n-アセチル-l-システインとは? わかりやすく解説

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N‐アセチルシステイン

分子式C5H9NO3S
その他の名称インスピル、ムコミスト、レスパイル、アイルブロン、フルイムシル、ブロンコリシン、アセチルシステインNAC、Inspir、Airbron、Mucomyst、Respaire、Fluimucil、NSC-111180、Broncholysin、Acetylcysteine、N-Acetyl-L-cysteine、ムコフィリン、Acetein、Mucofilin、アセテイン、A.R.B、フルイムセチン、メルカプツル酸、ムコリチクム-ラッペ、Mucolytikum-Lappe、パルボレックス、Mucosolvin、Parvolex、ムコソルビン、Mucolyticum-Lappe、Fluimucetin、Mercapturic acid、Nacystelyn、ナシステリン、N-Acetylcysteine、(R)-2-(Acetylamino)-3-mercaptopropionic acid、Nα-アセチルシステイン、Nα-Acetylcysteine、(2R)-2-(Acetylamino)-3-mercaptopropionic acid、サテリット、Sateritt、N-Acetyl-L-Cys-OH
体系名:(R)-3-メルカプト-2-(アセチルアミノ)プロピオン酸、N-Ac-L-Cys-OH、Ac-L-Cys-OH、N-アセチル-L-Cys-OH、N-アセチルシステイン(R)-2-アセチルアミノ-3-メルカプトプロピオン酸、N-アセチル-L-システイン、(R)-2-(アセチルアミノ)-3-メルカプトプロピオン酸、(2R)-2-(アセチルアミノ)-3-メルカプトプロピオン酸


n-アセチル-l-システイン

【仮名】n-あせちる-l-しすていん
原文】N-acetyl-L-cysteine

通常粘液の粘度減少させて排出しやすくするために用いられる薬物。高用量アセトアミノフェン毒性緩和するためにも用いられる。「acetylcysteineアセチルシステイン)」、「n-acetylcysteine(n-アセチルシステイン)」とも呼ばれる

アセチルシステイン

(n-アセチル-l-システイン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/13 09:08 UTC 版)

アセチルシステイン
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
発音 [əˌsɛtəlˈsɪstn]
販売名 Acetadote, Fluimucil, Mucomyst, Parvolex
Drugs.com monograph
ライセンス US Daily Med:リンク
胎児危険度分類
法的規制
薬物動態データ
生物学的利用能10% (Oral)[2]
血漿タンパク結合50 to 83%[3]
代謝Liver[3]
半減期5.6 hours[4]
排泄Renal (30%),[3] faecal (3%)
データベースID
CAS番号
616-91-1 
ATCコード R05CB01 (WHO) S01XA08 (WHO) V03AB23 (WHO)
PubChem CID: 581
DrugBank DB06151 
ChemSpider 561 
UNII WYQ7N0BPYC 
KEGG D00221  
ChEBI CHEBI:28939 
ChEMBL CHEMBL600 
化学的データ
化学式
分子量163.195
物理的データ
融点109 - 110 °C (228 - 230 °F) [5]
比旋光度+5 ° (c = 3% in water)[5]
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アセチルシステインN-アセチルシステインN-アセチル-L-システイン(NAC)とも呼ばれ、グルタチオンの前駆体である。去痰薬として慢性閉塞性肺疾患など多量粘液分泌の治療や、パラセタモール(アセトアミノフェン)の過剰摂取の解毒に使用されてきた[3]

世界保健機関必須医薬品のひとつ[6]。日本での製品は、吸入にムコフィリン、内服にアセチルシステイン内用液「あゆみ」がある。

適応

肝障害に用いられることもある[7]

薬理

去痰薬として
の主成分であるムチンペプチド鎖を互いにつなげているジスルフィド結合を切断することで、痰を溶解する。[8]
アセトアミノフェン過剰摂取時の解毒薬として
アセトアミノフェンは、経口投与後速やかに消化管から吸収される。門脈から肝臓へ運ばれたアセトアミノフェンは、グルクロン酸抱合体(49~54%)と硫酸抱合体(28~33%)へと代謝され、2~3%は代謝されずアセトアミノフェンとして存在する。約15%はシトクロムP450による代謝経路に入り、代謝産物としてN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)及び3-ヒドロキシアセトアミノフェンを生じる。アセトアミノフェン中毒における肝障害や腎障害は、NAPQIが引き起こすとされている。NAPQIはグルタチオン抱合反応によって代謝され、メルカプツール酸英語版として尿中に排泄されるが、アセトアミノフェンの大量服用によってNAPQIが過剰産生されると、グルタチオンが枯渇するとされている。アセチルシステインはグルタチオンの前駆物質であり、グルタチオンを補給する。

副作用

経口摂取の際によくみられる副作用は、吐き気や嘔吐で、皮膚に赤みや痒みが出ることもある。また、非免疫性のアナフィラキシーを発症する場合もある。妊娠中に摂取しても安全とみられる。グルタチオンレベルを増加させ、パラセタモールの毒性分解生成物と結合することで効果がある[3]

商品

栄養補助食品会社ライフエクステンションが英語版 販売するアセチルシステインカプセル

静脈注射や経口で摂取、またはミスト状で吸収することができる[3]。日本での商品は、吸入にムコフィリンエーザイの販売により、内服にアセチルシステイン内用液17.6%「あゆみ」があゆみ製薬製造販売である。

ジェネリック医薬品として入手でき、価格はそれほど高くはない[9]

歴史

アセチルシステインは、1960年に最初に特許が取得され、1968年に使用が許可された[10]

アセチルシステインはグルタチオンの抗酸化前駆体であり、グルタチオンは主要な内因性抗酸化物質で、アセチルシステインはグルタチオンの濃度を上昇させるために用いられ臨床的にもこのことは確立されている [11]。パラセタモール(アセトアミノフェン)の過剰摂取の治癒や、嚢胞性線維症慢性閉塞性肺疾患などにみられる多量の粘液分泌の緩和に使用されてきた[3]

アルツハイマー病 への有効性や、精神医学の分野では、薬物依存症強迫性障害統合失調症において研究が行われているが、正確な用量は確立されずまだ途上である[11]

出典

  1. ^ L-Cysteine, N-acetyl- - Compound Summary”. PubChem Compound. USA: National Center for Biotechnology Information (2005年3月25日). 2012年1月9日閲覧。
  2. ^ Stockley, Robert A. (2008). Chronic Obstructive Pulmonary Disease a Practical Guide to Management.. Chichester: John Wiley & Sons. p. 750. ISBN 9780470755280. https://books.google.ca/books?id=y9li1geShyYC&pg=PA750 
  3. ^ a b c d e f g Acetylcysteine”. The American Society of Health-System Pharmacists. 2015年8月22日閲覧。
  4. ^ ACETADOTE (acetylcysteine) injection, solution [Cumberland Pharmaceuticals Inc.]”. DailyMed. Cumberland Pharmaceuticals Inc. (2013年6月). 2013年11月8日閲覧。
  5. ^ a b N-ACETYL-L-CYSTEINE Product Information”. Sigma. Sigma-aldrich. 2014年11月9日閲覧。
  6. ^ WHO Model List of EssentialMedicines”. World Health Organization (2013年10月). 2014年4月22日閲覧。
  7. ^ Otrubová O, Turecký L, Uličná O, Janega P, Luha J, Muchová J (January 2018). “Therapeutic effects of N-acetyl-L-cysteine on liver damage induced by long-term CCl4 administration”. Gen. Physiol. Biophys. 37 (1): 23–31. doi:10.4149/gpb_2017016. PMID 29424349. 
  8. ^ 新しい疾患薬理学』Katsunori Iwasaki, Shōgo Tokuyama, 岩崎克典., 徳山尚吾.、南江堂、Tōkyō、2018年、364頁。ISBN 978-4-524-40335-6OCLC 1030482447https://www.worldcat.org/oclc/1030482447 
  9. ^ Baker, Emma (2014). Top 100 drugs : clinical pharmacology and practical prescribing. p. Acetylcysteine. ISBN 9780702055157. https://books.google.ca/books?id=oeYjAwAAQBAJ&pg=PT44 
  10. ^ Fischer, János; Ganellin, C. Robin (2006). Analogue-Based Drug Discovery. Weinheim: Wiley-VCH. p. 544. ISBN 9783527607495. https://books.google.ca/books?id=FjKfqkaKkAAC&pg=PA544 
  11. ^ a b Dean, Olivia; Giorlando, Frank; Berk, Michael; et al. (2011). “N-acetylcysteine in psychiatry: current therapeutic evidence and potential mechanisms of action”. Journal of Psychiatry & Neuroscience 36 (2): 78–86. doi:10.1503/jpn.100057. PMC 3044191. PMID 21118657. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3044191/. 

関連項目

  • カルボシステイン
  • フドステイン
  • メチルシステイン
  • L-エチルシステイン
  • チペピジンヒベンズ酸塩

N-アセチルL-システイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 04:22 UTC 版)

ヘリコバクター・ピロリ」の記事における「N-アセチルL-システイン」の解説

臨床試験にてアミノ酸であるN-アセチルL-システイン(別称アセチルシステイン、またはNAC)の摂取により、ピロリ菌不活性化されることが判明した結果的に胃がんにも効果的という事証明された。サプリメントとして使用されているため長年脚光を浴びなかったが、NAC基本的なアミノ酸であり、不足時に摂取すると、全臓器人体機能免疫システム全体的な向上が確認されている。NAC摂取によって、近年臨床試験により、症状大幅に改善または完治する病気は非常に多岐に渡ることが判明してきたため、現在も様々な臨床試験が行われている。現在行われている試験についても、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}シンプルかつ明快基本的な作用メカニズムから、非常に良い結果期待されている[要出典]。また、過大な処方をしない限り重度副作用はほぼないのも特徴である。マウステストでは、人体換算で20000mg/日を投与するアレルギー症状発生した例があるが、通常はその1/7程度最大処方量であり、問題はないと考えられる通常量で発生する一番頻度の高い副作用は、空腹時に摂取した際に発生する多少腹部不快感である。

※この「N-アセチルL-システイン」の解説は、「ヘリコバクター・ピロリ」の解説の一部です。
「N-アセチルL-システイン」を含む「ヘリコバクター・ピロリ」の記事については、「ヘリコバクター・ピロリ」の概要を参照ください。

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