英蘭連合艦隊の砲撃と「悪魔の機械」の敗北
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/13 10:00 UTC 版)
「サン・マロ襲撃 (1693年)」の記事における「英蘭連合艦隊の砲撃と「悪魔の機械」の敗北」の解説
1693年11月26日、船30から30隻で構成された英蘭連合艦隊がフレエル岬(英語版)に現れ、ラ・ラッテ砦(英語版)とエビアン諸島(フランス語版)(Archipel des Ébihens)を砲撃した後、サン・マロ沖で錨を下ろした。艦隊は50から60門戦列艦10隻、フリゲート20から30隻、爆弾船としてのガリオット、シャループ(chaloupe、カッターの1種)、そして「悪魔の機械」であった。艦隊の指揮官はジョン・ベンボー(英語版)海軍代将(旗艦は48門艦ノリッジ(英語版))と技術将校のトマス・フィリップス(英語版)だった。 11月27日の夜明け、イングランドは未完成のラ・コンシェ砦(英語版)を奪取、当時工事を進めていた30から40人を捕虜にして彼らの工具が置かれた倉庫を燃やした。フランス側はサン・マロ市とロワイヤル砦(英語版)から砲撃、艦隊が前日と同じように接近することを防いだ。ガリオット船は砲弾にあたって帆柱を折られ、別の船は砲弾で船首を破壊された。イングランドは午後9時に砲撃を再開したが砲弾を22発撃っただけで止まり、翌朝5時に砲撃を再開した。これらの砲撃は効果が薄く、撃たれた50から60枚の砲弾のうちサン・マロ市に届いたのは20枚だけであり、火事にもならず家屋数軒の屋根と窓が破られただけだった。 28日朝、サン・マロの私掠船ル・モーペルテュイ(Le Maupertuis)はオランダ船のL'Isabelle(300トン、21門艦)を拿捕してフレエル岬から現れた。イングランド艦隊はフランスの旗である白旗を掲揚して自軍をル・モーペルテュイに乗船させようとしたが、ル・モーペルテュイの航速のほうが上だったため逃げられた。同日、ブルターニュ知事の第3代シャルンヌ公爵(英語版)シャルル・ダルベール・ダイイ(英語版)とアンタンダン(フランス語版)のルイ・ド・ベシャメル(英語版)が貴族数人とともにサン・マロに到着、守備を指揮した。当時サン・マロ近くにいた2人海軍少将コエトロゴン侯爵(英語版)とアンフレヴィル侯爵(フランス語版)は士官約20人(多くが海軍大佐)とともに戦場に向かった。シャルンヌ公爵は増援として大勢の砲兵と砲兵士官を呼び寄せた。28日、イングランドはセザンブレ島(英語版)に上陸したが、修道院に神父1人とレコレ派(英語版)の修道士2人が残っているのみで、残りはサン=セルヴァン(英語版)に避難した。その夜、シャルル・ド・サント=モール(フランス語版)は偵察を行い、イングランド艦隊に接近することに成功した。またイングランド船数隻がサン・マロ沖、市の周りにある岩を発見した。午前6時頃に砲撃が開始されたが、効果は薄かった。 29日、イングランド艦隊はロワイヤル砦を砲撃した後、夕方に「悪魔の機械」を放ってサン・マロ市の城壁に取り付けて爆発させようとした。ウィリアム3世が選んだ標的はサン・マロの火薬庫であるビドゥアネ塔(Tour Bidouane)であった。 悪魔の機械は妨害されずに城壁から50ペースまでのところに接近したが、ロワイヤル砦からラ・レーヌ砦の間の岩列を通るとき、西向きの突風により座礁してしまった。この岩は後に「イギリス人の岩」(les roches aux Anglais)または「グロ・マロの岩」(le Rocher de Gros Malo)と呼ばれた。船体の底に穴が開いてしまったため、イングランド工兵はすぐに火をつけたが、すでに火薬の一部が湿ってしまったため効果が減ってしまい、さらに火の手が海の方向に向かったため、サン・マロ市に延焼しなかった。 やがて船は爆発して、周り約2リーグの家屋を震わせ、空が溶鉱炉のように数分間炎で満ちており、サン・マロ市には落下物が次々と落ちてきた。サン・マロの物的被害はひどく、ほとんどの家屋の窓が砕かれ、家屋300軒の屋根が壊れたが、死者は出ず、倒壊した壁もなかった。重いキャプスタンだけが広場に落ちてきて家屋1軒を壊した。フランス側の生物の被害は猫1匹と犬2匹だけであり、逆にイングランド側は死者5から6人を出した。「悪魔の機械」の操船手は逃げ遅れて死亡、また爆発により大量の水が吹き出てボートが沈没、数人が死亡した。
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