E-767
優れた飛行性能と高高度で長時間の警戒監視能力を持っています
旅客機B-767をベースに、警戒管制システムを搭載した新型の早期警戒管制機がE-767です。速度性能に優れ、航続時間が長いので、遠隔地まで飛行して長時間の警戒が可能です。さらに高高度での警戒もできるので見通し距離が長いなど、優れた飛行性能と警戒監視能力を持っています。主な装備は、3次元方式の捜索用レーダー、味方識別装置、通信装置、航法装置、コンピュータ、状況表示装置など。平成12年から運用を開始しています。
分類 | 早期警戒管制機 |
乗員 | 約20人 |
全幅 | 約48m |
全長 | 約49m |
全高 | 約16m |
エンジン | |
名称 | CF6-80C2 |
推力 | 61,500ポンド |
型式 | 高バイパス・ターボファン・エンジン |
性能 | |
最大速度 | 約450kt(約840km/h) |
最大離陸重量 | 約170t |
航続距離 | 約12時間 |
【E-767】(いーななろくなな)
Boeing E-767.
ボーイング社が、自社製の中型双発ジェット旅客機・B767-200ERをベースに開発・生産したAWACS。
本機の開発は、1980年代、日本政府がアメリカ空軍・フランス空軍などが採用しているE-3「セントリー」を航空自衛隊に導入することを検討したのに端を発する。
この当時、空自はベレンコ中尉亡命事件の教訓から、既にグラマンE-2「ホークアイ」早期警戒機を導入していたが、同機は元々、アメリカ海軍の航空母艦で運用される艦上機であり、また、警戒管制システムもアメリカ軍のデータリンクに関連付けられた構成になっていたことから、空自での運用には向いているとはいえなかった。
しかし、1990年代になって実際に計画が動き出したときには、E-3を新規調達することができなくなっていたため、E-3と同様のシステムをB767に載せることをボーイング側が提案。日本政府はこの案を受け入れ、計4機を発注した。
システムを機体に合わせて細部まで設計し直したため、開発費は日本政府が全額負担したが、(元々が1950年代の設計である)B707よりも設計の新しい機体を採用したため、E-3に比べて居住性や燃費が優れる機体に仕上がった。
なお、1号機・2号機のみ操縦室に第2監視員席(一般のエアライン向けモデルでは「第2オブザーバ席」と呼ぶもの)が追加されている。
本機の生産は1993年に開始され、1994年に民間機として日本政府に引き渡された機体が初飛行。
その後、アメリカ軍によりレーダーシステムの搭載などの改修を行ったうえで1998年に空自へ引き渡され、1999年から運用が開始された。
現在、本機は4機とも静岡県・浜松基地の警戒航空隊第601飛行隊第二班(現:警戒航空隊・飛行警戒管制隊)で運用されている。
なお、本機は空自以外にも韓国・台湾・オーストラリア空軍が導入を検討したが、1990年代末期の「アジア通貨危機」の影響で導入が見送られ、その後、韓国とオーストラリアはより小型のB737をベースとしたB737 AEW&Cを導入したため、全世界で4機しか存在していない。
E-3とは違い、本機にはこれといった愛称はつけられていないが、アメリカ軍将兵の間では自国軍のAWACSと混同することを避けるため「J-WACS」と呼ぶことがある。
スペックデータ
E-767 (航空機)
(e-767 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/15 09:16 UTC 版)
E-767早期警戒管制機
- ^ “米空軍、E-7を発注 早期警戒管制機E-3後継”. Aviation Wire (2023年3月1日). 2023年11月24日閲覧。
- ^ 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.22
- ^ a b 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.20
- ^ 月刊「エアワールド」1991年4月号
- ^ a b 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.30
- ^ 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.33
- ^ “767 AWACS Specifications” (英語). The Boeing Company 公式ページ. The Boeing Company. 2008年3月8日閲覧。
- ^ 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.30
- ^ 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.25
- ^ 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.34
- ^ a b c 『世界航空機年鑑 2006~2007年版』,酣燈社,P110
- ^ 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』pp.25,58
- ^ 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.58
- ^ 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.39
- ^ 週刊エアクラフト1989年11月28日号 p.11
- ^ 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.37
- ^ “Japan 767 AWACS Overview” (英語). The Boeing Company 公式ページ. The Boeing Company. 2008年3月8日閲覧。
- ^ a b Japan Orders Upgrades for its 4 E-767 AWACS
- ^ “平成17年度防衛力整備と予算の概要”. 防衛庁. pp. p.40. 2010年7月9日閲覧。
- ^ “わが国の防衛と予算 平成21年度予算の概要”. 防衛省. pp. p5. 2010年7月9日閲覧。)
- ^ “わが国の防衛と予算 平成25年度予算の概要”. 防衛省. pp. p7. 2013年10月22日閲覧。)
- ^ Japan-Airborne Warning and Control System (AWACS) Mission Computing Upgrade (MCU) - アメリカ国防安全保障協力局・2013年9月26日
- ^ Boeing Keeps World AWACS Fleet ‘Ready, Relevant’
- ^ > U.S. DEPARTMENT OF DEFENSE > Contract View
- ^ a b c d 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.84 基本的な諸元は同じという考えに基づき、ボーイング767-200ERの寸法を使用
- ^ a b c 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.84 最大離陸重量がボーイング767-200ERと40,000lbの差であるため、その値から推定
- ^ a b 月刊エアワールド1998年4月号別冊『空中警戒管制機 AWACS/E-767&E-3』p.84 基本的な諸元は同じという考えに基づき、ボーイング767-200ERの燃料容量を使用
- ^ The Boeing Company公式ページ 767 AWACS Specificationsより
- ^ 109頁
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