B滑走路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:35 UTC 版)
B滑走路(第2滑走路)は、2002年5月に開かれた日韓ワールドカップに間に合うよう、同年4月18日に、当初計画の長さより短い2,180メートルの暫定平行滑走路として供用開始された。これは滑走路の用地買収が進まず、34R付近にある反対派住民の住居と農地を避けるため、B滑走路の一部を計画時より北16L側に延伸させたためである。延長が短いためB滑走路の離着陸には制約が設けられ、重量の大きなボーイング747以上の大型機と貨物を含む長距離国際線には使用できず、中小型機と国内線・近距離国際線のみに使用された。 本来の長さである2,500メートルへの延伸は、東峰地区にある反対派の敷地を避けるため、条件賛成派の土地を買収して空地となった16Lを北西方向へ320メートル延長する案が提示された。2006年8月開催の100回に及ぶ公聴会意見を踏まえて、同年9月11日に当時の国土交通大臣・北側一雄がこの案を認可し、2009年10月22日から2,500メートルでの供用が開始された(方角と大臣姓双方の語句から北側延長と言われている)。そのため、進入灯は東関東自動車道の上を通っている。 供用開始時期は当初2010年3月としていたが、2009年3月23日に発生したフェデックス80便着陸失敗事故の影響を受け、NAAと国土交通省が協議をした結果、前倒しでの実施となった(詳細は歴史の節を参照)。B滑走路では2,500メートル化にともない、重量が大きく長い離着陸滑走距離が必要になる貨物機や大型機(ボーイング747-8、エアバスA380、An-225は除く)の着陸が可能となった。また、燃料を満載する長距離国際線ではアメリカ合衆国西海岸地域やヨーロッパロシアに位置するモスクワへ向かう直行便が離陸できるようになった。 しかし、B滑走路に並行する西側誘導路の一部が空港反対派民家とその所有地を避けるため、滑走路側に向かって「への字」に湾曲していた。このため、この部分を走行する航空機は、離着陸機の滑走に合わせて一時待機を余儀なくされていた。これを解消するため、NAAは既に用地収得済みの「への字」部分について、カーブを緩やかにする改修工事を2010年11月末までに完成させ、2011年3月10日より一時待機は廃止された。これにより滑走路との安全距離が確保され、誘導路上での一時待機がなくなり発着効率が大きく向上した。 2009年7月30日にはB滑走路東側に新誘導路が供用開始され、東側誘導路は「離陸(出発)機専用」・西側誘導路は「着陸(到着)機専用」となり、誘導路の使い分けにより離陸までの時間短縮が可能になった。これにより、第2旅客ビル北側において着陸機があるときに行っていたB滑走路へ入るホールド(待機)は廃止され、ホールドスポットも廃止された。また2012年度末に新たにB滑走路西側誘導路と第2旅客ビル地区とを結ぶ誘導路増設工事を進めていたが、2013年3月7日より、約720メートル延長された新誘導路と横堀地区エプロンを供用開始した。西側誘導路の整備により、第2旅客ターミナルビルのサテライトから出発した航空機がB滑走路南端から離陸する場合、従来の東側誘導路を通るよりも走行距離が約1,800メートル短縮され、所要時間も約220秒短縮された。 2016年9月には、2,500メートルのB滑走路16Lを北側(成田市側)にさらに1,000メートル延伸して、3,500メートルにする計画が提示された。2019年(令和元年)11月5日の改定により本構想は正式に基本計画に明記された。 2020年4月12日から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な蔓延を受けて、航空機の発着数が大幅に減少していることから、一時的に閉鎖されていた が、同年7月22日に運用が再開された。
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