました。以来400年以上に及ぶ長い歴史の中で、薩摩焼は鹿児島豊かな風土育まれとともに陶工たちの弛まぬ努力によって独自の発展をとげ、堅野系、龍門司系、苗代川系という異な作風系統を生みだし今に伝えてます。1867年慶応3年)には、島津藩単独出品したパリ万博において、薩摩焼はヨーロッパ人々魅了し世界に「SATSUMA」の名を轟かせました。
現在では県内全域窯元存在しさまざまな技法凝らした作品製造してます。
【主要製造地域】
鹿児島県
【指定年月日】
平成14年1月30日
【特徴】
薩摩焼の特徴は、やきもの種類多様さにあります伝統に基づく系統としては、堅野系、龍門司系、苗代川系、西餅田系、平佐系、種子島系の6つありますまた、製品から分類すると、白薩摩黒薩摩磁器3つ大きく分けることができます
白薩摩は、淡い黄色の地に無色釉薬掛かった陶器で、表面貫入という細かいヒビ覆ってます。これに、染付色絵金彩をなどで装飾施してます。
黒薩摩は、黒釉、褐釉、飴釉など各種色釉をかけて仕上げた陶器で、鉄分の多い陶土使用しているため器胎は茶褐色をしています。

薩摩焼

読み方サツマヤキ

鹿児島県やきもの総称豊臣秀吉朝鮮出兵後、薩摩藩島津義弘多数朝鮮陶工連れ帰り製陶活動絶無だった薩摩に窯を開かせたのが始まり鉄分の多い素地鉄釉施した日常雑器(黒もん)は庶民用、白胎土用いた(白もん)は藩主用とされた。

薩摩焼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 16:44 UTC 版)

薩摩焼(さつまやき)は、鹿児島県を主要製造地域とする陶磁器[1]。国の伝統的工芸品に指定されている[1]2007年(平成19年)1月には鹿児島県薩摩焼協同組合により「薩摩焼」が地域団体商標となった[2]

江戸時代には薩摩藩の御用品として生産者と技術者が制限されており、その後、明治政府は陶磁器を貿易の重要産物と位置づけたものの需要を捌ききれず、日本全国の陶産地が参入して「SATSUMA」として輸出するようになった[3]。そのため産地別に京薩摩、大阪薩摩、神戸薩摩、東京薩摩、横浜薩摩などを生じ、これに対して鹿児島で作られたものは本薩摩と呼ばれるようになった[3]

本薩摩

本薩摩(鹿児島薩摩)は鹿児島で作られた薩摩焼であり、陶工の定着した地ごとに苗代川系(いちき串木野市日置市)、竪野系(姶良市鹿児島市)、龍門司系(姶良市)、元立院系(姶良市)、平佐系(薩摩川内市)、熊野系(西之表市)の6つの系統を生じた[3][4]

種類

白薩摩の置物
ぢょか
白薩摩(白もん)
薩摩藩の専用窯で発達したもので、乳白色の生地で、色絵や錦手など絢爛な装飾を施したもので上層階級の使用品や贈答品などに用いられた[1][4]
黒薩摩(黒もん)
鉄分の多い火山性の土を材料とするもので庶民の日常用の雑器として用いられた[1][4]。代表的なものに薩摩焼酎にするときなどに用いる黒ぢょか(黒千代香あるいは黒茶家と表記)や黒酢の仕込みに用いるなどがある[4]

歴史

初期の薩摩焼においては豊臣秀吉文禄・慶長の役の際にて同行して来日した朝鮮人島津義弘の保護の下に発展させた。

1867年(慶応3年)のパリ万国博覧会で「薩摩錦手」が注目を浴び、さらに1873年(明治6年)のウィーン万国博覧会ジャポニズムの流れにのって一気に人気商品となった[3]。しかし、その需要を鹿児島だけで捌くことはできず、鹿児島で生産された本薩摩は輸出された薩摩焼の1割にも満たないとされる[3]

現代でも鹿児島県内の窯元がさまざまな技法を凝らして薩摩焼を製造している[1]

毎年11月3日頃に「窯元まつり」、11月20日頃に「薩摩焼フェスタ」が行われる。運営は、1997年に鹿児島県内65窯元の参加を得て結成され、『鹿児島県陶業協同組合』を経て名称変更された『鹿児島県薩摩焼協同組合』。組合の初代理事長は西郷隆文で、2018年5月からは薩摩焼の窯元である苗代川焼の荒木秀樹が2代目理事長に就任[5]。組合では他にも、窯元と地元鹿児島の飲食店がペアを組み、飲食店の雰囲気や料理を参考に、組合員である窯元が試作品を制作して納品した薩摩焼の器で料理を提供してもらうという焼物の地産地消イベント[6]、仏壇のふすま戸や、お茶を置く部分に薩摩焼で作った焼き物を入れ込んだ、薩摩焼とコラボレーションした商品の川辺仏壇[7]など、様々な普及活動を行っている。

2007年11月には、万博初出展140周年を記念し、フランス国立陶磁器美術館(セーヴル美術館)において「薩摩焼パリ伝統美展」が開催された。

他地域の薩摩

背景

幕末日本が開国すると、日本の陶磁器のうち美術的に優れたものは欧米へ輸出されるようになった。薩摩藩1867年にフランスの首都パリで開かれた万博に薩摩焼を出展し、現地で好評を得た[8]。しかし、先述のように鹿児島では薩摩焼は御用品として生産者と技術者が制限されていた歴史があり需要を捌ききれる状況ではなかった[3]。こうした背景から幕末から明治初期に掛けての京都で、欧米への輸出用に、より伝統的な日本のデザインを意識し、絵付けされた「京薩摩」が作られた。横浜や東京で絵付けされ、横浜港から輸出されたものは「横浜薩摩」と呼ばれた[9]

薩摩焼は欧米で「SATSUMA」(サツマ=薩摩)と呼ばれた。フランスではジャポニズムの流れの中で、日本画のようなデザインで鳥や植物を描くなど、薩摩焼の影響を受けた陶器が製作された[10]

各産地

京薩摩
京都の粟田を中心地として錦光山宗兵衛や帯山与兵衛らによって輸出されたもので、1878年(明治14年)には粟田の生産額の約9割が輸出向けによるものが占めていた[3]
東京薩摩
東京では河原徳立が深川に設立した「瓢池園」を中心に生産された[3]
横浜薩摩
横浜では宮川香山を始めとし、保土田商店などで生産された[3]
大阪薩摩
主に米国に輸出され明治30年代に最盛期を迎えた[3]
神戸薩摩
京都で修業した「精巧山」が神戸で窯を開き、加賀の九谷からも画工が移住した[3]
加賀薩摩
赤絵九谷から発展したもので、薩摩錦手風の絵付けを施したもの[3]。東京で薩摩絵付けを学んだ清水美山などで知られる[3]

脚注

  1. ^ a b c d e 薩摩焼、日本伝統文化振興機構(2024年3月13日閲覧)
  2. ^ 鹿児島の知的財産等(取得等情報)、鹿児島県(2024年3月13日閲覧)
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 鈴木俊昭「魅了する 煌めく薩摩焼」 、日本陶磁器産業振興協会(2024年3月13日閲覧)
  4. ^ a b c d 西田周平「初期薩摩焼における大陸陶磁器の影響について」『東アジア文化交渉研究』第13巻第6号、関西大学、2020年3月31日、103-117頁。 
  5. ^ 「鹿児島県薩摩焼協同組合新理事長に荒木秀樹氏」『南日本新聞』2018年5月20日、22面。
  6. ^ 伝統と現代の融合~薩摩焼ブランドの確立を目指して”. 鹿児島県中小企業団体中央会 (2010年5月). 2018年5月20日閲覧。
  7. ^ 講演「薩摩の郷中教育と薩摩焼」” (PDF). ロータリー文庫. pp. 44-45 (2008年8月1日). 2018年5月20日閲覧。
  8. ^ 日本の輸出陶磁器たばこと塩の博物館「特別展・華麗なる日本の輸出工芸」解説(2018年3月23日閲覧)
  9. ^ 萩原進樋口一葉『うもれ木』考」『経済志林』第76巻第3号、法政大学経済学部学会、2009年3月、175-194,図版2p、doi:10.15002/00003950ISSN 00229741NAID 120001316944 
  10. ^ 福井大学准教授 今井祐子「フランス陶磁器のジャポニズム十選 蓮池青鷺文広口瓶」『日本経済新聞』2018年3月23日付朝刊、文化面。

関連項目

参考文献

外部リンク


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