韓国による日韓条約に基づいた自己補償
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「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」の記事における「韓国による日韓条約に基づいた自己補償」の解説
2005年1月、当時の盧武鉉政府は混乱を防ぐという意味で、首相・長官ら政府要人と各界の専門家たちを網羅した「韓日会談文書公開の後続対策関連官民共同委員会」を発足させた。 争点の1つは「国家間の交渉で個人の請求権が消滅するか」だった。共同委「白書」を見ると、文大統領は共同委会議で「個人の参加や委任がない状態で、国家間の協定において、個人の請求権をどのような法理で消滅させるのか検討が必要だ」という意見を出した。官民共同委の結論は、「1965年の協定締結当時における諸般の状況を考慮すると、国家がどのような場合であっても個人の権利を消滅させることはできないという主張をするのは難しい」、「政府が日本に再度法的な被害補償を要求することは信義則の上で問題がある」と述べ、個人の請求権は無くせないと主張することは難しい、韓国人にあったとしても、1965年の協定に日韓相互放棄したことによって再度補償要求になる日本への請求権行使は難しく、韓国人個人の請求権は韓国政府に対してになる、という趣旨だった。そのため、盧武鉉政権は、2007年に特別法で追加補償の手続きに着手し、2015年までに徴用受けた7万2631人に6184億ウォンが支払った。これで発表で、徴用問題は終わったという認識が韓国でも固まった。韓国政府も請求権協定で終了したものという立場を維持し、以降の裁判所も関連の訴訟で同じ趣旨の判決を下した。2009年08月14日、ソウル行政裁判所でも、大韓民国外交通商部が裁判所に提出した1965年当時の書面に「日本に動員された被害者(未払い賃金)供託金は請求権協定を通じ、日本から無償で受け取った3億ドルに含まれているとみるべきで、日本政府に請求権を行使するのは難しい」と記述されていることを明らかにした。韓国政府は、日韓基本条約締結時からこの付随協定の内容を韓国民に伏せており、韓国政府の公式見解が明らかにされたのはこの時が初めてである。1965年当時の韓国政府は日韓請求権協定の中に朝鮮半島出身労働者の不払い賃金の対価も含まれていると判断していたからである。 但し、官民共同委は、「交渉過程において韓日両国がサンフランシスコ協定により法的根拠のある権利だけを議論することを明確にしたこと、不法行為について全く議論がなかったこと等を勘案すると、不法行為は請求権協定の物的範囲に含まれない。 したがって、軍慰安婦、徴用の過程における暴力的行為などに関する被害者個人の不法行為賠償請求権は消滅しておらず、必要な場合、国家の外交保護権の行使も可能」と、軍慰安婦、徴用の過程における暴力的行為など不法行為に対する賠償請求権は請求権協定に含まれないと結論付けた(韓日国交正常化交渉文書公開など対策企画団活動白書p68)。 この、日韓請求権協定に対する韓国政府の見解が韓国民に初めて明らかになった2009年08月14日以降、韓国メディアは、朝鮮半島出身労働者は日韓両政府に補償および謝罪あるいはそのための日韓交渉を求めなければならないということが明らかになったと報道している。実際、各種原告団が結成され、集団提訴が行なわれ、韓国司法府から日本企業の資産差し押さえ等の判決が下され、韓国行政府は、三権分立を尊重せざるを得ない以上、韓国行政府は韓国司法府の判決を尊重せざるを得ないと表明するという展開になっている。 条約締結以前の1946年、日本国行政府は日本企業に対して朝鮮人に対する未払い額を供託所に供託するよう指示を行っている。2009年08月現在、日本に供託形態で保管されたままとなっている韓国・朝鮮人への不払い賃金額は、強制動員労務者2億1500万円、軍人・軍属9100万円などで総額3億600万円となっている。これらの事実は韓国メディアにより広く知られている。 また、2010年03月15日、李明博大統領の時、韓国行政府は、慰安婦、サハリン残留韓国人、韓国人原爆被害者については日韓請求権協定の対象外であるとした上で、慰安婦問題に関しては「今も日本政府の法的責任に対し、引き続き追及している」としている。 こういう情勢変化に対して、日本国行政府は、2010年03月17日、「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定により、両国間における請求権は、完全かつ最終的に解決されている」という見解を発表した。
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