路線設定の背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 14:14 UTC 版)
バス路線の運行に際しては、運輸局へ許認可書類を提出し、許認可を受ける必要がある。この際に、キロ程・幅員・カーブ角度・勾配といった走行道路の詳細を図面を沿えて提出し、監督官庁で審査することになる。申請内容の事業用自動車に関する審査基準として「道路構造上運行に支障を与えない大きさ、重量であること」というものがある。これは申請に記載された車両で円滑な運行が可能かどうかが審査されるということである。道路環境と車両の大きさが合わず、円滑な運行が困難であるとみなされた場合(例えば、大型バスが通行すると軽自動車でも離合が困難、というケースなど)路線免許に対して許認可が下りないこともある。しかし交通量が少ないなどの理由で、大型のバスが乗り入れても円滑な運行に支障がないと判断された場合は、道路条件と比較して大型のバスが走る路線が設定されることになる。 これは、かつてはバスにも車掌が乗務することが一般的であり、車掌が離合の際にバスを後退させるための車両誘導等を行うこともでき、交通整理の役目も果たしていたが、ワンマン運転においてはこれができないことが理由として挙げられる。なお1980年代頃までは、ワンマンバスの場合は幅員が6m以上あることが運行条件とされている(現在では幅員6m未満であっても認められる場合も多い。ただし条件付きの場合もある)。 また、バス車両が大型化される前に特に条件なしで許認可が下りた路線については、車両の大型化とともに、同様に走行する道路条件と比較して大きい車体のバスで運行される路線が存在することになる。例えば、鉄道博物館にかつて展示されていた(現在はリニア・鉄道館に移設)国鉄バス1号車の車幅は1.93 mとなっており、現在のバスよりも車体は小さい。 こうした路線の中には、保安要員の配置・添乗などの条件付きで認可を受けた路線もある。例えば、仙台市営バスは1993年までツーマンカーが存在していた。これは狭隘路線を抱えていたこと、大型バスしか保有していなかったことから、車掌乗務でないと運行の認可が下りなかったもので、狭隘区間には保安要員が同乗する条件でワンマン運行の認可を得ている。また、立川バスの国21系統けやき台団地線では大型車を最短3分間隔で運行させるため、狭隘区間において第一待避場・第二待避場を設置した上でこの2箇所と交差点に誘導員を常駐させ、無線を活用した交通整理を行なっている。
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