長編監督時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/12/28 13:25 UTC 版)
「モンチョ・アルメンダリス」の記事における「長編監督時代」の解説
アルメンダリスの長編デビュー作は、タシオ・オチョアが生きた時代をなぞった1984年の『タシオ』である。ウルバサ山地で炭焼き職人として生きるオチョアの人生を、民俗学映画にも近い視覚スタイルの、回りくどいシークエンスの連続で構成している。 エリアス・ケレヘタが製作・脚本を務め、年齢が異なる3人の俳優がオチョアを演じている。『タシオ』のリアリズムは撮影に3か月を必要とし、出演者は原始的な条件で生き、働くことが必要とされた。『タシオ』は批評家から賞賛され、アルメンダリスは有望な映画監督とみなされるようになった。 2年後の1986年、薬物中毒や非行の問題に巻き込まれたサン・セバスティアンの若者集団を中心に据えた、長編第二作『27時間』を監督した。かつて若者問題はスペイン映画で人気のジャンルだったが、『27時間』公開時までには人気も落ち込んでいた。それでも、『27時間』はサン・セバスティアン国際映画祭で監督賞(シルバーシェル)を受賞した。 次の作品では民俗学に焦点を当てるスタイルに戻り、1990年には『アロウの手紙』を監督した。セネガルから不法移民としてスペインにやってきた若い黒人にまつわる物語であり、彼は個人的・制度的な差別に直面する。『アロウの手紙』は批評家から好意的な評価を受けた。スペイン同業者組合賞で脚本賞を受賞し、サン・セバスティアン国際映画祭で作品賞(ゴールデンシェル)を獲得し、ゴヤ賞では脚本賞を受賞し、監督賞にノミネートされた。1996年にはアルメンダリスと同じバスク人のイマノル・ウリベ監督が類似テーマで『ブワナ』を監督し、やはりサン・セバスティアン国際映画祭で作品賞を受賞している。 アルメンダリスは1995年に監督した三作目の『Historias del Kronen』で幅広い人気を得た。この作品はホセ・アンヘル・マニャスの小説に基づいており、ケレヘタが製作した。マドリード在住の上流階級の若者ふたりが主人公であり、社会から疎外感を感じているふたりは定期的に、Historias del Kronenという名前のバルで会う。この作品にはフアン・ディエゴ・ボットとジョルディ・モリャが親友役で出演している。主人公ふたりは夏のバケーション中にセックス・ドラッグ・ロックに溺れ、1990年代のスペインの若い世代の象徴となった。 1997年の『心の秘密』はアルメンダリス最高の芸術的成功をおさめた映画とされている。9歳の少年ハビを中心としたインティミズムのドラマであり、ハビは1960 年代初頭のナバーラの田舎にある親戚を訪問して、大人の世界を発見する。この映画はアルメンダリス自身がナバーラの田舎で過ごした少年時代のノスタルジックな記憶を反映しており、成長する少年の感性で描いている。『心の秘密』は数々の映画賞を受賞し、アカデミー賞外国語映画賞のスペイン代表作品に選ばれた。 1999年、プイ・オリアとともに自身の制作会社オリア・フィルムを設立した。2001年には『Silencio Roto』(破られた沈黙)を監督した。スペイン内戦の余波でフランコ軍と対戦したゲリラ兵士軍の「マキス」(Maquis)に関する物語である。その後はドキュメンタリー監督としての原点に帰り、2004年には様々な音楽会場でミュージシャンの生活遍歴を覆った『Escenario Movil』を監督した。2005年にはベルナルド・アチャーガによる短編集『オババコアック』を基づく断片的な物語『オババ』を監督した。2011年の『No tengas miedo』(怖がらないで)ではMichelle Jennerが主演し、幼少時代に虐待された過去に直面する若い女性を演じている。
※この「長編監督時代」の解説は、「モンチョ・アルメンダリス」の解説の一部です。
「長編監督時代」を含む「モンチョ・アルメンダリス」の記事については、「モンチョ・アルメンダリス」の概要を参照ください。
- 長編監督時代のページへのリンク