韓国経済の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 17:00 UTC 版)
アジア通貨危機以前は、多くの財閥企業が存在し、傘下の企業が過当競争を繰り広げていたが、IMF管理下で市場の寡占化と外資導入が進んだ。市場の寡占化の結果、企業は国内では海外よりも高値で販売して利益を上げている。大手輸出企業は外国人株主が半数を占めることになった。大手輸出企業は人件費を切り下げて競争力を高め、グローバル市場で競合に打ち勝って利益をあげており、さらに税制優遇措置を受けている。 また社会保障の支出は対GDP比7.7%と、OECD加盟国中でも極端に低く、最下位である。このように従業員や消費者よりも株主を優遇する経済構造となっている。 アジア通貨危機による経済的な危機から脱却して以降は、半導体やインターネット関連事業の成長により、貿易が黒字基調に転化した。その一方で、通貨危機以前は比較的緩やかだった貧富の差が拡大する傾向にある。金大中政権でのクレジットカード振興策によって2000年頃よりクレジットカードの利用が増加し、内需拡大の一端ともなったが、2003年頃には自己破産が急増し国内での信用不安が高まったため、金融恐慌状態となり内需不振となった。2005年~2006年にかけても国内消費の低迷をはじめ原油高、ウォン高が起きた。2000年頃から、人件費が安く、消費が拡大している中国などに生産拠点を移す韓国企業も増えてきており、産業の空洞化も懸念されている。特に近年、中国の安い人件費に抗えず、かといって日本の先端化された技術に追いつくこともできないジレンマに陥っており、韓国内ではサムスングループ総帥の李健熙らが、サンドウィッチに喩えたことから「日中サンドウィッチ論」と呼ばれている。現在では円キャリー取引などの一環で外国人投資家の投資が集中しており、それに伴うウォン高、不動産価格の上昇などが不安定要因として存在している。 また、韓国では労働時間が長い。経済協力開発機構の調査では、2014年の韓国の年間労働時間は2057時間で、メキシコ(2327時間)、チリ(2064時間)に次いで3番目に長い。 特に2010年代以降には、「ヘル朝鮮(地獄のような朝鮮半島の意味)」「スプーン階級論」「三放世代」など、受験戦争の熾烈さや格差の大きさ、腐敗した政治、高い自殺率といった「韓国社会の生きづらさ」を韓国国民が自ら嘆くスラングが次々と誕生している。このような韓国社会の様相は人口構造にも大きく影響をもたらしている。特に文在寅政権発足後の2017年以降は合計特殊出生率の低下が著しく、2018年には0.98(先進国の場合、人口置換水準は2.08程度)を記録しOECD加盟国で2番目に低いスペインの1.23を大きく下回り最下位となった。2020年には0.84とさらに下がり、この年韓国の人口は史上初めて自然減少した。世界でも類を見ない極度の低出生率によって今後も高齢化、人口減少が急速に進行し、2065年の高齢化率は47%と日本(38%)などを大きく上回り世界最高、逆に生産年齢人口比率は45%と世界最下位になるとされた。
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