炎上の経過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 05:57 UTC 版)
「炎上 (ネット用語)」の記事における「炎上の経過」の解説
炎上の発生から激化までの過程には、藤代裕之は、巨大な電子掲示板サイトやニュースサイトなどが一役買っていることが多いとして、これらをミドルメディアと名付けた。 前者の電子掲示板では、ブログやSNSなどに書き込みが集まる中で大型掲示板に記事を投稿し、さらに多くの人の書き込みがそのブログやSNSなどに集中する。後者のニュースサイトでは、ブログやSNSなどで起こった小規模な炎上が、ネット上の様々な出来事を紹介する中規模なニュースサイトに掲載されて炎上が加速し、さらに大手メディアで紹介されることにより炎上の被害が拡大していく。たとえば、J-CASTニュースは、ネット上の炎上事件を積極的に取り上げることから「炎上メディア」と呼ばれることがある。この他、探偵ファイル、ガジェット通信、Narinari.com、トレビアンニュースといったニュースサイトや各種まとめサイトなどで、炎上の話題が取り上げられる。 この両者が複合して極めて大きな炎上に至る場合や、発火点がブログなどの書き込みではなく、現実世界での何らかの出来事から、大型掲示板やニュースサイトでの報道を経由する場合もある。 伊地知晋一によれば、炎上が激化すると、抗議はブログ・SNSのコメント欄や掲示板への書き込みに留まらず、多様な方法が見られるとしている。電子メール、電話(いわゆる電凸)、発展すると関係者への抗議やデモ活動といった事態に至ることもあるとする。その途中、有志がまとめサイトと呼ばれるWiki形式のサイトを立ち上げることが、しばしばある(ウィキペディアの項目ではないが、体裁が似ている)。そこでは、炎上に至った事件とその後の経過が整理されて解説されている他、電話やメールなどで抗議する際のテンプレートまで用意されている。まとめサイトが設置されるようになると、炎上はかなり深刻な事態に達していると言える。企業ではなく一般の個人を対象とした炎上であっても、それまでのブログやSNSの日記における様々な写真や日常生活の記述を総合し、住所や勤務先を集合知的に特定することがある(いわゆる個人情報の「特定」)。企業の場合、取引先にまで抗議が及んで営業に支障をきたす場合もある。また、触法行為を自慢するネット上の書き込みによって炎上を誘発してしまった従業員が、それを理由に会社から解雇されるような事例もある。 田代光輝は、オールポートとポストマン(英語版)による噂の公式のR=i×aを応用し、炎上の広がりを「炎上の広がり∝関心の高さ×状況の曖昧さ」であるとしている。例えば、政治・宗教・スポーツは関心も高く曖昧であるため、炎上しやすいテーマだ。特に政策による原発問題、外交(歴史認識や領土問題)などは曖昧な状況が続くために炎上しやすく、炎上が継続しやすいともされる。また、特に「食の衛生」は日本で「関心」が高いテーマだ。1つのテーマで炎上が起こるとそのテーマに対して「関心」が高くなるため、類似の事例で炎上トラブルが連鎖する現象が起こるともしている。ブログ炎上の最終的な結果としては、元の状態に戻る場合、コメント欄が廃止されて双方向性は失われ、一方的な情報発信となるがブログ自体は継続する場合、そしてブログ自体が閉鎖してしまう場合の、大きく3つがありうる。 一方で、ネットの誹謗中傷などは民事訴訟や刑事罰の対象にもなる(詳細は名誉毀損、侮辱罪、脅迫罪、信用毀損罪・業務妨害罪を参照)。このため個人攻撃にあたる内容や不確かな情報は拡散しないよう一般のネットユーザーにも注意が求められる。2017年、東名高速道路で起きた煽り運転の事件をめぐり、加害者と同一苗字であり、かつ同一県に在住していた男性が「『容疑者の父親』だ」などの嘘情報がネット上に流れた問題で、警察が名誉毀損容疑で捜査に着手し、翌年3月に拡散に関与したとみられる11人を特定。被害を受けた男性はこの11人を刑事告訴した。
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