路線・軌道設備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 11:18 UTC 版)
路線は、在来線と別ルートで新規に建設した線路設備を用いる。設備の構造については省令の「新幹線鉄道構造規則」に規定されている。在来線を改良したミニ新幹線と区別するため、「フル規格」とも呼ばれる。軌間は標準軌 (1,435 mm) を用いる。ただし標準軌が「新幹線」の法的な条件というわけではなく、軌間に狭軌 (1,067 mm) を用いつつ高速走行を可能とした路線も新幹線であり、こうした方式の新幹線を新幹線鉄道規格新線(スーパー特急)と呼ぶ。ただし、現段階においてはスーパー特急方式の路線は存在しない。 カーブにおける曲率半径を大きくし、できる限り直線を確保する。本線区間における最小曲率半径は東海道新幹線が2,500 m、山陽新幹線以降に建設された各線は4,000 mとなっている。ただし、用地や地形の関係から急曲線とならざるを得ない区間では、その区間の列車速度により曲率半径400 mまで許容されている。さらに推定脱線係数比が一定以上か、脱線防止ガードを設置することで200 m以上の曲率半径をとることもできる。東海道新幹線の東京 - 新横浜間や東北新幹線の東京 - 大宮間のような都心部区間は、曲率半径が400 mから2,000 m程度の急曲線が含まれている。 勾配は高速走行の妨げになることから最急勾配を15 ‰までとするが、延長2.5 km以内に限り18 ‰・2.0 km以内に限り20 ‰とする。用地や地形の関係から規定以上の勾配を必要とする区間では特別認可の形で設置されており、東北新幹線東京 - 大宮間では25 ‰、北陸新幹線では30 ‰、九州新幹線鹿児島ルートでは35 ‰の勾配が含まれている。 事故防止のため以下の設計を行う。自動車との衝突事故を防ぐため、踏切を一切設けない。 線路内に一般の人が立ち入れないようにする。前項も含めた対策として全線立体交差とする。また、列車の運行妨害等に対しては法律面でも「新幹線特例法」によって在来線より厳しい罰則を定めている。 通過列車との接触など人身事故を防ぐため、プラットホームに可動ゲート付きの安全柵(以下、ホームドア)を設ける(例:新横浜駅や新神戸駅など)か、通過線と待避線を分ける(例:静岡駅、福島駅など)。ただし、通過列車の通過速度が低い駅には安全柵のみ設けられている。また、東海道新幹線・山陽新幹線の東京駅や名古屋駅、京都駅、新大阪駅、岡山駅、広島駅、小倉駅、博多駅など、全列車が停車する駅には当初柵などは設けられてはいなかったが、後に安全柵のみが設けられた。また、東海道新幹線では、静岡駅や浜松駅など、通過線と待避線が分かれていながら安全柵が設置されている駅もある。九州新幹線鹿児島ルートでは全列車が停車する熊本駅、鹿児島中央駅や通過列車が使用しない副本線のホームも含め、開業当初から全ての駅の全てのホームにホームドアが設置されている。東北新幹線の新青森駅でも全てのホームにホームドアが設置されている。 東北新幹線の盛岡駅以南では、ミニ新幹線で使われている在来線規格の車両とフル規格対応のホームとの間に隙間が生じるため、駅停車時にホーム側へ張り出すステップを車両に設置したり、ホームにドア付近以外での転落を防止するための安全柵を設けたりする対策がなされている。 乗り心地や安全性の向上、騒音対策などから、レールや分岐器(ポイント)にもさまざまな工夫が施されている。レールは、継ぎ目の数を減らしたロングレールを使用。東北新幹線のいわて沼宮内駅 - 八戸駅間には、国内最長の延長約60.4 kmにわたる「スーパーロングレール」が用いられている。 分岐器(ポイント)は、通過時の振動が少ない弾性分岐器と、レール交差部の欠線部を埋めるノーズ可動クロッシングを使用。また、高崎駅北方にある上越新幹線と北陸新幹線との分岐には、分岐側を160 km/hで通過できる国内最高水準かつ最長の分岐器が設置されている。 新幹線の駅間距離は、中距離・長距離輸送を主とすることから、原則として在来線より長く取られている(30 - 40 km程度)。 高速運転で駅間距離が長く、より迅速で的確に情報伝達を行うため、列車無線を開業当初から採用している。
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