琵琶湖の汚濁と対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 21:52 UTC 版)
淀川の水源である琵琶湖は1960年代以降周辺の宅地化が進んでいったが、下水道の整備がそれに追いつかず、生活排水はそのまま琵琶湖に流入する状況となっていた。これにより特に大津市や草津市沿岸を中心とした琵琶湖南部(南湖)の水質汚濁が激化、赤潮の発生や悪臭などが起こり漁業への影響が深刻となっていた。 滋賀県は下水道整備などで対応していたが、近畿最大の水源地でもある琵琶湖の汚染は関西全体に影響を及ぼしかねず、根本的な対策が求められていた。この中で合成洗剤に含まれる有機リン分が水質汚濁に大きく関わっているのではないかという指摘が多くなされるようになり、合成洗剤に対する規制も叫ばれるようになった。1980年(昭和55年)、滋賀県議会は『滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例』(通称:琵琶湖条例)を制定。有機リン分を含む合成洗剤の追放などを定め、琵琶湖のこれ以上の富栄養化を避けようとした。合成洗剤メーカーからは激しい反発があったが、湖沼の水質汚濁に悩む他地域からは大きな注目を持たれ、水質汚濁対策の一つの分岐点となった。 1984年(昭和59年)、水質汚濁防止法の特例措置として特定の湖沼に対する水質汚濁を防止するための諸対策が法制化された。これが『湖沼水質保全特別措置法』(略称:湖沼法)である。霞ヶ浦など全国10湖沼が現在指定されているが、琵琶湖は1985年(昭和60年)12月に法の指定を受け、これ以降水質保全に関する厳しい対策が施されるようになり、併せて琵琶湖流域の下水道の整備と下水処理場での窒素リンを除去する高度処理が行われ、これらにより水質は次第に改善されるに至った。
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