淡水域の護岸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 10:24 UTC 版)
河川の護岸は川を流れる水の浸食作用などから河岸の現地盤や堤防、水門など河川に設置する諸施設を保護するため、川を流れる水があたる斜面部すなわち法面に設けられる施設。 法面を覆うような構造のものが一般的で、斜面部を被覆して侵食から守り、流水などが堤防陸地側へ浸入するのを防ぐ。 日本の河川は掘り込みの河川のほかには、常に水が流れる低水部と平場の河川敷となる高水敷、堤防で形成される高水部という断面でみると台形の複合型となっているタイプがある。このため洪水時の堤防保護を目的とした護岸と、低水路の流れを安定させるとともに高水敷の洗掘を防ぐための護岸とがあり、前者は高水護岸もしくは堤防の全面を直接保護するので堤防護岸と呼ばれ、後者は低水護岸と呼ばれる。 多くの護岸は、河川、湖沼から、淡水を貯水するために使用されている人工貯水池を、特に洪水や雨季期間中の損傷を防止するために、多くの材料が活用される。例えば木の杭、ゆるく積み重ねられた岩または具体的な岩石の使用(捨石を参照 )もしくはより堅くした土構造など。 具体的な護岸例としてミシシッピ川を制御するために使用されているのは、インフラストラクチャの最も一般的な形式 1,000マイル (1,600 km) もの距離の中、川の湾曲に配置されたカイロ、イリノイ州とメキシコ湾では頻繁に小さな部のうちに改修し、自然の浸食進行を和らげている 護岸構造は一般的に法覆工、法留工(法止め)、根固め工の3部分からなるが、湾曲部など洪水時に流れが特に強い場所には水制を併用するため、河川では護岸を広い意味に用いるとき、岸から川の中へ突き出すタイプの水制などの工作物も護岸に含めることもある。 法覆工は前述の解説にある、法面を覆っている部分のことで、河川の流勢や河道の性質に応じてコンクリートのほかにレンガや張芝、蛇籠やふとん籠と石材など、法面を保護する部材やタイプが決定されている。またコンクリート型の場合、これまでは生コンクリートを搬入し現地施工で法覆するタイプが主流であったが、その後コンクリート製の護岸用ブロックを用いるタイプなどが主流となっている。コンクリートタイプは必要に応じて法面と護岸間に止水シートや土砂の吸い出し防止材、裏込め材を設ける。 そして護岸延長と材質、河道状況に応じて分節ごとに隔壁を、また護岸端末には小口止を設ける必要があるほか、端末保護と河岸現地盤へのすり付け区間を設けて設置する場合や、護岸上部にも必要に応じて天端保護を設けることもある。 法留工は上記の法覆を支える基礎構造物で、さらに杭、土台木、矢板などを打ち込むことによって止水して斜面の滑り出しを防ぐ。元々は施工現場で型枠を施工してコンクリートを流し込んで造られていたが、日本では河川によっては形状が指定されている場合もあるため、こうした河川ではブロックメーカーによって指定形状の法留をプレキャスト化したものが造られ導入されている。 根固め工は洗掘の防止の他にプラスして魚類水性生物のすみかになるよう設計施工する場合も多くみられる。木材や粗朶などを用いる沈床、捨石、籠材を用いた籠工、枠工のほか、後述の根固めブロックと呼ばれるコンクリート異形ブロックなどを用いた層積み型や乱積み型といったものが用いられる。 護岸の施工に際して、法留の背後は施工の際に浸透水が生じるため十分に土砂締固めができないこともあって、雑石などを用いた裏込め材で対応している。また背後地の土質は重要で、河川でもともと曲線だった部分をまっすぐに埋め立てた地形等が施工工区であると、一般的に地盤が緩いことが多いが、土質が悪い場合は護岸ブロックの傾きに加え、基礎沈下も起きる可能性がある。このような場合軟弱地盤を前提とした対処が必要となる可能性もあるが、設計の際にも施工の際にも土質調査は必須条件にはなっていないことが大半であるため、亀裂などが不可抗力的に生じる可能性がある。そして工事による地盤の締め固め不足や、さらに緩い地盤へ水が浸透して地盤内の水位が上がれば、内側から護岸を圧迫するなどの複合的な原因から亀裂や崩壊が引き起こされることも考えられる。
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