湖沼の水質
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湖沼については化学的酸素要求量 (COD) で水質が主に計測されるが、鬼怒川流域の中禅寺湖や湯ノ湖、および奥利根湖などを始めとする利根川水系の人造湖に関してはおおむね良好な水質であるのに対し、下流の湖沼については水質汚濁が顕著で河川よりも深刻となっている。 利根川水系主要湖沼のCOD値 (mg/l) 湖沼観測地点COD湖沼観測地点COD湖沼観測地点COD湖沼観測地点COD奥利根湖 矢木沢ダム 2.0 薗原湖 薗原ダム 1.7 川俣湖 川俣ダム 1.6 手賀沼 8.6 洞元湖 須田貝ダム 2.4 赤城大沼 3.7 八汐湖 川治ダム 1.4 印旛沼 8.6 藤原湖 藤原ダム 1.2 榛名湖 4.1 中禅寺湖 1.2 霞ヶ浦 湖心 9.3 ならまた湖 奈良俣ダム 2.1 神流湖 下久保ダム 2.3 湯ノ湖 2.1 北浦 神宮橋 10.1 赤谷湖 相俣ダム 1.2 草木湖 草木ダム 1.5 牛久沼 8.0 外浪逆浦 8.8 霞ヶ浦を始めとする利根川下流部の湖沼は、河川の水質汚濁同様高度経済成長に伴う都市化と下水道整備の遅れによる生活排水や畜産、農業関連の排水が処理されずに流入し、河川と異なり水域内に長期間滞留することで水質汚濁が遷延化した。2009年の環境省調査では北浦が宮城県の伊豆沼と共に汚染度ワースト1となったほか、10位までに霞ヶ浦・常陸利根川(同率3位)、手賀沼・印旛沼(同率5位)、牛久沼(7位)が入り、ワースト10の中に利根川水系の湖沼が6箇所も入るという不名誉な状態となっている。こうした水質汚濁により霞ヶ浦では特産のワカサギ漁が衰退するなど漁業資源にも深刻な影響を与えた。 このため河川浄化の取り組みが国や地方自治体によって進められている。特に手賀沼については清浄な利根川の河水を導水して水質改善を図るため1972年(昭和47年)より利根川広域導水事業が治水・利水目的を含めた河川総合開発事業として実施され、1978年(昭和53年)に野田緊急暫定導水路(利根運河)、2000年(平成12年)に北千葉導水路が完成。手賀沼に毎秒10m3を導水することで水質改善を図った。また1984年(昭和59年)には水質汚濁防止法を湖沼に特化した湖沼水質保全特別措置法(湖沼法)が制定され日本の11湖沼 が指定。利根川水系では北浦・常陸利根川を含む霞ヶ浦、手賀沼および印旛沼の3湖沼が指定、水質汚濁防止の施策や規制が流域自治体で採られている。こうした施策により手賀沼の水質は2003年(平成15年)以降7年連続で水質が日本一改善された湖沼となり、導水路の効果は実証されたがその他の湖沼においては改善に乏しい状態が続いている。このため国土交通省では関東一の清流である那珂川 の河水を霞ヶ浦に導水して水質改善を図る霞ヶ浦導水事業を施工しているが、栃木・茨城両県の那珂川漁業協同組合が那珂川の水質悪化を理由に反対している(前述)。
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湖沼の水質
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湖沼の水質は流入する河川水、地下水や雨水、あるいは地質、気候、生態系など様々な要因に影響される。 水質を表す最も重要な指標の一つはその湖沼がどれだけ多くの生物を養うことができるかを表すものであり、湖沼型あるいは栄養型と呼ばれる。基本的には養いうる生物が少ない順に、貧栄養型、中栄養型、富栄養型に分類される。具体的には食物連鎖の底辺にある植物プランクトンの生育速度を規定する窒素およびリンの含有量を指標とすることが多い。 詳細は「湖沼型」を参照 多くの湖沼は形成時において貧栄養型であり、次第に中栄養型、富栄養型へと移り変わっていく。このような遷移は湖沼の富栄養化と呼ばれる。生物の活動が盛んになるとともに水底に有機物が堆積し湿地や陸地になって湖沼は消滅する。但し、実際の遷移過程は湖沼の深さや周辺環境などに大きく左右されるため実に多様である。湖沼周辺における人間の活動はしばしば湖沼の富栄養化を加速する。 詳細は「富栄養化」を参照 溶存酸素量も水質を表す重要な指標である。湖沼水中に溶解している酸素は主として植物の光合成によるものであり、湖沼型や水温によって変動する。 詳細は「溶存酸素量」を参照
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