血盟団血盟団事件の性格とは? わかりやすく解説

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血盟団・血盟団事件の性格

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 15:34 UTC 版)

血盟団事件」の記事における「血盟団・血盟団事件の性格」の解説

血盟団メンバーは、井上日召以下、大洗組 (古内栄司小沼(おぬま)正(しょう)、菱沼五郎黒澤大二照沼操、堀川秀雄川崎長光)、東京帝大グループ (四元義隆法学部〉、池袋正釟郎〈文学部〉、田中邦雄〈法学部〉、久木田祐弘〈文学部〉)、京都グループ (田倉利之〈京都帝大文学部〉、森憲二法学部〉、星子毅〈法学部〉) とその他 (須田太郎国学院大学神学部生) の計16名である。 血盟団員の中で重要な役割果たしたのは、大洗グループ内の古内東京帝大グループ四元2人である。また、血盟団ではなく事件にも直接関与はできなかったが海軍将校藤井斉重要な役割果たした人物である。藤井は、元来実力行使慎重だった日召をテロリスト仕向けた張本人であり、東京帝大グループ京都グループ海軍将校井上を結びつけ、大洗小さなグループに過ぎなかった血盟団をより広域活動するグループ変貌させることに大きく寄与した血盟団井上思想強く感化されカルト集団と言えるまた、井上思想底流にあるのは、ある種仏教的神秘主義である。田中智学創始した日蓮主義基本として、仏教的神秘主義と、皇国思想国家改造対す熱望合わさって井上日召独自に思想形成したものであると言える井上思想には、田中智学からの影響が明白である。実際井上思想形成初期段階大きな影響与えたのが、田中による『日蓮上人教義』であり、この書物井上だけでなく古内栄司にも大きな影響与えた。 ただ、井上思想論理粗雑であることは否定しがたい。井上は若いときから、代表的な国家主義者 (田中智学北一輝) の著書読み主唱者 (例えば、北一輝上杉慎吉大川周明安岡正篤) のもとを訪ねている。例えば、井上1924年1度上京していた時期北一輝の『日本改造法案大綱』を読んで、北に会いたい思い北のもとを訪ねている。また、大川周明のもとを訪ねた時には、人はいくらでもいるから国家革新には金が一番重要だ、と言われ腹を立てたこともあった。大川大アジア主義が、白人追放してアジア解放するという考えであり、差別主義的であると思われたので、大川からも得るところはなかった。 結局は彼らの主張共感できず、最終的に自身思想理論化することを放棄した井上興味中心実力行動であって理論的な話は空虚であると考えて興味を持たなかった。 一方で血盟団メンバー思想的一枚岩だったというわけではない。たとえば、権藤成卿対す評価団員の間で大きく割れていた。権藤思想は、「社稷しゃしょく)」という古代中国概念日本当てはめた農本国家主義思想で、それに最も共感したのが四元だった。また、血盟団ではないが藤井斉強く共感した。 しかし、池袋権藤には若干懐疑的であり、国家社会主義には反対権藤漸進主義にも反対極端な天皇主義者いわゆる日本精神」に影響され小沼は「社稷」にはまった反対だった井上たちに、要人暗殺後国家改造計画具体策全くなかった。むしろ、そのようなものを計画することを積極的に放棄していた。彼らの論理は、自分たちがテロによって要人殺害し捨石になることで、後続国家改造先鞭付けたいという単純なのである。 したがって血盟団事件自体クーデター計画でもその未遂事件でもなく (事件直前には、井上自身単なるテロではなくクーデター指向していたが、それに同調する血盟団メンバーはいなかった)、要人暗殺というテロ事件上ではない (ただし、急進的ファシズム見なすかはこれとは別の問題である)。 血盟団事件昭和初期から始まった超国家主義者によるテロ事件嚆矢として知られ政治学分野などでもしばしばその基点として扱われる典型的に丸山真男による超国家主義研究があり、日本ファシズムに関する古典的研究である丸山による『日本ファシズム思想と運動』では全体3期分けられ日本ファシズム運動期間のうちの第2期 (急進ファシズム全盛期) の起点として血盟団事件とらえられている。

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