第3の哨戒 1944年9月 - 10月
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「シャーク (SS-314)」の記事における「第3の哨戒 1944年9月 - 10月」の解説
9月23日、シャークは3回目の哨戒でシードラゴン (USS Seadragon, SS-194) 、ブラックフィッシュ (USS Blackfish, SS-221) とウルフパックを組んでルソン海峡に向かった。3隻の艦長の中でシャークのブレイクリー少佐が最先任だったので、シャークがこのウルフパックのリーダーとなった。途中サイパンに立ち寄り10月3日に出航。哨区はドラム (USS Drum, SS-228) 、ソーフィッシュ (USS Sawfish, SS-276) 、アイスフィッシュ (USS Icefish, SS-367) の3隻で構成された別のウルフパックおよびスヌーク (USS Snook, SS-279) の北に位置した。10月23日、ドラムらのウルフパックはルソン島北端ボヘヤドール岬の西方海域で大船団を発見する。これはマニラを10月20日に出航し高雄に向かっていたマタ30船団で、指揮艦である駆逐艦春風の名前を取って別名「春風船団」と呼称されていた。23日17時30分のソーフィッシュによる元特設水上機母艦君川丸(川崎汽船、6,863トン)撃沈によって攻撃が開始された。この一連の戦闘の最中、シャークは戦闘海域で消息を絶った。 10月23日20時30分ごろ、シャークはソーフィッシュから輸送船団攻撃に関する報告を受け、さらに打撃を与えるため急遽北に設けられた新しい哨区に向かうよう指示を受け、「よい獲物を」と激励された。翌10月24日4時ごろ、ブラックフィッシュはシャークから「北緯20度22分 東経118度21分 / 北緯20.367度 東経118.350度 / 20.367; 118.350の地点で輸送船団に接触した」との報告を受け、輸送船団の進路上に移動するよう指示が出た。また、シードラゴンも6時15分ごろにシャークから「貨物船と遭遇し攻撃に入る」との通信を受信する。これがシャークからの最後の通信となり、その後の通信の試みは全て失敗した。シードラゴンは18時58分に浮上し、シャークに戦果報告を求めたが、シャークからの返答はなかった。22時を回り、ブラックフィッシュはシードラゴンから「シャークに6度にわたって通信を試み、おそらくシャークは明日の攻撃出てくるだろう」と報告された。10月25日3時ごろ、ブラックフィッシュはスヌークと交信し、「この24時間の間にシャークと接触したかどうか」と問うたが、「分からない」との返答があった。25日の日没まで待ち、シャーク以外の6隻の潜水艦からは報告があったものの、ついにシャークからの応答はなかった。その後、11月27日にシャークの喪失が報告された。 戦後に調査された日本の記録では、10月24日未明にルソン海峡で春風が自艦の真横約1,500メートルの位置に潜水艦を探知し、17発の爆雷攻撃を行ったとある。春風は更に17時42分ごろにも右舷前方約1,700メートルに探知された潜水艦に対し17発の爆雷攻撃を行い「気泡、重油、衣類と破片」が水面に浮上したと報告した。これがシャークの最期であった。もっとも、一方の当事者である春風の記録の一つである『駆逐艦春風』にはシャーク撃沈に関する記述がない。春風はこの10日後の11月4日に高雄近海で対潜掃討中、セイルフィッシュ (USS Sailfish, SS-192) の雷撃で艦尾を亡失する被害を受けており、この時期の春風の行動に関しては、乗組員からしてみればシャーク撃沈より被雷大破の方が印象が大きかった感がある。先代のシャーク同様に奇しくも駆逐艦1隻からの攻撃により喪われた潜水艦となった。 マタ30船団での攻撃ではスヌークが輸送船第一眞盛丸(原商事、5,878トン)および輸送船阿里山丸(三井船舶、6,886トン)の2隻を撃沈したと認定されたが、日本側記録とスヌークの記録を素直に信用するならば、第一眞盛丸の被雷と阿里山丸の被雷はそれぞれ24日昼ごろと24日夕方と記録されており、一方のスヌークは5時ごろの四度目の攻撃以降はアクションを起こしておらず、他に攻撃を行った4隻も両船の被雷時刻に戦闘行動を行っておらず、どちらもシャークの雷撃による戦果と思われる。 シャークは第二次世界大戦の戦功で1個の従軍星章を受章した。
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