FIFAマスター(FIFA大学院)
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「国際サッカー連盟」の記事における「FIFAマスター(FIFA大学院)」の解説
2000年に開設された「スポーツに関する組織論、歴史・哲学、法律についての国際修士」のことで、スイスにあるスポーツ教育機関CIES(The International Centre for Sports Studies、スポーツ研究国際センター)と提携してFIFAが運営しているスポーツ学に関する大学院のコースである。10か月の間にイギリス・イタリア・スイスにある3つの大学を回って学習し、幅広くスポーツ界で活躍する人材を養成することを目的として設立された。 入学するには、最初に高校卒業証明書、大学の卒業・成績証明書、英語力証明書(TOEFL(minimum 600 PBT / 250 CBT / 100 IBT points)かCambridge Certificate of ProficiencyかIELTS(minimum level 7.5 in the « Academic Test »)のどれか1つ)、GMAT、スポーツや志望動機などの5つの質問の回答(ショートエッセイ)を英語で300字程度などの必要書類を1月22日頃までに提出する。書類審査で通過した合格者がさらに電話面接などで絞りこまれ、4月中旬に最終合格者(定員25名程度、世界各国から集まるように配慮される)が決まる。最終合格者が授業料25,000スイス・フラン(1フラン110円換算で275万円)を全額支払えば、入学手続き完了となる。毎年、9月に開講する。9 - 12月にHumanities of Sports(スポーツの人文科学)をイギリス・レスターのド・モンフォル大学で、翌年1 - 3月にManagement(経営学)をイタリア・ミラノのボッコーニ大学で、4 - 7月にSport Law(スポーツの法律)をスイスのヌーシャテルのヌーシャテル大学で学び、7月中旬に卒業という流れである。さらに、7月下旬に「ファイナルプロジェクト」というグループ(1グループ3 - 5名)で取り組む卒論発表(プレゼンテーション)があり、1グループ30分で行われ、FIFA、IOC、UEFA、ECA、大学教授などの参加者から質問を受け、その後の会議で論文の内容とプレゼンテーションの出来を踏まえて成績評価される。単なる卒論発表に留まらず、その卒論がきっかけで、さまざまな活動が実現している。FIFAにCSR部門ができたり、イスラエルとパレスチナの子どもたちのサッカーキャンプ交流が実現したりなどしている。 2011年7月21日に行われた日本人を含む5か国のグループの卒論発表がきっかけで、2012年3月22日、FIFAが国際Aマッチデーの代表選手の負傷選手、クラブ、加盟協会に対する補償金を支払う(国際Aマッチデー出場代表選手保険導入)意向を示し、同年5月25日のFIFA総会で同年9月以降の国際Aマッチデーの代表選手保険導入を決めたり、2012年3月22日にUEFAが代表選手保険システム導入(選手の国籍関係なしの欧州全クラブの所属選手の代表戦での負傷保険)を発表するなどしている。 卒業生はFIFAやUEFA、IOC、AFC、各国サッカー協会、CASなどのスポーツ機関、スポーツテレビ局、スポーツマーケティング会社、各国サッカーリーグおよびFCバルセロナなどのサッカークラブなどで活躍している。 また、卒業生の多くがスイスのローザンヌにある20の国際スポーツ連盟や団体、スポーツ関連会社10数社が集まり、世界中のスポーツのルールを決定している国際スポーツハウス(Maison du Sport International、略称MSI)で働いている。また、卒業生はFIFAマスター同窓会協会(FIFA Master Alumni Association、略称FMA)を通じて、世界中に構築されたFIFAマスターのネットワークをビジネスに活用することができる。 FMAはその名の通り、2年に1度、国際的なスポーツの大会に合わせてその国および都市でFIFAマスター同窓会を開催しており(前回はワールドカップ・南アフリカ大会で開催)、2012年はロンドンオリンピックに合わせロンドンで開催された。 2013年7月19日、2012 - 2013年第13期生修了式が行われ、宮本恒靖を含め24か国の生徒が卒業した。日本人は2013年7月19日時点で、通算9名ほどがFIFAマスターを卒業している。元プロサッカー選手の卒業生は2名で、日本人元プロサッカー選手および元日本代表としては宮本恒靖が初めてである。2017年7月14日、2016 - 2017年第17期生修了式が行われ、大滝麻未と一般日本人の女性の2名の日本人女性がFIFAマスターを卒業した。大滝は、日本の元女子サッカー選手および元日本女子代表としては初めてのFIFAマスター卒業であったが、直後の2017年8月に現役復帰した。
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