旋光
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旋光(せんこう、英: optical rotation)とは、直線偏光がある物質中を通過した際に回転する現象である。この性質を示す物質や化合物は旋光性あるいは光学活性を持つ、と言われる。右に回転させることを右旋性、左に回転させることを左旋性と言う。不斉な分子(糖など)の溶液や、偏極面を持つ結晶(水晶)などの固体、偏極したスピンをもつ気体原子・分子で起こる。糖化学ではシロップの濃度を求めるのに、光学では偏光[注釈 1]の操作に、化学では溶液中の基質の性質を検討するのに、医学においては糖尿病患者の血中糖濃度を測定するのに用いられる。
原理

光学活性は複屈折の一種である。直線偏光[注釈 2]は右円偏光(right-hand circularly、RHC、このページでは右円偏光に属する物理量に、下付文字あるいは上付文字として_
比旋光度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 22:34 UTC 版)
旋光の由来は核や結合に存在する電子の電場への干渉である。そのため物質の構造に旋光度は影響を受け、事実旋光度は試料セルの長さ l {\displaystyle \,l} と溶媒とその濃度 c {\displaystyle \,c} 、入射光の波長 λ {\displaystyle \,\lambda } 及び温度 t {\displaystyle \,t} を一定にして物質ごとに測定すると、そのときの実測旋光度(observed optical rotation) α {\displaystyle \,\alpha } は各物質ごとに定められていることが分かる。とはいえ実測旋光度は上で述べた種々の要素に依存するため、混乱を避けるために標準の旋光度すなわち比旋光度(specific rotation) [ α ] {\displaystyle [\alpha ]} は下のように定義されている。 [ α ] λ t = α l ⋅ c {\displaystyle \,[\alpha ]_{\lambda }^{t}={\frac {\alpha }{l\cdot c}}} 比旋光度の次元は L2/M で、単位は(l = 0.1 m = 1 dm = 10 cm, c = 1 g/cm3 なので) 10-1 deg cm2/g である。実測旋光度は度単位で表すのに対し、比旋光度の単位は長くて複雑なので、通常 [ α ] {\displaystyle [\alpha ]} を無単位で表すことが多い。また、溶解度に関する実際的な理由により c {\displaystyle \,c} を 100 mL 中の溶質のグラム数で記載している文献もある。その場合、実測旋光度は100倍されている。 なお、比旋光度を記述する際には、溶媒の種類と濃度を明記する必要がある。例えば [ α ] D 20 + 8.00 ( c 1.00 , {\displaystyle \,[\,\alpha ]_{D}^{20}+8.00(c\,1.00,} エタノール ) {\displaystyle \,)} のように記述する。ところが上に書いたように、試料濃度を表す c {\displaystyle \,c} の単位に g/mL ではなく g/dL を用いる習慣もあるので、比旋光度の式は [ α ] λ t = 100 α l ⋅ c ′ {\displaystyle \,[\alpha ]_{\lambda }^{t}={\frac {100\alpha }{l\cdot c'}}} と表されることもある。このとき c ′ {\displaystyle \,c'} の単位は g/dL である。また、試料セルの長さを表す l {\displaystyle \,l} の単位に dm ではなく mm を用いる習慣もあるので、比旋光度の式は [ α ] λ t = 100 α l ′ ⋅ c {\displaystyle \,[\alpha ]_{\lambda }^{t}={\frac {100\alpha }{l'\cdot c}}} と表されることもあり、式の形としては、上記の式と似ている。このとき l ′ {\displaystyle \,l'} の単位は mm である。試料セルの中身が純液体の場合は試料の密度 ρ {\displaystyle \,\rho } [g/cm3] を用いて [ α ] λ t = α l ⋅ ρ {\displaystyle \,[\alpha ]_{\lambda }^{t}={\frac {\alpha }{l\cdot \rho }}} で表す。 以下に光学活性体の比旋光度 [ α ] D 25 {\displaystyle [\,\alpha ]_{D}^{25}} を示す。ハロアルカンは純液状態で、カルボン酸は水溶液中で測定した値である。 (-)-2-ブロモブタン:-23.1 (+)-2-ブロモブタン:+23.1 (+)-2-アミノプロパン酸((+)-アラニン):+8.5 (-)-2-ヒドロキシプロパン酸((-)-乳酸):+3.8
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