組成物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/05 01:31 UTC 版)
アスファルト混合物は、温度が高い状態で骨材とアスファルトを混ぜ合わせ接合させた、アスファルト舗装で用いられる材料である。重量比で90%程度が粗骨材と細骨材、5%程度がフィラー(石粉)、残りの成分がアスファルトで構成されており、純粋なアスファルト分を除いた骨材+フィラー(石粉)の割合が全体の約95%を占めている。また各組成物のうち、砕石(粗骨材)以外の部分は、アスファルトモルタルとよび、細骨材(砂)・フィラー(石粉)・アスファルトの黒い混合物である(右図参照)。組成物の大部分を占めている骨材の品質によって、アスファルト混合物の品質や耐久性が大きく影響されるため、使用する骨材には制約が規定されており、品質試験により規定どおり満足しているか確認される。 骨材は、粒径の大きな粗骨材と、小さな細骨材に分けられる。 粗骨材は、アスファルト混合物の骨格を形成する組成物で、車などの交通荷重を支える役割がある。一般に砕石を用いるが、このほか玉砂利、砂利、鉄鋼スラグや再生骨材なども使用される。日本では、主に2.36ミリメートル以上の5号砕石(粒径20 - 13ミリメートル)、6号砕石(粒径13 - 5ミリメートル)と7号砕石(粒径5 - 2.5ミリメートル)が用いられていて、粒度はJIS規格で規定されている。アスファルト舗装に騒音低減性能を要求するときは、粒径を13 - 10ミリメートル、10 - 5ミリメートル、8 - 5ミリメートルに調整して用いられる。 粗骨材に要求されている性質は、 適度な粒度を持ち、硬く均質で、割れやすり減りに対する抵抗性が高い。 細長くなく、かつ薄くない角張った形状で、表面に適度な粗さがある不規則な形状。 密度が大きく、吸水率が小さく有機物や不純物を含まないものであって、加熱によって変質や破壊することなく、アスファルトとの付着性が高いもの。 とされている。 細骨材は、粗骨材の隙間を充填する組成物で主に砂が用いられ、舗装の安定性や水が入り込まない状態を高める役割がある。日本では2.36 - 0.075ミリメートル以上の骨材が用いられている。粗骨材と同様に細骨材に要求されている性質は、硬く均質で耐久性が高く、有機物や不純物を含まないものとされている。天然砂、人工砂、スクリーニングスが使われるが、海砂のように塩分を含んでいても、コンクリートと違ってアスファルト混合物の品質には影響を及ぼすことはない。 アスファルト再生骨材は、再生アスファルト混合物を製造する際に使用される骨材で、撤去した古いアスファルト版を破砕して分級した、粒径13ミリメートル以下の再生骨材が利用される。 フィラーは、骨材の隙間を埋める充填剤のことで、0.075ミリメートル以下の鉱物質微粉末で、石灰岩を粉末にした石粉が最も一般的に使われる。適度な量を配合することでアスファルトの見かけ上の粘度を増加し、骨材同士の隙間を充填して接着性を高めたり、アスファルト混合物の耐久性を高くすることが可能となる。ただし、配合量が多すぎるとアスファルトがフィラーに吸収され過ぎてもろくなり、ダマができてしまい適切な混合物が出来なくなったりする場合がある。反対に、少なすぎるとアスファルト混合物の空隙が大きくなり、気温が高い時期に塑性変形によるわだち掘れが生じやすくなる。このため、アスファルト混合物の各素材の配合量を適切にすることが重要となる。 アスファルトは瀝青材料(れきせいざいりょう)とも言い、石油から製造される高分子材料で、高温下では液体状であるが、温度が下がると粘性と粘着性が上昇する性質を持っている。舗装用石油アスファルト、改質アスファルト、トリニダットアスファルト(天然アスファルト)、石油アスファルト乳剤などの種類がある。日本では、ストレートアスファルトや改質アスファルトが使用される。 舗装用石油アスファルト(ストレートアスファルト)は針入度で品質をJIS規格化しており、一般地域は針入度60 - 80、積雪地域は80 - 100、交通量が多い場所には40 - 60、寒冷地で特に低温度でひび割れが懸念される場所では100 - 120が用いられる。アスファルト混合物の耐流動性や耐摩耗性などの性状を向上させる目的には、石油アスファルトにゴムや熱可塑性エラストマーを添加した改質アスファルトが使用される。改質アスファルトは、感温性を改善したポリマー改質アスファルトI型からIII型、H型へと行くに従って、アスファルト混合物が持つ耐塑性変形性や耐摩耗性に対する性状改善を図ることができ、特にH型は流動性に対する抵抗が最も高く、主にポーラスアスファルト混合物に用いられ、さらにH型-Fでは寒冷地用にたわみ特性も改善させている。また、コンクリート床版の橋面舗装に使われるIII型-Wは、III型の耐水性を向上させたもので、さらに鋼床版の橋面舗装に使われるIII型-WFは、たわみ性も改善させたものである。石油アスファルト乳剤は、アスファルトを微粒子にして、界面活性剤を混ぜた水中に分散した褐色の液体で、水分が蒸発してアスファルトとしての機能を発揮する特性があり、常温アスファルト混合物で用いられている。
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